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これまでのイメージを崩壊させた・長澤まさみ、今後を担う新生・奥平大兼の熱演に圧倒
2021年11月5日これまでのイメージを崩壊させた・長澤まさみ、今後を担う新生・奥平大兼の熱演に圧倒 「新聞記者」(19)、「宮本から君へ」(19)、「ヤクザと家族 The Family」(21)と、鮮烈かつ良質な作品を連発している映画会社スターサンズと、「まほろ駅前」シリーズ(11〜14)や「日日是好日」(18)などの鬼才・大森立嗣がタッグを組んだ映画「MOTHER マザー」のBlu-ray&DVDが、11月5日(金)に発売される。 実際に起きた祖父母殺害事件を下敷きに、息子へ歪んだ愛情を注ぐ母親、そんな母親から逃れることのできない息子に降りかかる過酷な試練を映し出していく。 怪物のような母親を体現した長澤まさみ、オーディションで抜擢された奥平大兼の熱演 母親の三隅秋子を演じるのは、「コンフィデンスマンJP」シリーズ(18〜22)や「マスカレード」(18〜22)シリーズで国民的女優となった長澤まさみ。普通の愛し方、育て方を知らず、それが正しくないことかどうかもわからず、息子を恫喝し、叱責するようにして彼をがんじがらめにしていく怪物のような母親を体現。その鬼気迫る姿は、明朗で破天荒な「コンフィデンスマンJP」のシリーズのダー子、凛とした「マスカレード」シリーズの山岸尚美のイメージを完全破壊させる。そして息子の周平を演じるのは、オーディションで抜擢されて本作が映画初出演となった奥平大兼。秋子から向けられる愛情が歪んでいると悟るも、その愛に応えようとしてしまう姿が観る者の胸を抉る。2020年度日本アカデミー賞で長澤が主演女優賞を、奥平が新人俳優賞を獲得と、それも納得の熱演を両者ともに披露している。 また、秋子の内縁の夫となるホストの遼に「殿、利息でござる!」(16)の阿部サダヲ、自身も劣悪な環境で育ったことから周平を救おうとする児童相談者職員の高橋亜矢を「Red」(20)の夏帆、秋子たちが身を寄せるラブホテルの従業員に「今日から俺は!!」シリーズ(18〜20)の仲野太賀など、共演者にも実力派が結集している。 秋子という毒親が生まれてしまった背景にも迫った鋭い視点 秋子は“毒親”と呼ばれる存在にあたるが、本作はそんな彼女を表層的に描くことはしていない。その境遇を見て手を差し伸べるものの、結局は秋子を性の対象としか見られなくなって劣情をぶつけてしまう男たち。対する秋子は、そうした男たちと対峙してきたことから、生きていくためにゆきずりの関係を重ねていくしかない。秋子がそうした女性と母親になってしまった背景もしっかりと、浮きあげていくのだ。監督のほかに脚本も手掛けている大森立嗣は、そこへさらに「親子の絆とは?」「親子の愛情とは?」「母親とは?」「息子とは?」と問い掛け、深く見つめていいく。 その果てに、秋子と周平が引き起こす凄惨な事件に、それでも周平が守りたかったものには震えてしまう。 パッケージ化ならではの映像特典として、「メイキング」「完成披露舞台挨拶」「公開記念リモート舞台挨拶」「予告集」を収録。「メイキング」では、撮影時の様子のほか、長澤まさみが「男性からみる目線、女性から観る目線で、大きく変わりそうな印象を持った人」とヒロインの秋子を分析するなど、キャストがそれぞれ演じていたキャラクターや秋子と周平の関係性などについても語っており、作品の奥行きがグッと深まるはずだ。 スターサンズ、大森立嗣、長澤まさみ、奥平大兼。日本映画を支える実力派たちと、今後を担う新生のめぐり合わせが生んだ感動の衝撃作だ。 制作=キネマ旬報社 「MOTHER マザー」 ●11月5日(金)Blu-ray&DVDリリース(DVDレンタル同日リリース) Blu-ray&DVDの詳細情報はこちら ●Blu-ray:5,280円(税込) DVD:4,290円(税込) ●特典(Blu-ray、DVD共通) 【映像特典】 ・メイキング ・完成披露舞台挨拶 ・公開記念リモート舞台挨拶 ・予告集 【仕様・封入特典】 ・フォトブックレット ●2020年/日本/本編126分 ●監督:大森立嗣 出演:長澤まさみ、奥平大兼、夏帆、皆川猿時、仲野太賀、土村芳、荒巻全紀、大西信満、木野花、阿部サダヲ ●発売元:株式会社ハピネットファントム・スタジオ 販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング ©2020「MOTHER」製作委員会 -
