【第28回】グレイト余生映画ショーin日活ロマンポルノ

 2021年に、日活ロマンポルノは生誕50年の節目の年をむかえました。それを記念して、ロマンポルノの魅力を様々な角度から掘り下げる定期連載記事を、本キネマ旬報WEBとロマンポルノ公式サイトにて同時配信いたします。

 衛星劇場の協力の下、みうらじゅんがロマンポルノ作品を毎回テーマごとに紹介する番組「グレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」の過去の貴重なアーカイブから、公式書き起こしをお届けしたします。(隔週更新予定)

2014年5月放送「海外」

どうも、みうらじゅんと申します。「グレイト余生映画ショー In 日活ロマンポルノ -民族学入門-」今回はですね、「海外」で集めてみました。

 その時股間がうずいた今宵の教材は異国から学ぶ性交流。『チャイナスキャンダル 艶舞』行ってみたいなエロの国、ガイドブックには載っていない、絶頂、自慰スポット巡り。バック片手に旅に出て、行き着く先は股間が決めるその瞬間、新たな歴史が始まる

 今回紹介する作品は、『チャイナスキャンダル 艶舞』1983年の作品でございます。主演は新藤恵美さん。新藤恵美さんと言うと、僕と同じ世代の方は、当然「美しきチャレンジャー」(1971年放送/TBS)っていうテレビ番組を思い出すことでしょう。当時ボウリング・ブームでね。プロボウラーのスポ魂モノでした。僕は流行ってやつがその頃から苦手で、ボウリング場に通った経験はないんですが、いまだに主題歌が歌えるくらい大好きなテレビ番組でした。新藤さんはその後、『女帝』(1983年/日活)という作品に出演されることになるんですが、本作はカンフー映画の地、香港で大暴れされるというものでございます。

 かと言って『チャイナスキャンダル 艶舞』はカンフー映画ってことでは、ありません。オープニングから、不思議な髪型して、不思議な色の服着ておられる方が登場します。(イラストを出す)

途中にも色んなタイプの方がわんさか出て来られ、民俗学的にはとても勉強になると思うんですよね。この方は逆毛立てておられるでしょ?(イラストを出す)

 ボストン型のメガネも当時、流行りました。僕もそんなメガネをかけて、テクノ風を装ったこともあります。そして実はこの映画には、なんと、僕これ初めて知ったんですけどもチャーリー・チャンという香港のカンフースターも出ておられますよ。

感じるな、感じさせろカンフースターから学ぶ恋愛術

 この映画、どうやらゴールデンハーベストというブルース・リーの映画なども撮っていた会社と日活が組んで、制作したそうです。当時の社長さんはレイモンド・チョウさんですね。

 だからチャーリー・チャンさんも出ておられるのですね。僕は彼の『怒れ!タイガー/必殺空手拳』という作品も映画館で観ましたね。ブルース・リーさんがお亡くなりになってからもたくさんドラゴンを輩出してましたからねぇ。ブルース・リなんて表記の役者さんもおられましたけど(笑)。その頃でたレコードを今も持っているのですが、作詞ブルース・ワン、作曲ブルース・ツー、歌ブルー・スリーというわけわかんないものもあった時代だったんすよ(笑)。

 チャーリー・チャンさんも出演されてるってことで、カンフーファンは、この映画『チャイナスキャンダル 艶舞』も当然、押さえてるんでしょうね。映画の中でもカンフーの達人という役で、少しアクションは見せるんですけども、プールサイドの壁から降りた時に少し足がぐらついているのが気になりましたけど(笑)。ヒールの靴だったからなのかな?

 そうそう、チャーリーさん、去年(2010年)公開した映画『燃えよ!じじぃドラゴン 龍虎激闘』にも出てらっしゃいましたよ。マニアの人しか来ない映画館で観たんですけど、老いるショックはどこへやらカンフーで戦っておられ、僕すごい感動してなんか涙まで出てきたような映画でした。全然『チャイナスキャンダル 艶舞』の話とは関係ありませんが、チャーリー・チャンさんのことを知った上で観ればさらに面白いということです。それにね、僕、当時出た新藤恵美さんの写真集も買ってましたよ。それでは、楽しみに見てください

 今月の4本紹介したいと思います。

チャイナスキャンダル 艶舞』1983年製作、新藤恵美さん主演でございます。

マダム・スキャンダル 10秒死なせて』1982年製作、五月みどりさん主演で西村昭五郎監督作でございます。

愛獣 猟る!』1983年製作、これで、あさるって読むんですね。沢田和美さん主演です。

生撮り解禁ツアー むしられたビキニ』1985年製作、主演、聖女隊。当時、人気だった少女隊のパロディだと思いますね。エンディングはすごい注目です。彼女たちの歌。ちょっと。びっくりしますよ(笑)。

それではあなたもグレイト余生を!

出演・構成:みうらじゅん/プロデューサー:今井亮一/ディレクター:本多克幸/製作協力:みうらじゅん事務所・日活

衛星劇場では、サブカルの帝王みうらじゅんが、お勧めのロマンポルノ作品を紹介するオリジナル番組「みうらじゅんのグレイト余生映画ショー in 日活ロマンポルノ」を放送!

※人気コーナー「みうらじゅんのグレイト余性相談室」では、皆様から性のお悩みや、疑問を大募集

【日活ロマンポルノ】
日活ロマンポルノとは、1971~88年に日活により製作・配給された成人映画で17年間の間に約1,100本もの作品が公開された。一定のルールさえ守れば比較的自由に映画を作ることができたため、クリエイターたちは限られた製作費の中で新しい映画作りを模索。あらゆる知恵と技術で「性」に立ち向い、「女性」を美しく描くことを極めていった。そして、成人映画という枠組みを超え、キネマ旬報ベスト・テンをはじめとする映画賞に選出される作品も多く生み出されていった。 日活ロマンポルノ公式ページはこちらから
 
 
日活ロマンポルノ50周年新企画
イラストレーターたなかみさきが、四季折々の感性で描く月刊イラストコラム「ロマンポルノ季候」
 

最新映画カテゴリの最新記事