第25回「グレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」
- 日活ロマンポルノ50周年 , みうらじゅん
- 2022年04月01日
2021年に、日活ロマンポルノは生誕50年の節目の年をむかえました。それを記念して、ロマンポルノの魅力を様々な角度から掘り下げる定期連載記事を、本キネマ旬報WEBとロマンポルノ公式サイトにて同時配信いたします。
衛星劇場の協力の下、みうらじゅんがロマンポルノ作品を毎回テーマごとに紹介する番組「グレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」の過去の貴重なアーカイブから、公式書き起こしをお届けしたします。(隔週更新予定)
2016年2月放送「体育会系」
どうも、みうらじゅんと申します。「グレイト余生映画ショー in日活ロマンポルノ 民俗学入門」今回は「体育会系」でございます。
その時、股間がうずいた… 今宵の教材は、鍛え抜かれた肉体と、不屈の精神を併せ持つ者、アスリート。アグレッシブかつダイナミック、超肉食女子の性欲にコミットする。魂がぶつかり合う異種格闘技戦。その時、新たな歴史が始まる…。
僕は一度もそういった所に属したことはなく、あえて言うならば、一回だけ中3の時でしたっけね、「通信空手」をやっていました(笑)。
体育会系っていうか、それには会がないですね。一人でやっているもんで。「通信空手」は、当時通っていた学園が、ちょっと乱れていたもので、もう僕がね、本当に強くなって学園を変えようと思って、こっそりやってたもんです。いつもこうやって、空手の型を教則本見ながら、しかもボソボソのイラストで、それを見ながらこう、型をやるんです。そこに副読本がついていて、そこに今日の練習の成果っていうのを書くんですよ。「今日は気持ちが集中できなかった」とか書いて、それを月に1回本部に送るんです。しかしね、ようやく一ヶ月くらいした頃に、これは「やってないヤツよりも弱いな」と思ってやめてしまいました(笑)。
世の中には、スポーツの種類がたくさんありますけども。一度も何にも触れたことはない僕が解説するのもなんなんですけど、昭和の思想として、思春期の時期にはよく大人がね「性欲はスポーツで発散出来る。」て言うわけです。
なんかムラムラしていると、「走って来い」とか言われてね。なんとなく走っていたんですけど、全然おさまらないという…。ハッキリ言って全く効果がなかったんですよね。
気持ちのいい汗流しませんか? スポーツと性の関連性
日活ロマンポルノ作品に於いてのスポーツ五箇条、僕なりにちょっと考えてみました。
まず、「コーチと主従関係にある」ということですよね。
「汗をかき、時にはハァハァ言う」ほぼその行為と似たことになるということですね。
「一生懸命、真面目にやる」という事ですよね。そこにいやらしさが生まれてくるんですからね。
「それ用のコスチュームがある」ここ大きいですよね。これ別になくてもいいのに、これには必ずコスチュームがある。
「変な体位をする」これありますよね。決して日常生活ではしたことのない、ポーズを、スポーツの名のもとに平気でできるっていう事ですかね。まあ、こういうことですよね(イラストを出す)
これどうなんですかね?もう『犬神家の一族』(1976年製作 監督:市川崑)のワンシーンですよね。
「厳しく鍛えること」それがいつの間にか、カタカナとひらがなの「シゴく」になったということです。
ドキッ!アスリートだらけのポルノスター夜の大運動会
今回4作品をスタッフが色々と調べ上げてくれました。 アスリートたちの夜の大運動会、どういうセリフを発したか?まとめてみました。別に知らなくてもいいと思いますけど。
<ゴルフ編>『ホールインラブ 草むらの欲情』より
ゴルフ男:「いけね、ホールが水浸しだよ」
ゴルフ女:「じらさないで… 早くホールインワンして…」
ゴルフ男:「それじゃあ、そろそろブラックシャフトを使うか!」
僕一回もゴルフしたことないんですけど、こんな会話されていたんですね。
<剣道編>『団鬼六 美教師地獄責め』より
剣道男:「先生、まぁるいお尻なんか丸見えですよ」
剣道女:「いやっ…」
剣道男:「スキあり!!」
すきみせると、すぐつかれるということですかね。
<プロレス編>『美少女プロレス 失神10秒前』より
プロレス女:「カズオさん…」
プロレス男:「怒らないのかい?実は…メグとはBまでいっていたんだ」
プロレス女:「B…じゃあアタシの勝ちだ!」
よくわからないですね。無理やり拾ってきた台詞としか思えないですね。どんな会話が本当に行われているのか、わからないですけどもね。
それでは「アスリート」特集の4作品を紹介したいと思います。
1979年製作。ゴルフの作品ですね。山口美也子さん主演です。
1982年製作。寺島まゆみさん主演でございます。
1984年製作。もうギブアップですよね。プロレスでございます。
1985年製作。剣道をあつかった珍しい作品です。真咲乱さん主演でございます。
それでもあなたも、グレイト余生を!
出演・構成:みうらじゅん/プロデューサー:今井亮一/ディレクター:本多克幸/製作協力:みうらじゅん事務所・日活
衛星劇場では、サブカルの帝王みうらじゅんが、お勧めのロマンポルノ作品を紹介するオリジナル番組「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」を放送!
※人気コーナー「みうらじゅんのグレイト余性相談室」では、皆様から性のお悩みや、疑問を大募集!
日活ロマンポルノとは、1971~88年に日活により製作・配給された成人映画で17年間の間に約1,100本もの作品が公開された。一定のルールさえ守れば比較的自由に映画を作ることができたため、クリエイターたちは限られた製作費の中で新しい映画作りを模索。あらゆる知恵と技術で「性」に立ち向い、「女性」を美しく描くことを極めていった。そして、成人映画という枠組みを超え、キネマ旬報ベスト・テンをはじめとする映画賞に選出される作品も多く生み出されていった。 日活ロマンポルノ公式ページはこちらから