【あの頃のロマンポルノ】沢田幸弘監督の『濡れた荒野を走れ』
2021年11月5日2021年に、日活ロマンポルノは生誕50年の節目の年をむかえました。それを記念して、「キネマ旬報」に過去掲載された記事の中から、ロマンポルノの魅力を様々な角度から掘り下げていく特別企画「あの頃のロマンポルノ」。キネマ旬報WEBとロマンポルノ公式サイトにて同時連載していきます。(これまでの掲載記事はコチラから) 今回は、「キネマ旬報」1973年8月下旬号より、松田政男氏による「沢田幸弘監督の『濡れた荒野を走れ』」の記事を転載いたします。 1919年に創刊され100年以上の歴史を持つ「キネマ旬報」の過去の記事を読める貴重なこの機会をお見逃しなく! 日活は、いま、誰に住み良いのか? 反ポリ公映画の快適な画面 サングラスをかけているので眼付きが悪いかどうかは不分明であるとしても、とにかく一癖も二癖もありげなタフな男 --必ずしも若くはなく、さりとて中年というわけでもない-- が二人、街を歩いている。とある私鉄の小さな駅頭。それまで付かず離れずの感じだった二人組は、ここで肩を寄せ合い、物蔭から駅前の小広場を眺め上げる。ベトナムの戦災復興(!?)への救援カンパ募集の風景。けっこうゼニを投じる人が多い。二人組はうなずき合う。シーンかわって、教会の内部、数百万ほどにまでなったカンパを牧師の父親と清純な娘が集計中、方々へ電話をかけてお礼を言ったりし、ゼニは金庫の中へ。突如、ストッキングで覆面した五人組の男たちが乱入し、あとはお定まりの神もおそれぬ強盗・強姦の一大オルギア。哀しげなキリスト像をあとに、男たちは戸外へ。車の傍で覆面をとり、黒装束を脱ぎ…… なんと彼らは、と思う間もなく、カー無線が闇をつんざく。こちら本署、県警三号、応答願いますー。 つまり強盗・強姦の一味は、現職の警察官、指揮をとる者はあのタフな二人組のデカ。強盗発生を告げる本署からの指示に従って、彼らは今度は捜査官として件の教会に引返す。むろん他のパトカーを引離して断然一番乗りだ。彼らの入念な捜査風景ー証拠収集ならぬ証拠煙滅のための。 かくも鮮やかにポリ公どもをコケにするとなると、冒頭の、例によって例のごとき、この映画における物語および人物の設定はすべてフィクションである、というタイトルさえもが、かえって逆の意味に化し去って、リアリティを増幅させる仕掛けとなるのだから、これは、もう、沢田幸弘は、なかなかヤッてくれるのである。しかし私は、沢田のロマンポルノ第二作なる『濡れた荒野を走れ』の快適な導入部に堪能しながら、オヤッ、これは前に一回、確かどこかで見たことがあるな、と一瞬思い、そして直ちに、いや、前に見たことがあるとしても、それはスクリーンならぬ紙の上においてであったのだと再び思い返さざるをえなかったのである。そう、沢田幸弘はほぼ一年前の本誌586号所載のシナリオ通りの画面をば、一年後において撮り上げたのだ。むろん、シナリオの「ビアフラ救援カンパ」が「ベトナム救援かんぱ」となる等々、多少の手直しはある。しかし厳密に照合するまでもなく、沢田は、細部にいたるまで --たとえば後段のアングラ芝居のシーンを私は即興演出だと思い込んでいたが、シナリオを読み返してみると必ずしもそうではなく、長谷川和彦脚本は実に細かく書き込まれている一 、一年前のシナリオに忠実であったのだ。何故か? 本誌586号における沢田自身の言葉を聞こう。「このシナリオの形で撮るのでなければ、意味がないのではないか。もしそれが満たされぬのであったら、撮れない」! 周知のように、一年前の7月、『濡れた荒野を走れ』は、クランクイン直前で、突如、製作延期となった。沢田自身によれば「政治的情況への配慮から」だそうで、では誰が「配慮」したのかと言うと、酒井良雄によれば「日活労組が直接クレームをつけ」「ポリの鼻息を伺った」(映画批評72・9)ということであるようだ。