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- 鷲尾いさ子
略歴 / Brief history
新潟県新潟市の生まれ。1983年からファッション誌『装苑』の専属モデルとなり、表紙を飾り続ける。新潟清心女子高校卒業後の85年に、全日空の沖縄キャンペーンガールに選ばれ、本格的に芸能活動を開始。86年、戦争間近の尾道を舞台にした大林宣彦監督「野ゆき山ゆき海べゆき」で、ガキ大将たちが憧れ、娼家へ売られる小船の上で悲しい決断を下す“お昌ちゃん”役で鮮烈な女優デビューを飾る。この作品で、毎日映画コンクールのスポニチグランプリ新人賞を受賞。翌87年の三村晴彦監督「瀬戸内少年野球団・青春篇/最後の楽園」では、原作者の阿久悠も唸る美女ぶりで、早くも超然たる個性を確立する。同年のパリ・コレクションでモデルをつとめたのち、三大成人病をコミカルに料理したオムニバス「ボクが病気になった理由(ワケ)」90の鴻上尚史監督篇「マイ・スウィート・リトル・キャンサー」では、癌と思い込む立て篭り犯を説得するクールな女医役で不思議な笑いを生み、大林監督の「彼女が結婚しない理由」92ではマリッジブルーの令嬢を演じた。翌93年、澤井信一郎監督「わが愛の譜・滝廉太郎物語」では、風間トオル演じる廉太郎と恋に落ちるピアニストを熱演。クライマックスのコンサート場面に備え、猛特訓の末に難曲の鍵盤の位置をマスターし、妥協を許さぬ澤井演出と木村大作キャメラマンの撮影に応えた迫真の演技で、ヨコハマ映画祭主演女優賞などに輝く。以降も、川島透監督「押繪と旅する男」94の江戸川乱歩の世界から抜け出たかのような妖艶な兄嫁、松岡錠司監督「私たちが好きだったこと」97の奔放な美容師役などで忘れ難い名演を披露している。一方、テレビドラマでは、NHK大河ドラマ『信長』92や煎餅屋に嫁ぐインド人を妙演したTBS『谷口六三商店』93などを経て、94年からの日本テレビ『検事霞夕子』シリーズでは、複雑な人間模様に葛藤しつつも法で斬り込む検事を凛々しく好演し当たり役とした。95年9月にTBS『俺たちルーキーコップ』92などで共演した仲村トオルと結婚。二女の母となり、産休などもあって2000年代以降は女優としてはほぼ休業状態である。
鷲尾いさ子の関連作品 / Related Work
作品情報を見る
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ベル・エポック(1998)
制作年: 199820代後半を迎えた五人の女性たちの、恋愛や仕事の悩みを描いたハートフル群像劇。監督は「私たちが好きだったこと」の松岡錠司。逢坂えみこの原作コミックを松岡と「機関車先生」の福田卓郎が共同で脚色。撮影は「冷たい血」の石井勲。主演は「はるか、ノスタルジィ」の石田ひかり、「ラヂオの時間」の鈴木京香、「良寛」の鷲尾いさ子など。 -
私たちが好きだったこと
制作年: 1997偶然の出会いから、2LDKの公団マンションで奇妙な同居生活を始めることになった4人の男女の心の機微を描いた恋愛ドラマ。監督は「トイレの花子さん(1995)」の松岡錠司。俳優の岸谷五朗が、数多くの映画化作品で知られる宮本輝の同名小説の映画化を思い立ち、企画も兼ねて主演している。脚本は「集団左遷」の野沢尚。撮影は「イグナシオ」の石井勲が担当した。主演の4人の男女には「バースデイプレゼント」の岸谷のほか、「GONIN2」の夏川結衣、「バースデイプレゼント」の寺脇康文、「イグナシオ」の鷲尾いさ子。