制作年: 1986
台湾の首都・台北を舞台に、偶然に交錯し合う3組の男女の姿を通して、図らずも他人を傷つけながら生きる、都会人の殺伐たる生きざまを描いた一編。犯罪、いたずら電話、夫婦の不和、不倫といった都会ならではの事象を、鋭敏なタッチで切り取る、緻密な映像と繊細な音響処理が見どころ。監督は本作で“台湾ニューウェーヴ”の頂点に立った、「エドワード・ヤンの恋愛時代」(94)のエドワード・ヤンの監督第4作。製作はリン・ドンフェイ。脚本はヤンと、台湾を代表する若手小説家で、“台湾ニューウェーヴ”の諸作に参加したシャオ・イエ、当時は映画批評家で、のちに監督に転身した「宝島/トレジャー・アイランド」のチェン・クォフー(演出顧問も兼任)の共同。音楽はウォン・シャオリャンで、主題歌を台湾の人気歌手で、当時ヤンの夫人でもあったツァイ・チンが歌っている。出演はヒロインの「望郷/ボートピープル」「夜明けのスローボート」などのコラ・ミャオに加え、「暗戀桃花源」のリー・リーチュン、チン・シーチェ、クー・パオミンら台湾の実力派俳優らが脇を固める。86年台湾金馬奨グランプリはじめ、各国の映画祭で絶賛された。日本では1996年公開後、19年ぶりの2015年にデジタルリマスター版が公開された。