7月、9月、12月と延期はさらに重ねられ、しかし沢田は粘りに粘り、ほぼ一年後、この反ポリ公映画を原型通りに撮り上げてしまったのである。この点、「さそり」の第三作めを、やはり粘りに粘って原型通りに完成した東映の伊藤俊也と沢田は、その執念深さにおいてまさに双壁であると言っていい。しかし、変転きわまりないこの一年の経緯は、私に対して、作家個人の資質もしくは性癖を云々することではなく、むしろ、一本のプログラム・ピクチュアでさえも--いや、プログラム・ピクチュアだからこそ、映画 --内-- 情勢のみならず全情勢との相関においてとらえ返さなければならぬことを強いるのだ。かつて私は、沢田が『セックス・ハンター 濡れた標的』を作った時点において、本誌593号で、大島渚の言葉を引きつつ、沢田が「おのれの内部から発する歌のみをうたう詩人」という栄光の道ではなく、「眼前に現われる事象を素材として映画と化してしまうその魔法」の術者としての悲惨の道にあえて出立しつづける営為をば讃えたことがあった。しかし今や、栄光と悲惨は、単純な二分法では測定しえぬほどまでに混沌としている。一本のプログラム・ピクチュアの完成に確執しようとする作家は、「魔法」の術者ならぬ「詩人」の道をこそ歩まなければならないのだ。今や情勢は、とりわけ、プログラム・ピクチュアの作家たちに困難を強いているのではないか? 一切の擬制に抗する戦いを なるほど、本誌586号で沢田自身が「ロマンポルノ路線の製作条件をふまえれば、昔と違って現在の日活は、かなり作る側が主体性をもった形での映画作りが出来る状勢」にあると言い、またつい最近も神代辰巳が本誌605号で語った「今までの映画界の常識から言ってはるかに好きなことができる革命的な」そして「これまで撮りたくても撮れなかったものがどんどんできる……すごい」情勢なるものが、日活には未だ存在しているのでもあろう。沢田の『濡れた荒野を走れ』を挾んで、神代の『女地獄 森は濡れた』、西村昭五郎の『淫獣の宿』、曽根中生の『昭和おんなみち 裸性門』、田中登の『真夜中の妖精』と、日活のエンターテイナーたちは、依然として、頑張りつづけているかに見える。大朝日シンブンの名言を借りるならば「驚くべき集中度」によって「秀作」が誕生しつつある活況がなおつづいているのかもしれぬ。しかし、にもかかわらず、日活はいま、本当に「好きなことができる」場所であるのか? 私は、ここで活況の裏側を鋭く衝く山口清一郎の告発を聞かなければならない。足立正生のインタビューに答えつつ、山口は、映画による審査ならぬ再審査--「一度映倫マークをつけたものをチェックし直す」という、「公安と映倫と資本のなれあい」によるポルノ表現への大規制の実情をアバきつつ、「チェックされた連中はこのまま看過するのか。本来一番敏感であるはずの監督会の反応も、現在ない。同業者がこれでは何とも心もとない。表現まで権力の恣意性にゆだねたら、『作品』=『オノレ』という意識的なモメントはどう屈折させると言うのか」(映画批評73・6)と怒りをぶちまけている。山口によれば、再審査問題で「映倫に抗議した」のは「どうも…俺だけらしい」!住み心地の良さを謳歌している過程で、特に、『女地獄 森は濡れた』等の再審査以降、先述した「秀作」群も含めて、ポルノシーンは規制に次ぐ規制を受け、映倫の基準は大改悪、今や黒い霧が画面に立ち籠め、男女が絡み合うや否や何も見えなくなるという惨状を呈している。山口は言う、「存在べったりのおめでたムードのメッキは脆くも剥がれた」と。国家権力に抗すべく「どんどんポルノをつくる。つくること即回答」というエセ「主体」的な発想そのものに、日活ロマンポルノ大後退の根拠を見る山口の告発に、かくて、私たちは耳を傾けなければならないのだ。住み心地の良さの代償として、確かに何かが喪われてしまったのである。 「どんどんポルノをつくる」のではなく、何をいかにつくるのかがまさに問われる時、一年前、沢田は挫折の苦汁を嘗めた。一年後、今度は、山口清一郎の「恋の狩人・淫殺」がタブーとしての天皇制に触れているという理由で、クランクイン直前はおろか、企画そのものから抹殺されようとしている。突出した主題、突出した表現を追求する者にとって、いま、日活は住み良いのか?