慰安婦問題に切り込んだドキュメンタリー「主戦場」がアンコール上映!

衝撃の劇場公開から3年。慰安婦問題に切り込んだミキ・デザキ監督のドキュメンタリー「主戦場」が、4月に東名阪でアンコール上映される。

 

 

2019年4月より劇場公開されて話題となった「主戦場」。ところが一部出演者がミキ・デザキ監督と配給会社の東風に対し、上映禁止や計1,300万円の損害賠償を求めて裁判を起こす。その影響で2019年秋の「KAWASAKI しんゆり映画祭」での上映が中止されそうになるなど、“問題作”として知られることに。

そして2022年1月27日、東京地裁は原告らの訴えをすベて棄却。それに伴い寄せられた「また見たい」という多くの声に応え、アンコール上映が決定、再びスクリーンが“主戦場”となる。(注:裁判中も劇場公開や自主上映会は可能な状態にあり、裁判所の上映差し止めの仮処分などがあったわけではない)

 


◤イントロダクション◢
ネトウヨの度重なる脅迫に臆せず、彼らの主張にむしろ好奇心を掻き立てられた日系アメリカ人YouTuberミキ・デザキは、多くの日本人が「蒸し返してほしくない」慰安婦問題の渦中に飛び込んだ。

慰安婦は「性奴隷」だったのか? 「強制連行」は本当にあったのか? なぜ元慰安婦たちの証言はブレるのか? そして日本政府の謝罪と法的責任とは……?

次々と浮上する疑問を胸にデザキは、櫻井よしこ(ジャーナリスト)、ケント・ギルバート(カリフォルニア州弁護士/タレント)、杉田水脈(政治家)、渡辺美奈(女たちの戦争と平和資料館)、吉見義明(歴史学者)、中野晃一(政治学者)、ユン・ミヒャン(韓国挺身隊問題対策協議会)、パク・ユハ(「帝国の慰安婦」著者)など、論争における日米韓の中心人物を訪ね回った。

さらにデザキは、おびただしいニュース映像と記事の検証と分析を織り込み、イデオロギー的に激しく対立する主張の数々を小気味よく反証させ合いながら、精緻かつスタイリッシュに一本のドキュメンタリーに凝縮。そうしてデビュー作「主戦場」を完成させた。映画はこれまで信じられてきたいくつかの「物語」にメスを入れ、いまだ燻り続ける論争の裏にある“カラクリ”を明かしていくのだが──それは本作を観るべき理由の一部に過ぎない。

 

 


◤ミキ・デザキ監督メッセージ◢
初めて「主戦場」をご覧になるみなさん、訴えられた映画にチャンスを与えていただき、ありがとうございます。
そして、2度目、3度目にご覧になるみなさん、私たちの訴訟費用をサポートしていただき、ありがとうございます。
裁判に勝つまで約2年半かかりましたが、なんと無駄な時間だったことでしょう。
不思議なことに原告たちは、歴史家や学者、活動家たちの主張と並べられた自分たちの主張を聞かれたくなかったのです。
なぜでしょう? 映画をご覧になればわかるかもしれません。

PROFILE
監督・脚本・撮影・編集・ナレーション:ミキ・デザキ
ドキュメンタリー映像作家、YouTuber。1983年、アメリカ・フロリダ州生まれの日系アメリカ人2世。ミネソタ大学ツイン・シティーズ校で医大予科生として生理学専攻で学位を取得後、2007年にJETプログラムのALT(外国人英語等教育補助員)として初来日し、山梨県と沖縄県の中高等学校で5年間、教鞭を執る。同時にYouTuber「Medama Sensei」として、コメディビデオや日本・アメリカの差別問題をテーマに映像作品を数多く制作・公開。タイで仏教僧となるために修行した後、2015年に再来日。上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科修士課程を2018年に終了。
初映画監督作品「主戦場」は、釜山国際映画祭2018ドキュメンタリー・コンペティション部門に正式招待され、韓国では劇場公開。そしてハーバード大学、スタンフォード大学など世界50以上の大学や学会で上映され、学術的にも高く評価された。

 


