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  •  2021年に、日活ロマンポルノは生誕50年の節目の年をむかえました。それを記念して、ロマンポルノの魅力を様々な角度から掘り下げる定期連載記事を、本キネマ旬報WEBとロマンポルノ公式サイトにて同時配信いたします。  衛星劇場の協力の下、みうらじゅんがロマンポルノ作品を毎回テーマごとに紹介する番組「グレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」の過去の貴重なアーカイブから、公式書き起こしをお届けしたします。(隔週更新予定) ++++  どうも、みうらじゅんと申します。「グレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ -民俗学入門-」。今回のテーマは「女子高生(スケバン)」。女子高生の中でも、番を張られてた方の特集です。  その時、股間がうずいた… 今宵の教材は花の淫乱愚連隊。『女高生(スケバン) SEX暴力』。喧嘩上等、感度バツグン。昭和のツンデレガールズ大集合。初めて単車を買った時…。ミニよりロングがそそる時…。その瞬間から新たな歴史が始まる…。「舐めたらあかんぜよ!」  今回は、スケバンについて考えたいと思うんですけども、そもそもスケバンとは何でしょうか?今、若い世代の中にはピンとこられない方もいるかもしれませんけども、そうですね「スケバン刑事」(テレビや映画で実写化された和田慎二による少女コミック)は聞き覚えが…それもない。と、なると一応説明しますね。【スケ】っていうのは、女の人の事ですよね。それで【バン】=番を張ってる人(不良のリーダー格、番長を務める)っていうことで、とても強くてコワイ人たちの話です。それ以前にもテレビや映画では、学園ドラマというものがはやりました。「飛び出せ!青春」(村野武範主演の学園ドラマ)や、古くは夏木陽介さん(TVドラマ「青春とはなんだ」他)などが出演されていた学園モノでございましたけども、なぜか大阪万博(日本万国博覧会、1970年大阪吹田市にて開催)を境に、一気にスケバンという方が学園に現れました。  スケバン役で一番有名になられた方は、たぶん東映映画の池玲子さん(東映ポルノのスター女優)と、杉本美樹さん(「女番長シリーズ」で活躍)でしょう。僕はそれらをリアルタイムで観たクチだったんですがね、股間がやたらジンジンしているんですけど、実際、街でスケバンらしき人に遭遇するとビビりまくり。複雑な気持ちでした。 ■春夏トレンド先取り!スケバンコーディネート  たいがい映画の中でのスケバンは、こういう格好されてましたよね(イラストを出す。)  当然、茶髪ですよね。パーマもかけておられます。  でポスターでは上半身丸出しが多かったですね。肩に、セーラー服をかけてらっしゃってね。  やたらヒダの多いスカートを穿いておられた。意外に白い靴下で、スニーカーを履いておられるんですよね。  手にナイフを時にはライフルなども。いつでも戦闘態勢で映っておられましたよ。  スケバンは、よく草むらで仁義を切ることがありました。「モナリザお京とはっしやす...」みたいな自己紹介。なぜ草むらなのかと言うと、仁義を切った後にそこで転がってケンカするからですね。僕はいつも、そのシーンを観て遠ぉ~い気持ちになったもんです。  そして、今回紹介する映画の冒頭にも出てきたと思うんですけど、何故かスケバン、アウトドアで座り小便をするんです。パンクな気持ちの表れなんでしょうか?こちらはやたらそれも、怖かったですね。  ■そこんとこ夜露死苦 スケバンとの正しい交際術  そういう映画を観に行った帰りに、そういう方にカツアゲされるなんてこともありました。映画に没頭して、自分も少し、スケバン気分になってた矢先、映画館を出たとたん、いきなり「おい金、出せや」とそういう連中に囲まれるというのは、ショックですよね。