沢田は一年前にいみじくも言った、「抗議するための映画を作る、などという皮相な形ではなく、それを、フィルム自体の力として打ち出したい」と。しかし沢田が一年後に『濡れた荒野を走れ』を完成するためには、さらに、「映倫マークのついたポルノ映画は、もう、ポルノでなくなったポルノ映画である」(本誌593号)という醒めた認識をも併せ持つことが必要となったのだ。沢田幸弘の一年間にわたる粘り強い戦いは、「おのれの内部から発する歌」のためのみならず「存在べったりのおめでたムードのメッキ」をも剥ぎ取るべき醒めた戦いでもあった。山口清一郎は沢田幸弘のの身を賭しての教訓に学ばなければならない。あらゆる擬制に抗して戦う者、戦いつづける者にとって、果して、日活は住み良いのであろうか? 文・松田政男 「キネマ旬報」1973年8月下旬号より転載 『濡れた荒野を走れ』 【DVD】 監督: 沢田幸弘 脚本:長谷川和彦 価格:2,200円(消費税込み) 発売:日活株式会社 販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング 「日活ロマンポルノ50周年×キネマ旬報創刊100周年」コラボレーション企画、過去の「キネマ旬報」記事からよりすぐりの記事を掲載している特別連載【あの頃のロマンポルノ】の全記事はこちらから 日活ロマンポルノ50周年企画「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」の全記事はこちらからご覧いただけます。 日活ロマンポルノ50周年新企画 イラストレーターたなかみさきが、四季折々の感性で描く月刊イラストコラム「ロマンポルノ季候」 -
芸術の秋、日比谷で映画三昧の一週間!「日比谷シネマフェスティバル2021」が開催
2021年10月15日芸術の秋、日比谷で映画三昧の一週間!「日比谷シネマフェスティバル2021」が開催 古くから映画の街として歴史を築いてきた日比谷。かつては日劇、日比谷映画、スカラ座といった劇場で数々の名作・ヒット作が上映され、現在もTOHOシネマズ日比谷などたくさんの劇場で映画ファンを楽しませている。今年から東京国際映画祭が日比谷・有楽町・銀座をメイン会場に行われるのも話題だ。 そんな映画の街・日比谷で、この秋、「HIBIYA CINEMA FESTIVAL(日比谷シネマフェスティバル)2021」(10月22日~10月29日)が開催される。映画の街のイベントにふさわしく、「新しい映画の楽しみ方を提案する体験型の映画祭」として展開。まるで公園のような空間で、くつろぎながら、遊びながら、一味変わった映画鑑賞ができる「Park Cinema(パークシネマ)」、監督のトークセッションも注目の「トロント日本映画祭 in 日比谷」、歴代の「キネマ旬報」誌が展示される「KINEJUN図書館 in 日比谷」と、映画の醍醐味にあふれた企画がずらり。まさに芸術の秋にふさわしい「体験する映画祭」、思い思いの楽しみ方で存分にエンジョイできそうだ。 子どもと一緒に大ヒット作品をオープンエアで楽しめる 日比谷ステップ広場には、遊具とシネマが融合した空間「Park Cinema」が登場。「ゴーストバスターズ」「チャーリーとチョコレート工場」など、子どもごころをくすぐる大ヒット作品が、オープンエアで無料上映される。とびきりの娯楽作ぞろいとあって、幼い頃に見た世代には感動が蘇り、子どもたちはワクワクと胸弾みそう。ウッドチェアで楽しむ特別観覧席に加えて、今年は芝生の上にテーブルとイスおよび遊具を配置した「ファミリー席」を新設、空の下でのびのびと鑑賞できる。これまで映画を長い時間見続けるのは難しくて映画館には足を運べなかったというファミリーも、ひらけたオープンエアでくつろぎながら、新しい映画体験ができそうだ。(特別観覧席、ファミリー席は予約制、一部自由観覧席あり) 世界で注目を集める監督たちのトークセッション 「第3回 トロント日本映画祭 in 日比谷」では、話題の日本映画を英語字幕付きで無料上映。6月にカナダで上映されたラインナップから人気作品がセレクトされている。「宇宙でいちばんあかるい屋根」の藤井道人監督、「私をくいとめて」の大九明子監督、「みをつくし料理帖」の角川春樹監督ら、気鋭の監督たちのトークセッションがおこなわれるのも見どころの一つ(トークセッションはオンラインでも生配信)。