「ヒトラーを欺いた黄色い星」のストーリー
第二次世界大戦下の1941年から1945年にかけて、ナチスに虐殺されたヨーロッパのユダヤ人は約600万人と言われている。そのうちドイツ国籍を持っていたのは16万人。ドイツ系ユダヤ人の国外移住は禁じられ、違法ルートでの脱出もほぼ不可能だった。1943年6月19日。ナチスの宣伝相ヨーゼフ・ゲッベルスは、首都ベルリンからユダヤ人を一掃したと正式に宣言した。しかし、事実は違っていた。およそ7,000人のユダヤ人がベルリン各地に潜伏し、最終的に約1,500人が戦争終結まで生き延びたのだ。ユダヤ人迫害の嵐が吹き荒れる極限状況下、彼らはいかにして身分を隠して住み家や食料を確保し、ゲシュタポの追跡や密告者の監視を掻い潜ったのか。この物語に登場するのは、いずれも潜伏開始時に16歳から20歳だった4人の若者。咄嗟の機転で運よく収容所行きを免れ、大胆にもドイツ人兵士に成りすましてベルリン市内の空室を転々としたツィオマ・シェーンハウス(マックス・マウフ)は、ユダヤ人の命を救うため、身分証の偽造を行なう。友人と共に戦争未亡人を装って映画館に出かけたルート・アーント(ルビー・O・フィー)は、ドイツ国防軍の将校にメイドとして雇われる。最も若い16歳の少年オイゲン・フリーデ(アーロン・アルタラス)は、活動家の家に匿われ、ヒトラー青少年団の制服を着て身元を偽り、反ナチスのビラ作りに協力。17歳の孤児ハンニ・レヴィ(アリス・ドワイヤー)は、髪をブロンドに染めて別人になり、映画館で知り合った男性に素性を明かし、その母親の家に匿われた。それぞれに生き延びる術を手に入れながらも、やがて窮地に追い込まれた4人は、いかにして戦後まで生き延びたのか。その真実が今、明らかになる。