そうそう関西の場合、そこで「飛んでみぃ~」って言うんですけどね。(イラストを出す)  「飛んでみぃ~」言っても、ものすごく高く飛ぶことじゃないんです。「飛んでみぃ~」というのは、ポケットに小銭を入れいる場合、飛んだ瞬間、にジャラジャラ音がするでしょ。その音が聞きたいがための常套句なんです。僕は、2、3度カツアゲにあっていましたから、ズボンの脇を固めて、ポケットに入れた小銭の音がしないように、飛ぶことが出来たんですよね。「持ってねえのかよ」とか言われて、逆に相手をあざむいたこともありましたね(笑)。でもね、コワいんだけども、スケバンの世界には、仁義とか任侠とかあって、カッコイイんです。ただ、何もできず、うつ向いている自分が「なんなんだ、男って何なんだ? 文科系ってなんなんだ?」と疑問を抱くようにもなりました。  今回の映画『女高生(スケバン) SEX暴力』、どんな暴力なんだってことですがね(笑)。ちょっとドキドキしながら、観てください。観終わった後、「こんな学園にいなくて、本当、良かった」って皆さん思われることだと思います。   『女高生(スケバン) SEX暴力』  1973年製作、片桐夕子さん主演でございます。対抗してくるスケバン勢力には、山科ゆりさん。この方もグッときますよ。是非ともご覧下さいませ。 『すけばん刑事・ダーティ・マリー』  1974年製作。当然このタイトルからもわかるように、『ダーティハリー』(1971年 アメリカ映画 クリント・イーストウッド主演)の影響から生まれたスケバンものですね。。「スケバン刑事」のタイトルは、どっちが先だったんですかね? 『スケバンマフィア 肉刑』  【肉刑】と書いて【リンチ】と読むそうですよ。1980年の作品でございます。倉吉朝子さんの主演ですね。 『スケバンマフィア 恥辱』  1980年製作。こちらも倉吉朝子さん主演でございます。 ※各作品はamazon、FANZAをはじめする動画配信サービスにて配信中です それではあなたもグレイト余生を!  出演・構成:みうらじゅん/プロデューサー:今井亮一/ディレクター:本多克幸/製作協力:みうらじゅん事務所・日活 ■2021年07月 TV放送情報 テーマ「日記」 ・『OL日記 密猟』 ・『若妻日記 悶える』 ・『宇能鴻一郎の浮気日記』 ・『OL官能日記 あァ!私の中で』 テーマ「指」 ・『白い指の戯れ』 ・『看護女子寮 いじわるな指』 ・『看護婦日記 いたずらな指』 ・『OLハンター 女泣かせの指』  あわせて、衛星劇場では、サブカルの帝王みうらじゅんが、お勧めのロマンポルノ作品を紹介するオリジナル番組「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ♯98」を放送! ※人気コーナー「みうらじゅんのグレイト余性相談室」では、皆様から性のお悩みや、疑問を大募集! 【日活ロマンポルノ】 日活ロマンポルノとは、1971~88年に日活により製作・配給された成人映画で17年間の間に約1,100本もの作品が公開された。一定のルールさえ守れば比較的自由に映画を作ることができたため、クリエイターたちは限られた製作費の中で新しい映画作りを模索。あらゆる知恵と技術で「性」に立ち向い、「女性」を美しく描くことを極めていった。そして、成人映画という枠組みを超え、キネマ旬報ベスト・テンをはじめとする映画賞に選出される作品も多く生み出されていった。 日活ロマンポルノ公式ページはこちらから
