バーバラ・ローデンの「WANDA/ワンダ」、幻のオリジナル予告と著名人コメント到着

世界の名立たる映画人やアーティストたちに愛されるバーバラ・ローデンの “幻” の傑作「WANDA/ワンダ」(1970)が、7月9日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかで全国順次公開。オリジナル予告映像復刻版および著名人コメントが到着した。

 

 

ペンシルベニア州の炭鉱町。夫に離別され、子供も職も失い、有り金もすられたワンダ。少ないチャンスを使い果たした彼女は、薄暗いバーで傲慢な男と知り合っていつしか犯罪の片棒を担ぎ、逃避行を続ける……。

70年代アメリカ・インディペンデント映画の道を開いた傑作でありながら、黙殺されてきた「WANDA/ワンダ」。作家のマルグリット・デュラスをはじめ数多の著名人が本作への敬意を表明したことで、眠っていたフィルムは消滅の危機から救い出されて修復され、各国で上映されるとともに再評価の気運が高まった。そして今夏、日本でスクリーン初上映を迎える。

 

各者コメントは以下(敬称略)。

これは1人の女の美しい怠惰な物語ではない。ワンダの表情が本当にここにいていいのかと聞いてくるように頼りなく、優しく、淡々と時間が流れる。必要とされたいという気持ちで行動を起こせる彼女の素直さ、削られたセリフやストーリーから人間の拙い欲求が浮かび上がってくる。私たちはただ、一人の人間として見られたいだけなのだと。
──玉城ティナ(女優)

バーバラ・ローデンは名もなき女に「ワンダ」という名前を与え、侘しい人生から生命の輝きを掬い取って、わたしたちにくれた。彼女から手渡されたその小さな光は永遠に消えない。
──山崎まどか(コラムニスト)

世界のどこにも居場所のない、ひたすら下降していくワンダ。広大な瓦礫世界を一人でとぼとぼ歩いていく彼女は、なんだか生の最小単位みたいで、いじらしくて、強くて、神聖ですらある。
──岸本佐知子(翻訳家)

ワンダから目が離せない。ボタ山を歩く彼女、カーラーをつけても一向に巻き髪にならず、強盗をしている男から櫛を借りて髪を梳かす彼女、あんなに怖がっていたのにピストルを素早く奪う彼女。そして底なしの深い哀しみを湛えてこちらを見つめるあの眼差しは、ワンダの生きる世界が私たちの世界とひとつづきであることを突きつける。
──坂本安美(アンスティチュ・フランセ日本 映画プログラム主任)

 

 

©1970 FOUNDATION FOR FILMMAKERS
配給:クレプスキュール フィルム

▶︎ バーバラ・ローデンの忘れられた傑作「WANDA/ワンダ」が日本劇場初公開