「ニューヨーク・ベイサイド物語」のストーリー

ニューヨークの下町の小さなロシア料理店に働くアレック・ノイマン(クラウス・マリア・ブランダウアー)は、かつてロシアのボクシング・チャンピオンであったが、ユダヤ人である彼の宗教上の理由を盾にオリンピック出場を拒むコーチを殴った彼は、その栄光の座を追われ、アメリカに亡命するも、その心に負った深い傷から酒に溺れ、かつての面影は全く失われていた。そんな彼の前に、ある日荒削りだが輝くばかりの才能を持つ2人のストリート・ファイター、ティミー(エイドリアン・パスダー)とローランド(ウェスリー・スナイプス)が現われた。いがみ合いながらもアレックをコーチに、2人の厳しいボクシング・トレーニングが始まった。才能の面で口ーランドに劣るティミーは、ことごとくアレックに反抗するが、次第にその人間性とボクシングの深さにのめりこんでゆく。そして愛するがゆえに厳しい言葉と態度でアレックを励まし支えるエレナ(アンジェラ・マリーナ)。やがてニューヨークを訪れる、かつてアレックを追放したコーチ率いるソ連ナショナル・チームとの親善試合の対戦権利を数々の障害を乗り越えて獲得したティミーとローランドであったが、ある夜、かつてのスラム街の友人によって腕を刺されたローランドは出場を断念、彼の思いも込めてリングに上がったティミーは、かつてアレックスも対戦したことがあるというソ連のベテラン選手を倒し勝利を収める。そしてそれは、アレックが自分の人生を取り戻した瞬間でもあった。