  • イ・ビョンホンなど実力派が結集!韓国現代史の暗部に迫った、戦慄と興奮のポリティカル・サスペンス 1979年10月26日。韓国大統領直属の諜報機関である中央情報部(KCIA)のトップであるキム・ジェギュ部長が、パク・チョンヒ大統領を射殺した暗殺事件。その全貌に迫ったキム・チュンシクによるベストセラー「実録KCIA 南山と呼ばれた男たち」をベースにした『KCIA 南山の部長たち』のBlu-ray&DVDが7月2日(金)に発売される。 軍事クーデターによって政権を掌握し、18年間にわたって韓国の国民に圧政を敷いてきたパク大統領。諜報機関の長として、そんな彼を支え続けてきた男ギュピョンが暗殺決行に至るまでの40日間を描いていく。 イ・ビョンホン、イ・ソンミン、クァク・ドウォン……韓国映画界を牽引する実力派が結集 中央情報部(KCIA)の部長にして暗殺実行犯となるキム・ギュピョンを演じるのは、『MASTER/マスター』(16)、『マグニフィセント・セブン』(16)などのイ・ビョンホン。パク大統領に扮するのは、『目撃者』(18)、『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』(18)のイ・ソンミン。前中央情報部長でアメリカ議会にてパク大統領を告発するパク・ヨンガクには、『アシュラ』(16)、『哭声/コクソン』(16)のクァク・ドウォン。さらに、『修羅の華』(17)のイ・ヒジュン、『未成年』(19)のキム・ソジン、監督には『インサイダーズ/内部者たち』(15)と、キャスト・スタッフともに韓国映画界を牽引する実力派が顔を揃えている。 あくまで“ノンフィクションを基にしたフィクション”だが、登場するのは韓国現代史を語るうえで欠かせない実在の重要人物をモデルにしたキャラクターばかり。しかも、年代は1970年代末期。「当時の韓国情勢に疎いと楽しめないのでは?」と思うかもしれないが、その心配を見越したかのように、誰もが楽しめる極上のポリティカル・サスペンスに仕上がっているのだ。 スリリングでエモーショナルな物語に没入すること間違いなし! 強大な権力を振りかざし、政敵や民主化を求める市民を徹底的に弾圧するパク大統領。そんな彼を敬愛しつつも、圧政を終わらせることで国のさらなる発展が望めると考えているギュピョン。そこへ、アメリカに渡って大統領の不正を暴露するギュピョンにとっての同志でもあった、前中央情報部長ヨンガクの処遇をめぐる葛藤。大統領が最も信頼を寄せるという謎の人物、“イアーゴ”の存在が招く疑心。大統領に取り入って、ナンバー2の座に就こうと策略を張り巡らせる警護室長クァク・サンチョン(イ・ヒジュン)との火花散る攻防がなだれ込み、40日という暗殺決行までのカウントダウンをよりスリリングに、物語をよりエモーショナルなものにしてくれる。 また、韓国のみならず、パリ、ワシントンにも舞台がまたがるスケール感に加えて、パリの都市部と郊外で展開するカー・クラッシュを筆頭にアクションもしっかりと用意。クライマックスにおける、厳重な警備が敷かれた宴会所での暗殺とそこから続く迫力と重厚感に溢れた銃撃戦は、韓国エンタテイメントの面目躍如といったところだ。 韓国現代史の闇に震えつつも燃え上がってしまう、渾身の一本だ。 制作=キネマ旬報社 『KCIA 南山の部長たち』 ●7月2日(金)Blu-ray&DVDリリース(DVDレンタル同日リリース) Blu-ray&DVDの詳細情報はこちら ●Blu-ray豪華版:6,380円(税込)  DVD:4,290円(税込) ●Blu-ray豪華版・DVD共通特典 【映像特典(予定)】 ・日本公開記念スペシャル・メッセージ(イ・ビョンホン) ・日本版予告編 ●Blu-ray豪華版特典 【映像特典(予定)】 ・メイキング2種 ・キャストメッセージ(イ・ビョンホン/イ・ヒジュン/クァク・ドウォン) 【封入特典】 ・ブックレット ・ポストカード ※ポストカードは初回生産限定になります。 【特典仕様】 ・アウターケース ●2020年/韓国/約114分 ●監督:ウ・ミンホ 出演:イ・ビョンホン、イ・ソンミン、クァク・ドウォン、イ・ヒジュン ●発売元:株式会社クロックワークス 販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング  ©2020 SHOWBOX, HIVE MEDIA CORP AND GEMSTONE PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.