世界の注目を集めるフィルムメーカーたちがどんな言葉を聞かせてくれるのか、大いに期待がふくらむ。 創刊102年「キネマ旬報」がずらり 「KINEJUN図書館 in 日比谷」は、歴代の「キネマ旬報」が東京ミッドタウン日比谷にやってくる。昨年はパネル展示が大好評だったが、今回は2021年に創刊102年を迎えた「キネマ旬報」誌がずらりと展示される。時代を物語る表紙が並んだ光景は、胸ときめくカバーストーリーの世界。一斉を風靡したスター、時を超えて愛される名作映画の表紙を見ながら、映画の歴史に浸るひと時を過ごせそうだ。 映画の街・日比谷で、映画の過去・現在・未来をいきいきと感じることができそうな、とびっきりのシネマフェスティバル。都心の真ん中で、素敵な映画時間を思いっきり満喫したい。 「HIBIYA CINEMA FESTIVAL(日比谷シネマフェスティバル)2021」 期間:2021年10月22日(金)~10月29日(金) 入場:無料 <屋外映画特別観覧席、ファミリー席は予約制(一部自由観覧席あり)> ※イベントの詳細・予約はこちら URL:https://www.hibiya.tokyo-midtown.com/hibiya-cinema-festival/ 主催:東京ミッドタウン日比谷/一般社団法人日比谷エリアマネジメント 後援:在日カナダ商工会議所 協力:株式会社コトブキ/TOHOシネマズ株式会社/トロント日系文化会館/株式会社キネマ旬報社 ※イベントは、新型コロナウイルス感染症の感染状況に鑑み、企画の内容等を変更、または開催を中止する場合があります。最新の状況はイベント特設サイトでご確認ください。 -
【あの頃のロマンポルノ】随想 - 白川和子
2021年10月15日2021年に、日活ロマンポルノは生誕50年の節目の年をむかえました。それを記念して、「キネマ旬報」に過去掲載された記事の中から、ロマンポルノの魅力を様々な角度から掘り下げていく特別企画「あの頃のロマンポルノ」。キネマ旬報WEBとロマンポルノ公式サイトにて同時連載していきます。 今回は、「キネマ旬報」1972年11月下旬号より、「随想 ある日・そのとき・わたしは・思う」に女優・白川和子さんが執筆された記事「夢へのステップを」を転載いたします。 1919年に創刊され100年以上の歴史を持つ「キネマ旬報」の過去の記事を読める貴重なこの機会をお見逃しなく! 随想 ある日・そのとき・わたしは・思う「夢へのステップを」 日活に移ってから、早いもので一年が経ちました。ロマンポルノ作品の主演女優としてスタート地点に立ったのが去年の十月、それから今日まで、どうにかこの新しい道を、順調に歩いているような気持ちでいます。ピンク映画時代からのファンの方々や、日活作品の出演後に名前を覚えて頂いた新しいファンの方々の励ましや、活字となった反響を眼にすることで、女優としての自覚を、何度も新たにしたものです。 ▲『さすらいの情事』(1972)より しかし、いまにして振りかえってみると、ここに至るまでの道は、決してまっすぐで、平担な道ではありませんでした。ピンク女優時代には、大変なスランプに陥り、しばらく「映画情報」社のお世話になり、OL生活をおくったこともありました。もちろん、こうしたことは私に限ったことではなく、誰にも、それなりのつらい季節や、脇道にそれてしまう時期というものが、訪れるものだと思います。そうした、誰もが心挫ける時に私の心の支えとなっていたのは、五社のスター女優には負けたくないという闘志と女優としての精一杯のプライドでした。 ▲『団地妻 しのび逢い』(1972)より こうした気持ちが心の底にあるためなのか、私はつい自分の演じる役に熱を入れすぎて、演技を越えて夢中になってしまうことが応々にしてあります。 ところで、他の俳優さんの作品を見て、自分もあのような役どころを、一度でいいから演じてみたいというのは、俳優として誰もが持つ素朴な感情だと思います。そしてそれが俳優の夢でもあるのです。私の場合、それは左幸子さんが演じた「にっぽん昆虫記」の松木とめのような女性です。