アカデミー賞3部門ノミネート、祖国を脱出した男の過酷な半生記「FLEE フリー」

本年度アカデミー賞で史上初の国際長編映画賞、長編ドキュメンタリー賞、長編アニメーション賞3部門同時ノミネートを果たしたドキュメンタリー映画「FLEE フリー」が、6月10日(金)より新宿バルト9、グランドシネマサンシャイン池袋ほかで全国公開。特報とティザービジュアルが解禁された。

 

 

タリバンとアフガニスタンの恐ろしい現実や、祖国を逃れた人々の過酷な奮闘の日々、そしてゲイの青年が自身の未来のためにトラウマと向き合う姿を描く「FLEE フリー」。主人公アミンをはじめ人々の安全を守るため、アニメーションで制作された話題作だ。

アカデミー賞3部門ノミネートをはじめ、サンダンス映画祭ワールド・シネマ・ドキュメンタリー部門グランプリ獲得、アヌシー国際アニメーション映画祭クリスタル賞(最高賞)を含む3部門受賞など、世界中で76受賞140部門ノミネートを果たしている。

 

 

特報映像は、主人公アミンが親友の映画監督(本作の監督ヨナス・ポヘール・ラスムセン)の「誰かに話したことは?」という問いに対し、「一度もない」と答えるシーンで始まる。そして、封印してきた自身の過去を20年の時を経て初めて語り始める様子と、それにより回想される幼少期からのあまりに過酷な経験を映していく。

アミンの複雑な感情を忠実に伝えるために2スタイルのアニメーションが使い分けられ、さらに臨場感あるニュース映像を織り交ぜるなど、独創的手法も映画の見どころ。数々のラジオ・ドキュメンタリーを手掛けてきたヨナス・ポヘール・ラスムセン監督は「私的な物語を語る過程で、私は常に新しい方法やアプローチを探求しようと心がけています。語られる物語に沿うように、映画の形式を捻じ曲げる方法を探るのです。『FLEE フリー』では、そのレパートリーにアニメーションを加えました。アミンが惜しみなく私に共有してくれた、貴重な証言にふさわしい舞台を与えられるよう、説得力があり、魅力的な語り口を作ることを目指したのです」と語る。

 

 

ティザービジュアルに描かれた国籍も境遇も様々な119人は、すべて作中キャラクターだ。この中には、カセットプレーヤーでお気に入りの曲を聴きながらはしゃぐ幼い頃のアミン、トラウマと向き合う現在のアミン、そして彼の恋人や家族、ラムスセン監督の姿も。〈故郷とは、ずっといてもいい場所〉というキャッチコピーは、アミンの印象深いセリフから取られた。難民かつゲイという2つの葛藤を抱えてきた彼にとって、〈故郷〉という言葉が示す意味は非常に重い。「この物語は、過去やセクシュアリティも含め、自分が誰なのか。それを知ることのできる場所を見つける、一人の人間の物語なのです」(ラスムセン監督)。

 

 

Story

アフガニスタンで生まれたアミンは、幼い頃に当局に連行された父が戻らず、残った家族とともに命がけで祖国を脱出した。やがて家族とも離ればなれになり、数年後たった一人でデンマークへ亡命した彼は、30代半ばとなり研究者として成功を収め、恋人の男性との結婚に向かっていた。だが、彼には恋人にも話していない、20年以上も抱え続ける秘密があった。あまりに壮絶で心を揺さぶらずにはおかない過酷な半生を、親友である映画監督の前で、彼は静かに語り始める……。

 

「FLEE フリー」

監督:ヨナス・ポヘール・ラスムセン
製作プロダクション:Final Cut for Real「アクト・オブ・キリング」
製作総指揮:リズ・アーメッド、ニコライ・コスター=ワルドー
2021年/デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フランス合作/シネスコ/カラー/89分/5.1ch
原題:Flugt 英題:FLEE
日本語字幕:松浦美奈/後援:デンマーク大使館/配給:トランスフォーマー
© Final Cut for Real ApS, Sun Creature Studio, Vivement Lundi!, Mostfilm, Mer Film ARTE France, Copenhagen Film Fund, Ryot Films, Vice Studios, VPRO 2021 All rights reserved公式HP:https://transformer.co.jp/m/flee/
公式Twitter:@FLEE_JP

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