【第23回】「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」

 2021年に、日活ロマンポルノは生誕50年の節目の年をむかえました。それを記念して、ロマンポルノの魅力を様々な角度から掘り下げる定期連載記事を、本キネマ旬報WEBとロマンポルノ公式サイトにて同時配信いたします。

 衛星劇場の協力の下、みうらじゅんがロマンポルノ作品を毎回テーマごとに紹介する番組「グレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」の過去の貴重なアーカイブから、公式書き起こしをお届けしたします。(隔週更新予定)

■2015年8月放送「喪服」

どうも、みうらじゅんと申します。「グレイト余生映画ショー in日活ロマンポルノ 民俗学入門」。今回のテーマは、おまたせしました「喪服」でございます。

【喪服】:もふく とは葬儀や法事などで着用する、黒または薄墨色の衣服のことである。

その時、股間がうずいた 漆黒の衣を身にまとい、静寂の中に佇む、淑女の色気、喪服。気品漂う清潔感と、誰にも言えない罪悪感。男心をくすぐるその人は、未亡人。愛と哀しみに満ちた追憶エクスタシー。凛として、ジュン・・・としてその時、新たな歴史が始まる

「喪服」特集でございます。今回は喪服が出てくる映画4品をチョイスさせて頂きました。私も一着だけ喪服を持っていますが、そこにもエロが発生するなんて思ってもいませんでした。昨今、まわりがポツポツ亡くなりはじめましたので、ようやくそれが分かる歳になったかとね。でも、さっぱりどこがいいのか分かりませんけどね。ま、年を重ねるということは、エロの分野が増えるって事だと今は考えています。

別れもあれば、出会いもあるさ 失敗しない【喪服】着こなし術

作品を深く掘り下げるにあたって重要だったのは、やはり女の人の喪服でしたね。それには洋装と和装がありますよね。今回は、「失敗しない喪服の着こなし術」を主にレクチャーしたいと思います。

「黒のフォーマルスーツもしくはワンピースで服を露出しない長袖が原則である。」

ここですよね問題は、「肌を露出しない。」

「喪服の黒は、通称スーパーブラックと呼ばれるそうです。通常よりも深い黒色で染められているってことでしょうか。 

「和装の場合は、家紋が入った黒の着物を着用する」

「足袋、襦袢は白色。それ以外は小物も含めすべて黒で統一する。」ここですよね、問題は。今回の映画の中では、ほぼなかったですけども、ポルノ映画に於いてのそれは、黒の和服を着てる場合は、黒のランジェリーをしている場合が多い。この点です。これは現実にあるのかどうかは、分かりませんけど。

そして「真珠のネックレスをつける際は、一連のものにする」二連は浄土宗に限りますから。

「べール付きのトーク帽をかぶる際は、必ず手袋を着用。室内でも脱帽する必要はない。」

そういうことを踏まえたのが喪服を着る上でのルールということです。

そこを理解していると、より深く今回の作品を掘り下げていただけるんじゃないかと思います。

先にイってしまったあなたへ・・・『ニセ未亡人 いちじく白書

葬式が行われ、たくさんの参列者も来られました。最後参列者も少なくなって、亡くなった旦那の会社の同僚が必ずやってくるんですよね。ロマンポルノでは、ですよ。(イラストを出す)

「奥さん何か力になれることがあればなんて必ず出るセリフです。ここで重要なのはこの「力」の意味ですよね。「何か力」ここです。

ロマンポルノの場合、「足袋を脱ぐ時の仕草」も重要です。足袋の金属で閉じてある部分あるでしょ?あそこを外す仕草、その時、裾との間の肌が見えてくるってことになってます。

そして「喪服から出た胸の谷間」、ここですよね。「いや私には夫のニオイが染みついていますから」なんていうセリフ。フツーは言いませんけどね。奥さんの力になりますといった男が裾に手を入れて…。喪服から飛び出す白い肌が映えること、映えること。そして奥さんと、こうなりますよね。(イラストを出す)

裏地が白でメリー・ポピンズのようにボワッとなってね。そして遺影も倒れて激しい行為に移るという。あなたも参考にしていただければと思います。

今回の「喪服」特集4作品を紹介したいと思います。

ニセ未亡人 いちじく白書

1984年製作。朝比奈順子さん主演作です。ニセというは何なのか?ぜひ観てください。

未亡人の寝室

1981年製作。志麻いづみさん主演作。

愛欲の日々 エクスタシー』 

小川より子さん主演。

赤い禁猟区 ハードコアの夜

麻生かおりさん主演、西村昭五郎監督作。

各作品はamazonFANZAをはじめする動画配信サービスにて配信中です

それでもあなたも、グレイト余生を!

 

出演・構成:みうらじゅん/プロデューサー:今井亮一/ディレクター:本多克幸/製作協力:みうらじゅん事務所・日活

衛星劇場では、サブカルの帝王みうらじゅんが、お勧めのロマンポルノ作品を紹介するオリジナル番組「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」を放送!

※人気コーナー「みうらじゅんのグレイト余性相談室」では、皆様から性のお悩みや、疑問を大募集

【日活ロマンポルノ】
日活ロマンポルノとは、1971~88年に日活により製作・配給された成人映画で17年間の間に約1,100本もの作品が公開された。一定のルールさえ守れば比較的自由に映画を作ることができたため、クリエイターたちは限られた製作費の中で新しい映画作りを模索。あらゆる知恵と技術で「性」に立ち向い、「女性」を美しく描くことを極めていった。そして、成人映画という枠組みを超え、キネマ旬報ベスト・テンをはじめとする映画賞に選出される作品も多く生み出されていった。 日活ロマンポルノ公式ページはこちらから
 
 
日活ロマンポルノ50周年新企画
イラストレーターたなかみさきが、四季折々の感性で描く月刊イラストコラム「ロマンポルノ季候」
 

最新映画カテゴリの最新記事