  • 癒され度120%!イケメンシェフ チョン・イルと知英(元KARA)演じる新人Pの恋の結末は? ドラマだけでなくバラエティでも、料理をテーマにした番組が続々と作られている韓国。7/2にDVDがリリースされるラブロマンス『夜食男女』では、料理をきっかけに出会った男女が番組作りをしながら育む信頼関係と、それによって起こる波紋が描かれる。 ヒロインが企画した斬新な番組が周りの人々の運命を変える 仕事帰りに馴染みのレストランに寄って、シェフであるパク・ジンソンの作る夜食を食べる喜びを心の支えにしながら、厳しい毎日を耐えていた新人プロデューサーのキム・アジン。セクシャル・マイノリティに対する偏見を減らすことを願って彼女が企画した料理番組『夜食男女』は、ゲイであることをカミングアウトしたシェフを起用し、料理だけではなく出演者から悩みの相談も担当するという斬新なものだった。同じ頃、父親が交通事故に遭ってまとまった金が必要になったジンソンは、アジンから企画の話を聞き、自分がゲイであると偽ってオーディションに臨む。 アジンを演じているのは、紅白歌合戦に出場するなど、高い人気を誇ったガールズグループKARA出身で、日本での俳優活動後、本作で初めて韓国ドラマに出演した知英。一緒に番組を作っていく中で少しずつジンソンに好意を持つようになるアジンだが、彼がゲイだと信じているため、なかなか一歩を踏み出せない。一方、番組を手伝うファッションデザイナーの男性カン・テワンも、ジンソンに対する思いを深めていく。『夫婦の世界』(20)で暴力的なキャラクターを演じたイ・ハクジュが、本作ではまったく違う繊細なキャラクターに扮している。はたして、複雑な3人の関係はどうなっていくのだろうか。 シェフ役のチョン・イルが見せる料理の腕前に感嘆 深夜から明け方にかけて開店するレストランBISTROを営むジンソン役は『ヘチ 王座への道』(19)のチョン・イル。芸能人たちがメニューを開発し、優秀なものをコンビニで実際に発売するバラエティ番組『新商品発売~コンビニレストラン』でも絶賛された料理の腕を存分に披露している。ロブスター鍋を作るシーンの前には、自宅で練習して撮影に臨んだという。あさりの酒蒸し、麺、チゲといったおいしそうな料理の数々に加え、包丁や鍋を華麗に使い、丁寧に盛り付けをするチョン・イルの真剣な姿もお見逃しなく。テワン役のイ・ハクジュが大学の後輩だったということもあり、リラックスした現場となったそうだ。 契約社員の悲哀を背負うヒロインに共感 日本同様、非正規雇用の増加が社会問題となっている韓国。若者の就職難についても多くのドラマで取り上げられている。『夜食男女』のヒロイン、アジンも契約職という設定で、正社員たちとの待遇の差が随所で描かれている。同じプロデューサーという職にありながら、雑用を押しつけられたり、企画が通りにくかったりということ以上に彼女が一番心を痛めているのが、上司からきちんと名前で呼んでもらえないということ。店に来て、そのことを嘆く彼女を見ていたジンソンは、番組に出演するようになった後で行われた飲み会で、失礼な正社員に向かって「彼女の名前を呼んでください」とはっきり告げ、アジンを感動させる。一方、『知ってるワイフ』(18)のコン・ミンジョン演じる放送作家や、『風と雲と雨』(20)のキム・スンス演じるのんきな先輩プロデューサー、『ナビレラーそれでも蝶は舞うー』(21)のキム・スジン演じる本部長といった周囲の人々は、アジンの熱意に動かされ、徐々によき仲間となっていく。悩みながら仕事と恋に真っ直ぐに向かっていくアジンの姿を見ていると、思わず声援を送りたくなってくる。 文=佐藤 結/制作=キネマ旬報社 『夜食男女』 ●7月2日(金)DVD-BOX1リリース(第1話~第12話) ●8月4日(水)DVD-BOX2リリース(第13話~第24話) DVDの詳細情報はこちら ●DVD-BOX1:11,880円(税込)  DVD-BOX2:11,880円(税込) ●DVD-BOX1特典 【映像特典(100分)】「夜食男女」制作発表会/次回、チラ見せ! 