解説
マタイによる福音書から監督としては日本初登場のピエル・パオロ・パゾリーニが脚色・監督したキリスト伝。撮影は「乞食」「ママ・ローマ」(共に日本未公開)でパゾリーニと組んだトニーノ・デリ・コリ、音楽はルイス・エンリケス・バカロフで、バッハ、プロコフィエフ、黒人霊歌などを駆使している。出演は、キリストにスペインの学生エンリケ・イラソキ、マリアに女学生マルゲリータ・カルーソ、年老いたマリアに監督の母親スザンナ・パゾリーニが、また使徒たちには監督の友人である詩人、評論家、作家それに農夫や体操選手など素人ばかり。
ユーザーレビュー
「奇跡の丘」のストーリー
予言者の言葉通り、ヘロデ王の代にべツレヘムの大工ヨゼフの婚約者マリアは、聖霊によって懐妊し、生まれた子はイエスと名づけられた。迫害を逃れるため行っていたエジプトからイスラエルにもどり、ガラリヤで成人したイエス(E・イラソキ)は、ヨハネのもとで洗礼を受けた。その時天から声かひびきわたり、イエスが神の子であることを告げた。彼はただひとり、荒野で四十日間の断食、さらに悪魔と対決し、退けた。その後イエスはガラリヤ全地を巡り歩き、教えを広め始めた。群衆を伴って山にのぼっては、神の国の福音を説ききかせた。そしてイエスは数々の奇跡をも行なった。しかし、悔い改めるものばかりではなかった。イエスは、自分が長老や司祭たち、律法学者たちから苦しみを受け、殺されることを知っていたが、それでも怖れずエルサレムめざして布教の旅を続けた。エルサレムについたイエスは、長老や司祭たちの偽善を責め、最後の審判の日の近いことを説くのだった。やがて過ぎ越しの祭りの日、十二人の弟子とともに晩さんの席についた。そして「この中の一人が私を裏切るであろう」といった。預言通り、イエスは弟子の一人ユダに売られ、ゴルゴタの丘で十字架にはりつけになった。それから三日目、イエスは復活し、十一人の弟子の前に姿を現わした。
「奇跡の丘」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「奇跡の丘」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ |
製作国 | イタリア |
製作年 | 1964 |
公開年月日 | 1966年9月22日 |
製作会社 | アルコ・フィルム |
配給 | 東和 |
レイティング | |
アスペクト比 | スタンダード(1:1.37) |
カラー/サイズ | モノクロ/スタンダード |
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