- キネマ旬報WEB トップ
- 柄本佑
略歴 / Brief history
京都の生まれ。父は俳優の柄本明、母は女優の角替和枝、3歳下の弟も俳優の柄本時生という芸能一家に育つ。和光高校在学中の2001年、黒木和雄監督「美しい夏キリシマ」のオーディションを受け、合格。爆撃で命を落とした親友に対する負い目を背負いながら終戦末期の日常を生きる少年の不安と虚無を生々しく演じ、劇場公開された03年にキネマ旬報賞新人男優賞などを受賞する理想的なデビューを飾った。以後、映画を中心にメジャーからインディペンデントまで多数の作品に参加。05年には若松孝二監督たっての希望で「17歳の風景・少年は何を見たのか」に主演し、母親をバットで撲殺した17歳の少年が自転車で北陸まで逃走したという実在の事件をモチーフに、ほとんど台詞がなく、ひたすら自転車を漕ぎ続ける主人公の少年を演じて注目を集める。その後の主演作には、釜山を旅して謎めいた女性に恋をする青年を演じた武正晴監督「ボーイ・ミーツ・プサン」06、赤ん坊だった頃の自分を誘拐した女性と奇妙な関係を育む若松節朗監督「子宮の記憶・ここにあなたがいる」06などがある。両親ともに演劇畑という環境に育った影響と、父親譲りの飄々とした風貌からか、メジャー作品やテレビドラマでは印象的な脇役が多く、時として主役を喰う存在感も発揮。生真面目な仇討ち代理人を演じた熊切和嘉監督「フリージア」06、地方都市の在日ヤクザの息子役の日韓合作「ノーボーイズ,ノークライ」09、親に片目をえぐられた青年を演じた大森立嗣監督「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」10などが印象深い。10年、大ブームを巻き起こしたNHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』では、水木しげるのアシスタントを最も長くつとめた、通称“点々の菅ちゃん”役でレギュラー出演し、凡人の悲哀を軽妙に表現して、お茶の間の幅広い人気を得た。
柄本佑の関連作品 / Related Work
作品情報を見る
-
花腐し
制作年: 2023松浦寿輝の第123回芥川賞受賞作を、数々の脚本を手がけ「火口のふたり」などではメガホンを取った荒井晴彦が、斜陽のピンク映画界を背景に取り込み映画化。ピンク映画業界で生きる監督・栩谷と脚本家志望だった伊関は、同じ女を愛していたことに気付き……。“花腐し”とは『万葉集』に登場する五月雨の表現で、きれいに咲いた卯木の花をも腐らせてしまうじっとりと降りしきる雨を表している。5年映画を撮っていない映画監督・栩谷を「ホムンクルス」の綾野剛が、かつてシナリオを書いていた伊関を「火口のふたり」で主演を務めた柄本佑が、二人が愛した女優・祥子をほな・いこか名義で音楽活動をするほか「愛なのに」などに出演するさとうほなみが演じ、二人の男と一人の女の愛の物語を紡ぐ。 -
ippo
制作年: 2022俳優の柄本佑が、劇団「東京乾電池」所属し、ユニット「曖昧なカンパニー」を主宰する劇作家・演出家の加藤一浩の3本の演劇戯曲を原作に映画化した短編連作集。3 本すべてが男ふたりの物語であり、「ムーンライト下落合」で久々に再会する友人ふたりに加瀬亮と宇野祥平、「約束」の兄弟に渋川清彦と柄本時生、「フランスにいる」画家とそのモデルに加藤一浩と高良健吾が出演。スタッフは柄本佑が主演を務めた「きみの鳥はうたえる」の四宮秀俊が全編撮影を担当。助監督として、「きみの鳥はうたえる」の映画監督・三宅晶、俳優・映画監督の森岡龍が1本目の「ムーンライト下落合」に参加するなど、柄本佑のキャリアとネットワークを最大限に生かした布陣になっている。