どこまでも生きることに執着する女性、日本の土の匂いをしみこませている女性、そういう女性を、思う存分に演じられる女優になれたら、これ以上うれしいことはありません。 女優はただ一人の、あるいは限られた少数の男性や女性のためにではなく、すべての人のために存在しているものかなと思います。こうしたことを心に刻みこみながら、私は自分の夢へのワン・ステップを、いま歩んでいるのです。 文・白川和子 「キネマ旬報」1972年11月下旬号より転載 日活ロマンポルノ 日活ロマンポルノとは、1971~88年に日活により製作・配給された成人映画で17年間の間に約1,100本もの作品が公開された。一定のルールさえ守れば比較的自由に映画を作ることができたため、クリエイターたちは限られた製作費の中で新しい映画作りを模索。あらゆる知恵と技術で「性」に立ち向い、「女性」を美しく描くことを極めていった。そして、成人映画という枠組みを超え、キネマ旬報ベスト・テンをはじめとする映画賞に選出される作品も多く生み出されていった。 オフィシャルHPはこちらから 過去の「キネマ旬報」記事からよりすぐりの記事を掲載している特別連載【あの頃のロマンポルノ】の全記事はこちらから 日活ロマンポルノ50周年企画「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」の全記事はこちらからご覧いただけます。 日活ロマンポルノ50周年新企画 イラストレーターたなかみさきが、四季折々の感性で描く月刊イラストコラム「ロマンポルノ季候」 -
国民的ドラマ「相棒」が新たな戦いへ!「season19」から右京の歩みを辿る
2021年10月12日国民的ドラマ「相棒」が新たな戦いへ!「season19」から右京の歩みを辿る いよいよ明日、国民的ドラマ「相棒」の新シーズンがスタートする。切れモノ過ぎるゆえに警視庁上層部からにらまれ、特命係という閑職に追いやられてもなお、自らの信念を貫き、名推理で事件を解決する、警部・杉下右京(水谷豊)。冠城亘(反町隆史)とのタッグも、7シーズン目に突入! シリーズ20作目となる、記念すべき「season20」をより楽しむために、明日発売される『相棒 season19』ブルーレイBOX&DVDBOXで、これまでの右京の歩みを辿っておこう。 1年、1年、積み重ねた先の、20周年の実績 2000年にスタートした「相棒」は、昨年、20周年の節目を迎えた。時には、右京(水谷)が容疑者に、亘(反町)は被害者に接触して別々に捜査を行う(第16話)など、「season19」では、ますます息の合ったコンビネーションで、事件を解決していく右京と亘。右京の、亘に対する信頼も厚くなり、亘との息の合った掛け合いも目立った。第12話で、詐欺グループのアジトに潜入した亘と、外から揺さぶりをかける右京の連携捜査は痛快だ。これぞ長年、育んできた信頼関係があってこそ! 今回の特典映像には、水谷と反町のスペシャルインタビューも収録。水谷は「あっという間で、20年という長さの実感はない。1年、1年、いまを積み重ねていくうちに、気がついたら20年経っていた感覚」と振り返る。右京と亘の関係性についても「意識して、何かを変えようと思ったことはありません。同じ時間を重ねていく中で、自然に変わっていくものだから」と水谷が率直に語れば、「6年間、毎年7カ月間以上、一緒に撮影しているので、距離感は自然と近くなっていく。もっといい作品を作りたいという仲間意識を強く実感する中で、いい空気感が生まれていると思う」と、反町も笑顔で応じる。同録の20周年特別配信映像では、特命係の潜入取材に訪れた、赤ペン瀧川の「右京が紅茶を注ぐシーンを撮りたい」という無茶ぶりに、反町が撮影を買って出る一幕も。まさに抜群のコンビネーションだ。 相棒ならではのリアル・ワールド 水谷と反町のナチュラルな関係性が象徴するように、いま、現実世界のどこかで、こんな事件が起きているのではないか? と思わせるほど、リアルなストーリーも「相棒」シリーズの魅力だ。第1、2話では世相を反映し、右京と亘がVR(仮想現実)の世界に入り、仮想国家「ネオ・ジパング」を建てた、加西(石丸幹二)の捜査を繰り広げる。例えばこの第1話から「season19」に通底する、強者にも忖度せず正義を貫く右京の姿は、ファンを傍観者にせず、巧みに「相棒」ワールドへと巻き込んでいく。 