【封入特典】ブックレット(8P) ●DVD-BOX2特典 【映像特典(70分)】チョン・イル独占インタビュー/知英独占インタビュー/次回、チラ見せ! 【封入特典】ブックレット(8P) ●2020年/韓国 ●出演:チョン・イル、知英(ジヨン)、イ・ハクジュ、チェ・ジェヒョン、キム・スジン、コン・ミンジョン ●発売元:ストリームメディアコーポレーション 販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング 販売協力:カルチュア・パブリッシャーズ © JTBC Studios Co., Ltd & Hello Contents Co., Ltd All rights reserved
  •   2021年に、日活ロマンポルノは生誕50年の節目の年をむかえました。それを記念して、「キネマ旬報」に過去掲載された記事の中から、ロマンポルノの魅力を様々な角度から掘り下げていく特別企画「あの頃のロマンポルノ」。キネマ旬報WEBとロマンポルノ公式サイトにて同時連載していきます。 今回は、「キネマ旬報」2001年2月上旬号より、北大路隆志氏による企画特集「小沼勝の華麗なる映像世界」からの記事を転載いたします。 1919年に創刊され100年以上の歴史を持つ「キネマ旬報」の過去の記事を読める貴重なこの機会をお見逃しなく! 「ロマンポルノへの誘い・小沼勝小論」ただ女たちの存在を輝かせるためだけに存在する・・・ リアリズム無視の過剰さが独自のリアリティを醸し出す  小沼勝の監督作品はほぼ全て1917年に登場した新種のプログラム・ピクチャー、"日活ロマンポルノ"の枠内で撮影されている。輝かしい伝統を誇る映画会社である日活が諸般の事情からロマンポルノ路線に活路を見出し再生を図ろうとした時期に、小沼は映画作家としてデビューし、そうしたギリギリの路線さえ消滅するまで、この枠組みの外で映画を撮ることはなかった(その点、たとえば、この路線が生んだもう一人の巨匠である神代辰巳と異なる)  だから僕たちは小沼勝を論じる際に、どうしても"日活ロマンポルノ"とは何だったのか、という問いの前に立ち止まり、真剣に再検討する必要性を感じてしまうのだ。  日活ロマンポルノとは何か?少なくとも小沼にとって、それは日活が得意としていた"アクション映画"の換骨奪胎化された(女性化された?)継承だ。中田秀夫によるドキュメンタリー『サディスティック&マゾヒスティック』の中で、小沼はSMの女王谷ナオミをアクションスターとして称え、彼が下積み時代に日活アクション映画から学んだ原則であるリアリズムとリアリティの差異について言及している。誰もが知るように日活アクション映画はいわゆるリアリズムから程遠い。だけどそこにリアリティが欠けているわけでもない。銃が撃たれ、嘘のように馨しい血が流れるがゆえに出現するリアリティ、つまりは嘘でしか生み出しえない現実感こそ、小沼にとって映画の基本原則を成す。あるいは、現実には存在しえない人物をそれでも涼しい顔で主役として登場させること……それが映画に許された特権であり、小沼作品の中でとりわけ谷ナオミが現実的にはありえないがゆえにリアリティを増すアクションスターを演じる。  ▲『生贄夫人』(1974年製作) 主演:谷ナオミ  小沼の演出による男女の絡みは、小沼作品の代名詞であるサドマゾ的なな装置が介在しなくても、かなり不自然な身体動作に及び、そうしたリアリズム無視の過剰さがむしろ独自のリアリティを醸しだし、中田が感嘆するように、素晴らしいラブシーンを生む。そもそも誘拐され、性的陵辱を受けつつ監禁されている女性の脱出劇という、SM映画の定型は、アクション映画のそれにほぼ等しいではないか。そんな意味で、小沼は神代よりむしろ日活がロマンポルノ路線を選択する数年前に解雇した鈴木清順と比較されるべき映画作家だ。