霧子のタンゴ

きりこのたんご
上映日
1963年8月25日

製作国
日本

制作年
1963
上映時間
86分

レーティング
ジャンル
ラブロマンス

check解説

沢野久雄原作“河の涯”より「妻という名の女たち」の沢村勉が脚色、「しろばんば」の滝沢英輔が監督した純愛ドラマ。撮影は「若い東京の屋根の下」の横山実。
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この作品のレビュー

ユーザーレビュー

  • ミャーノフ大佐

     拾い物の映画でした。日活の歌謡映画でプログラムピクチャーの1本なんだろうけど、面白かったよ。もうフランク永井のヒット曲を使って映画を作ろう、と考えて出来た映画でしょ。だって映画の中で霧子なんて出てこないもん。
     話の筋も平凡なストーリーに味付けをして面白くしている。単純な恋愛三角関係じゃなくて、そこからさらに話を膨らませているので、観る側の興味を引きつける。でもラストはどうかな。日活アクション映画の終わり方だ。無理矢理作ったにしてはちゃんと出来ている。まあ、あんまり期待しすぎない方が良いけど。
     主人公の千代に松原智恵子、その恋人菊川に山内賢、千代の姉に南田洋子、千代や菊川の働いていたナイトクラブの同僚に内藤武敏を押さえておけば良いか。後は、菊川の金持の友人で千代に惚れる男大矢木を清水将夫がやっているがあまり知らない。そして大矢木の実の母を奈良岡朋子がやっている。奈良岡は1963年に大きな息子を持つ母親役を演じていたんだ。まだ34歳だよ。北林谷栄や菅井きんみたいに若い頃から老け役をやっていたんだ。
     千代の実家が佃島で、畳職人の祖父と姉と一緒に暮らしている。で、この実家の奥から玄関までを仰瞰で撮っているところは小津の映画を思い出してしまった。また、佃島の古い町の雰囲気は成瀬巳喜男の「流れる」を思い出した。映画の撮影で意識したのだろうか。そして築地と佃島の間を船で通うというのは時代を感じさせるなあ。これも先日観た「半処女」では浅草と向島を同じく船で渡っていた。東京オリンピックの前だと、まだ都市のインフラが整備されていなかったんだなあ。
     主人公である松原智恵子が可愛いのはもちろんなんだけど、拾い物が内藤武敏だ。彼が歌うシーンがあるんだけど、これが上手いんだよね。吹き替えじゃないと思うんだけど。それに当たり前だけどフランク永井が上手いなあ。この頃は30歳くらい。こんな若い頃からあんな低音の魅力を出せていたんだ。

「霧子のタンゴ」のストーリー

待井千代はナイト・クラブ“トレド”のクローク係であった。ある日“トレド”の経営者大矢木亮三の息子俊一の現金二十万円が紛失した。立場上千代はその疑いを受けるはめになった。疑いのまなざしを投げる同僚の中にあって、気の重い千代を慰めるのは、千代に好意を寄せるバーテンの菊川明だけであった。“トレド”をやめる決心をした千代をみかねた明は、俊一に信疑をたずねた。しかし、俊一自身二十万をどこで失くしたか見当がつかないのだった。明の努力もむなしく、千代は事件の責任を取って解雇された。しかし皮肉にもその翌日、二十万は、俊一のゆきつけのバーからみつかった。自責の念にかられる亮三親子の世話で千代は亮三の経営する靴店に勤めることになった。千代に好意を寄せる亮三は、千代を俊一の嫁にしたいと考えていた。また千代も、暗い出生の秘密をもつ俊一に同情した。俊一の心はやさしい千代に急速に傾いていった。噂を聞いた明は、千代に確かめるため、川端の路を急いだ……がそこでみたのは俊一が千代に接吻している姿であった。ののしる声を聞いた千代は、自分が本当に愛しているのは明であった事に気づいた。今はレストランのコックをしている明を前に千代は「明さんが好き」とうち明けた。その夜愛の歓喜の中で、二人は俊一の寂しい後姿を忘れることが出来なかった。その頃俊一は、実の母を訪ねて信州の温泉旅館“鶴の湯”に来ていた。女将鶴を母だと信じる俊一に鶴は強く否定した。翌日国道に事故死を遂げた俊一が発見された。霊前にむせぶ明と千代、焼香する鶴の姿もあった。鶴はやっはり俊一の母だったのだ。それから一月後、外国船のコックとして明は旅立った、千代の幸福そうな微笑がそれを見送っていた。

「霧子のタンゴ」のスタッフ・キャスト

スタッフ
キャスト役名

「霧子のタンゴ」のスペック

基本情報
ジャンル ラブロマンス
製作国 日本
製作年 1963
公開年月日 1963年8月25日
上映時間 86分
製作会社 日活
配給 日活
レイティング
アスペクト比 シネマ・スコープ(1:2.35)
カラー/サイズ シネスコ