特命係の二人を取り巻く、警視庁内の人間関係にも自然な変化が見られる。第1話で、異例の人事により捜査一課に配属された、出雲麗音(篠原ゆき子)。教育係の伊丹憲一(川原和久)、芹沢慶二(山中崇史)とも徐々になじんでゆき、絶妙なバランスで、右京たちと一緒に捜査にあたるようになる。サイバーセキュリティ対策本部の青木年男(浅利陽介)も、特命係への復讐のチャンスをうかがっていたはずが、すっかり特命係の仲間入り!? 第16話では、組織犯罪対策五課の角田課長(山西惇)も含め、特命係と仲間たちがチームワークを発揮する。 女性レギュラー陣の活躍も「season19」の見どころだ。新レギュラーとなった出雲の存在感もさることながら、その出雲の異例の人事の裏には、衣笠藤治(杉本哲太)警視庁副総監も恐れる、広報課長・社美彌子(仲間由紀恵)の働きかけがあった。「season18」最終話から登場した、特命係の行きつけの小料理屋・こてまりの女将・小出茉梨(森口瑤子)のミステリアスな魅力も見逃せない。大物政治家ともつながりのある女将が、今後どう特命係と絡んでいくのか、その動向にも注目したい。 また、かつての登場人物たちが再登場するのも、長寿シリーズならではの醍醐味だ。『season18』で12年ぶりに出演したヒロコママ(深沢敦・第15話)が今回も参戦し、拘置所から右京たちを翻弄する“平成の毒婦”こと遠峰小夜子(西田尚美・第7話)の健在ぶりには、事件後も、それぞれの人生を生きてきたという実感が湧き、見応えがある。 ブレない正義を胸に秘め、新たな戦いへ 長年、シリーズを追いかけて来たファンとしては、右京の一喝シーンは見逃せない。第5話で、24年前の因縁の相手、白河貴代(冨士眞奈美)と再会した右京。物語のラストで、貴代に「人の命より価値のあるものなどありませんよ!」と怒りを放つシーンに、右京のブレない正義を見た。作中では「真実は、事実の積み重ねでしかありません」とも語っていた。真実を追い求め続ける右京は、どこへたどり着くのか? 「season19」の第1、2話から、第19、最終話と4話にもわたって紡がれた、壮大なストーリーの最後で、右京は、一連の事件の黒幕・鶴田翁助(相島一之)内閣官房長官に「宣戦布告」した。「season20」第1話では、その鶴田内閣官房長官が登板し、さらには17年ぶりに朱雀元官房長官(本田博太郎)も出演する。「season19」でも、衣笠副総監とスリリングな攻防を見せていた、特命係直属の上司にあたる、甲斐峯秋(石坂浩二)をも引き込んだ、権力組織内のドラマが勃発するやも知れぬ。権力に屈しない、右京の新たな戦いが始まるのだろう。そう想像するだけでワクワクする。右京と同じ時を心に刻んで、新たな相棒ワールドへ、心地よく誘われたい。 制作=キネマ旬報社 『相棒 season19』 ●10月13日(水)Blu-ray BOX&DVD-BOX I・IIリリース(全20話)※レンタル同日リリース Blu-ray&DVDの詳細情報はこちら ●Blu-ray BOX:41,800円(税込) 【封入特典】 ・スペシャルハンドブック「特命事件ファイル19①&②」 【映像特典】 ・『相棒』20 周年特別配信 前篇・後篇 ・水谷豊×反町隆史スペシャルインタビュー ・VR 捜査協力のお願い ・人事異動のお知らせ ・杉下右京はここにいる ・冠城亘はここにいる ・PR スポット集 ●DVD-BOX I:19,250円(税込) 【封入特典】 ・スペシャルハンドブック「特命事件ファイル19①」 【映像特典】 ・『相棒』20 周年特別配信 前篇・後篇 ・水谷豊×反町隆史スペシャルインタビュー ・VR 捜査協力のお願い ・人事異動のお知らせ ・杉下右京はここにいる ・冠城亘はここにいる ・PR スポット集 ●DVD-BOX II:19,250円(税込) 【封入特典】 ・スペシャルハンドブック「特命事件ファイル19②」 【映像特典】 ・PRスポット集 ●2020年/日本 ●出演:水谷 豊 反町隆史 ●発売元:株式会社テレビ朝日 販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング ©2020, 2021テレビ朝日・東映