彼らの映画はたとえ異様な外観を呈し、意味不明な"イメージ"・ショットが挿入されていても、理詰めで絶妙な編集によって組み立てられ、エモーション(感情)ではなくモーション(運動)によって成立するアクション映画である……という点においてそしてたぶんその結果として、彼らの映画を特徴づけるポップな平面性において(絵によって全てを語ること…小沼はもともと画家志望だった) 変貌を受け入れる女性とそれを拒絶する男性  さらに僕の考えでは、ポルノ映画は根本的にある逆説を抱えている。たとえば、ポルノ映画は誰を観客に想定し撮影されるのか?ロマンポルノ路線に突入した当時の日活は、監督たちが同僚の作品の試写に熱心に詰めかけ、互いに批評しあう環境にあったという。これ自体は感動的で重要な映画史的エピソードだ。僕たちが後年"最後のプログラム・ピクチャー"と呼び、ある種の定型に従って量産される映画群として捉えてしまうロマンポルノが全く未知の領域だったとき、映画作りに関る人々がそれぞれの立場で新種のプログラム・ピクチャーの定胆を模索していたのだ(10分に、一度はセックスシーンを入れること、予算の関係上、アフレコで音声を付加すること等々の原則は確実に存在し、その原則が小沼作品を構成する重要な.要素になるのだが……)。だけど再びロマンポルノを誰が見るのかという問いに、戻れば、小沼は仲間内の監督の批評など聞きたくもなかった、むしろ自作がかかる映画館に出かけ、そこで映画を見つめる観客の反応を注視したと語っている。そう、"日活ロマンポルノ"の枠組みで撮影された映画で観客の大多数を占めるのは、昼休みに会社を抜け出して三本立ての映画館に潜り込みその中の一本半ほどを眺めた後でいそいそと席を立つサラリーマンであり、何らかの事情で一日の大半を映画館で過ごすことができて競馬新聞を片手に煙草をくゆらす男たちである。単純な事実の確認にすぎないが、ロマンポルノそして小沼勝が演出する作品群は、そうした男たちのために撮られていたのだ。  だけど、小沼勝作品が根本的に孕む逆説は、まさにこのバカバカしいほど単純な事実に起因するだろう。問いを変えてみればいい。ポルノ映画は男たちのために撮られている。では、ポルノ映画は誰を撮っているのか?あるいは誰に熱い視線を向けているのか?答えは同じくバカバカしいほど単純で、女たちだ。男たちはただ女たちを見るためだけにポルノ映画館の暗闇に潜りこむ。だから、僕が考えるポルノ映画の逆説とはこうだ。ポルノ映画は男たちの(主に性的、少し映画狂的な)欲望のはけ口として撮られていたが、そこで映し出されるのは、男たちを排除した女たちの世界であり、ポルノ映画はただ女たちの存在を輝かせるためだけに存在する……。 ▲『ラブハンター 熱い肌』(1972年製作) 主演:田中真理  小沼の映画での女性と男性の際は、前者が変貌を受け入れるのに対し、後者はそれを拒絶する点に集約される。小沼作品の女たちの多くは、『生贄夫人』の谷、『妻たちの性体験 夫の眼の前で、今・・・』の風祭ゆき、『箱の中の女 処女いけにえ』の木築沙絵子らがそうであるように、秘められた本性の発露とも性の目覚めともとれる変貌を遂げたり、『ラブハンター 熱い肌』の田中真理や『昼下りの情事 古都曼陀羅』の山科ゆりのように家族や夫婦等々の偽りの拘束からの離脱を決意する。ところが、男たちは女たちの変貌を促す術を持たず、彼女たちの前から退散するか主導権を奪われるしかない。言葉を換えれば、女性たちは複数に増殖(変貌)し、無方向に拡散する様々な模像を生むが(『濡れた壷』のマネキン人形、『OL官能日記 あァ!私の中で』のヒヨコ、『昼下りの情事 古都曼陀羅』で山科のスカートから零れ落ちる無数の白いピンポン玉……)、男たちは単数的な存在にとどまる。あるいは、男たちは徒党を組むことでしか女性の複数性に対抗できないのかもしれない。『妻たちの性体験 夫の眼の前で、今・・・』の風祭が一人で担う複数性に対抗するために、いったい何人の男たちが彼女に立ち向かっただろう?