解説
第二次大戦中のナチによるユダヤ人虐殺事件によって起った一エピソードを描いたもの。本国ユーゴのプーラ映画祭で劇映画部門の最優秀作品賞を受賞。監督は「平和の谷」のフランツェ・シュティグリッチ。自ら脚本も担当している。主演のドシツァ・ジェガラッツはこの映画でデビューした新人女優。映画祭で女優賞を受けた。ボリス・ドボルニクも新進のスター。
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「第9女収容所」のストーリー
十七歳のユダヤ少女ルート(ドシツァ・ジェガラッツ)はナチの眼をのがれて、父の友人ボイノビッチ(ブランコ・ティッチ)の家に、かくまわれていた。ボイノビッチは殺されたルートの父親へのせめてものはなむけと、このルートを救う手段を考えてやるのだった。そこで思いついたのは、今年十九才になる息子のイボ(ボリス・ドボルニク)とルートとを形式的に結婚させることである。結婚すればユダヤ人ではなくなるからだ。しかし、形式だけのはずのこの結婚は町中に知れわたり、イボを苦しめることになってしまった。いら立ったイボは何かにつけて反抗的な態度をとるようになり、両親に辛く当たるのだった。自分との結婚のためにイボが悩んでいることを知ったルートは、こっそり家を出て自殺をはかった。幸い一命はとりとめたが、この事件はイボにとって強いショックだった。それからの彼は人がかわったように、ルートにやさしくなった。同情が恋に発展したのである。ところがある日、ルートは彼女がユダヤ人であることを知っているナチ協力者に発見されてしまう。ボイノビッチ家に迷惑がかかるのを恐れた彼女は、いづこともなく姿を消す。イボは愛する彼女を求めて狂気のようにさまよった。危険をおかしてユダヤ人収容所までもさがしまわった彼はついにルートが「第9収容所」にいることを知り、夜、ひそかに収容所にしのびこむ。彼女を救い出すためである。収容所の周囲には高電圧の鉄条綱がはりめぐらされている。だが、電流の通るのは一定の時間だけであることを知っていたイボは、ルートとともに時間を見はからって鉄条網にたどりつく。だが、体力のないルートはそれをどうしても越えることができなかった。彼女をたすけようとイボがかけよったとき、電流が二人の体をつらぬいた。二人は手と手を結び合ったまま永遠に帰らぬ人となったのだった。
「第9女収容所」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「第9女収容所」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | 戦争 |
製作国 | ユーゴスラビア |
製作年 | 1961 |
公開年月日 | 1961年11月26日 |
製作会社 | ヤドラン・フィルム |
配給 | 映配 |
レイティング | |
アスペクト比 | アメリカンビスタ(1:1.85) |
カラー/サイズ | モノクロ/ビスタ |
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