◤コメント◢(公開時に寄せられたコメント 五十音順)
萎縮することなく、タブーに挑戦だと構えることなく。
正面から関係者の「顔」を撮り続けることに、
これほどのチャレンジを感じるとは。
──荻上チキ(評論家・ラジオパーソナリティ)

いま、日本に暮らしている私たちにとって、どのような理由をつけても、この映画を見ないという選択肢はな いだろう。見てから、見たうえで、何を語るかは自由なのだから。
──平田オリザ(劇作家)

戦時慰安婦という誰もが目を背け、考えたくない問題の争点がわかるスリリングな2時間。慰安婦問題の門外漢である日系英語教師が、左右両サイドの論客を訪ね、彼ら自身の言葉で彼らの嘘を暴いていく。エド・マーローがマッカーシー上院議員に好きなだけしゃべらせて彼の正体を晒したように。
慰安婦は何をやらされるか知っていたのか? 本当はどんな待遇だったのか? 米政府の調査報告の本当の内容は? 事実の検証から、事実を隠そうとする勢力の存在が浮かび上がっていく。自民党、日本会議、神社本庁……。櫻井よしこの後継者といわれた日砂恵ケネディ氏の「これで自由になれた」という言葉はあまりに重い。
──町山智浩(映画評論家)

味付けの濃いほうが目立つ。味付けを濃くするのがうまいのは誰か。
その濃さに国家の中枢が乗っかっているのが現在の日本だ。
「なかった」という脆弱な主張が屈強にはびこるという、矛盾した現在を映し出す。
──武田砂鉄(ライター)

必見の映画だが、内容については書きたくない。
なるべく先入観を持たずに、真っさらな目で観てほしいからだ。
同時に、この勇気ある監督の身の安全を本気で心配してしまう。
それほど問題の核心に切り込み、火中の栗を拾っている。
それほど日本は危ない国になっている。
──想田和弘(映画作家)

映画は論文ではない。あなたは主張する主体の表情をスクリーンで見る。
声を聴いて目の動きを確認し、一瞬の笑みや吐息に気づくこともできる。
言葉だけではない。そこに本質が現れている。
──森達也(映画監督/作家)

まだ立ち位置が定まっていない人はかなり揺さぶられるだろう。だからこの映画は、しんどい。見るも自由、見ないのも自由だ。しかしこの映画を見ずとも、あなたはすでにこの「主戦場」の戦闘員なのだ。ならば、ど っちの側で戦うか。「主戦場」はあなたが傍観者でいることを許さない。
──三上智恵(映画監督/ジャーナリスト)

 

          

 


◤上映情報◢
★東京都:シアター・イメージフォーラム
4月9日(土)〜4月22日(金)連日10:30〜 ※4/23以降未定
※4月9日(土)10:30の回上映後、ミキ・デザキ監督の舞台挨拶決定

★大阪府:第七藝術劇場
4月9日(土)〜 ※上映時間、終了日未定
※4月10日(日)時間調整中・上映後、ミキ・デザキ監督の舞台挨拶決定

★愛知県:名古屋シネマテーク
4月23日(土)〜4月29日(金)連日12:00~

 


「主戦場」

原題:SHUSENJO: The Main Battleground of The Comfort Women Issue
監督・脚本・撮影・編集・ナレーション:ミキ・デザキ
プロデューサー:ミキ・デザキ、ハタ・モモコ
アソシエイトプロデューサー:カン・ミョンスソク
音楽:オダカ・マサタカ
アニメーション:1K FILMS
製作:ノーマン・プロダクションズ
出演:トニー・マラーノ a.k.a テキサス親父、藤木俊一、山本優美子、杉田水脈、藤岡信勝、ケント・ギルバート、櫻井よしこ、吉見義明、戸塚悦朗、ユン・ミヒャン、イン・ミョンオク、パク・ユハ、フランク・クィンテロ、渡辺美奈、エリック・マー、林博史、中野晃一、イ・ナヨン、フィリス・キム、キム・チャンロク、阿部浩己、俵義文、植村隆、中原道子、小林節、松本栄好、加瀬英明 
2018年/アメリカ合衆国/DCP/122分/配給:東風
(C)NO MAN PRODUCTIONS LLC

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