小沼作品ではしばしば軍隊への郷愁に惣かれた老年の男たちが戯画化されて登場するが、むしろそこからは徒党を組むことでしか女性の複数性に対抗しえない男たちの無力さや惨めさばかりが滲み出る……。こうして、小沼作品が性転換されたアクション映画であり、男たちに向けられた、しかし(だからこそ)女だけが輝かしい複数性を担う映画であることが確認された。もちろんフェミニズムの論理でいえば、ポルノ映画での女たちの表象は男たちの視線に晒されるべく構成された歪みの産物であり、女たちが輝き勝利するとしても、男たちの快楽に貢献するためでしかない。だが今や小沼の映画が女たちの世界であることの意味を反転させる好機が来たのではないか。日活ロマンポルノは制度として崩壊し、男たちが小沼作品を専有する権利などない。小沼が12年ぶりに撮った新作『NAGISA』の予想を超えた素晴らしさは、そんな僕たちの展望を勇気づけてくれる。この少女を主人公とした映画はすでに男たちのために撮られていないし、少女はいかなるフェティシズムの対象ともなっていない。今後小沼勝の作品群は女性たちの視線を通して、異様な"女性映画"の試みとして再発見されるだろう。その時、彼の映画での女たちの輝きはどんな意味を帯びることになるのか? 文・北大路隆志 「キネマ旬報」2001年2月上旬号より転載   日活ロマンポルノ 日活ロマンポルノとは、1971~88年に日活により製作・配給された成人映画で17年間の間に約1,100本もの作品が公開された。一定のルールさえ守れば比較的自由に映画を作ることができたため、クリエイターたちは限られた製作費の中で新しい映画作りを模索。あらゆる知恵と技術で「性」に立ち向い、「女性」を美しく描くことを極めていった。そして、成人映画という枠組みを超え、キネマ旬報ベスト・テンをはじめとする映画賞に選出される作品も多く生み出されていった。 オフィシャルHPはこちらから
  • 時代を駆け抜けた五代友厚と三浦春馬の生きざまが重なる歴史劇 知る人ぞ知る近代の偉人 江戸時代末期、1836年の鹿児島に生まれ、薩摩藩士から明治政府の役人を経て実業家となり、現在の商業都市としての大阪の基礎を作りあげた五代友厚。タイトルの「天外者」(てんがらもん)とは、すさまじい才能の持ち主、利口で功績をあげた人、いたずら小僧などの意味を持つ鹿児島弁で、映画の主人公である五代を称したもの。近年の研究によりその功績が再認識された知る人ぞ知る近代の偉人の一人である五代は、2015~2016年放送のNHK連続テレビ小説『あさが来た』に登場したことでも知名度を上げたが、映像作品の主人公として本格的に描かれたのは本作が初めて。そして今回その五代役を演じた三浦春馬のハマりぶりは、その生きざまなども含めて五代自身と重なって見えてしまう。 本作は、現代の日本の礎を築く上で様々な功績を残した五代の生涯を追った作品ではあるが、1本の映画に収める上で、その業績などを細かく追っていくよりも、五代がどのような熱い思いを持って時代を駆け抜けていった人物かという、その人柄を描くことに重きを置いている。そのため、歴史的な背景や具体的な業績などを知らないと、描かれていることのすべてを理解するのは難しい部分もあるが、先の時代を見据えた魅力的な人物であったことはよくわかる。この映画をきっかけに五代についてもっと知りたいと思わせられることだろう。 まさにハマリ役の三浦春馬 そんな魅力的な人物を表現する上で、それを演じた三浦春馬の功績は大きい。前半の血気盛んな青年時代から、後半の落ち着き払った晩年までの変化を違和感なく説得力を持って演じてみせている。まさに全身全霊で演じたであろうことが伝わるこの三浦の芝居があってこそ、五代の足跡の点描に陥らず、身なりや口ぶりは変わろうと、常に胸の奥に熱い信念を抱え、未来への夢や希望を追い続けた人物であったことが感じられる。 前半では実際に親交のあった坂本龍馬、岩崎弥太郎、伊藤博文らとの交流が描かれ、激動の時代を舞台にした青春群像的な物語も楽しめる。他にも五代は、高杉晋作、勝海舟、大久保利通、西郷隆盛、大隈重信、トーマス・グラバーといった日本を語る上で欠くことが出来ない偉人・傑物たちとの親交もあったらしく、その一部は劇中でも描かれており、幕末ものが好きな人にも興味深いはずだ。 薩摩藩の武士から明治新政府の役人となり、実業家へと転身していく後半は、政商と忌み嫌われながらも突き進む姿に生きづらさを感じて苦しくなるが、クライマックスで未来を見据えて「俺についてこい!」と熱く語る姿、そして静かな感動を呼ぶラストに救われる。先が見えすぎる人物であったからこそ、常に理解されにくい部分も多かったのだろうが、こんな人がいたからこそ今の日本があるということ、そして現代にこそまた必要な人材ではないかと思わせられる。それが今この映画を作った意味でもあるのだろうが、この映画製作プロジェクトの成り立ちや五代の業績の一部を解説した映像特典『五代友厚プロジェクトの想い!映画「天外者」が生まれるまで』(本日リリースのBlu-ray豪華版に収録されている)を見ると、その思いがより一層伝わることだろう。 また、同時代を生き、その足跡に重なるような部分が多い渋沢栄一が主人公の大河ドラマ『青天を衝け』にも、五代は登場している。“西の五代、東の渋沢”と並び称された二人が、実際に親交があったかは定かでないようだが、同ドラマを見ている人にも時代背景をより深く知ることができる「天外者」は、とても楽しめるはずだ。 「悔いがない」と語る本作への思い Blu-ray豪華版に収録されている映像特典の『メイキング~制作過程~』も非常に興味深い。美術や衣裳にもこだわり抜いて作られた本作が、松竹京都撮影所や当時の雰囲気を残した関西各地でロケ撮影された様子がわかる。さらに、クランクイン直前から撮影現場の様子と共に、田中光敏監督のコメント、そして三浦春馬、三浦翔平、西川貴教らメインキャストたちの撮影現場でのコメントも収録。高校の同級生だった三浦春馬との共演を喜ぶ五代の妻役の蓮佛美沙子が、撮影の合間に三浦と写真を撮り合う姿や、撮影現場の片隅で三浦春馬が田中監督と熱心に語り合う様子なども収められている。 特に印象深いのは、三浦春馬が語った「今回の作品は悔いがない。一生懸命やりました」との言葉。今回のハマりぶりもあり、三浦と49歳の若さで亡くなった五代を重ねて見てしまい、共にもっとやりたかったこと、やり残したことがあったのではないかとも、つい考えてしまう。しかし、それは他人の勝手な思いでしかない。彼らが一生懸命にやってきたことには悔いなどなく、成し遂げてきたものがすべてなのだ。そんなことを感じさせる力強い言葉だった。 また、先述のとおり“天外者”とは“すさまじい才能の持ち主”のことだが、三浦はこのタイトルについて五代を指すものではないという独自の解釈をしていたと、メイキング映像の中で監督が明かしている。その詳細はメイキングをみていただきたいが、三浦の誠実な人柄が伝わるエピソードだと感じると共に、五代を演じた三浦自身もまた、“天外者”だったのだと思えて、胸が熱くなった。 文=天本伸一郎/制作=キネマ旬報社 『天外者』 ●6月23日(水)Blu-ray&DVDリリース Blu-ray&DVDの詳細情報はこちら ●Blu-ray 豪華版(特典ディスク付2 枚組) 7,480円(税込)  DVD 通常版 4,180円 (税込) ●Blu-ray 豪華版特典 【本編ディスク】 ・予告編集(特報、予告、TV スポット) 【特典ディスク】 ・メイキング~制作過程~ ・五代友厚プロジェクトの想い!映画「天外者」が生まれるまで ・イベント映像集(完成披露試写会、公開記念舞台挨拶) ・五代友厚の妻・豊子の故郷を蓮佛美沙子が巡る、「田原本さんぽ」 【仕様・封入特典】 ・アウターケース ・フォトブック ●2020年/日本/本編109分 ●監督:田中光敏、脚本:小松江里子、出演:三浦春馬 三浦翔平 西川貴教 森永悠希 森川葵 ほか ●発売・販売元:東宝株式会社 ©2020 映画「五代友厚」製作委員会