〈死者の日〉に悪魔と契約──。エストニア発の甘美で悪夢的な異端作「ノベンバー」
- ノベンバー , ライナー・サルネ , ディーター・ラーザー , アンドルス・キビラーク
- 2022年07月20日
〈死者の日〉を迎える11月のエストニアの寒村を舞台に、世にも不可思議な純愛を描いたダーク・ラブストーリー「ノベンバー」が、10月29日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかで全国順次公開。日本版ティザーポスター、場面写真、予告映像が到着した。
月の雫の霜が降り始める雪待月の11月、〈死者の日〉を迎えるエストニアの寒村。 戻ってきた死者は家族を訪ね、一緒に食事してサウナに入る。精霊、人狼、疫病神が徘徊する中、貧しい村人たちは〈使い魔クラット〉を使役させて隣人の物を盗みながら、暗い冬を乗り切ろうと思い思いの行動をとる。農夫の娘リーナは村の青年ハンスに想いを寄せている。ハンスは領主のドイツ人男爵の娘に恋い焦がれるあまり、 森の十字路で悪魔と契約する──。
エストニアの作家アンドルス・キビラークのカルト的人気を誇る小説「レヘパップ・エフク・ノベンバー」 (Rehepapp ehk November)を原作に、フォークロア、ゴシック、ロマンス、ブラックユーモア、哀愁をモノクローム映像で縫い合わせた「ノベンバー」。2018年のアカデミー賞外国語映画賞でエストニア代表に選ばれた。
監督はライナー・ヴェルナー・ファスビンダーに心酔し、映画のみならず演劇やフォト・コミックなどマルチに手掛けるライナル・サルネ。そして、男爵役を「ムカデ人間」のディーター・ラーザーが務めている(本作がラーザーの遺作となった)。
REVIEW
アカデミー賞外国語映画賞の候補作の中で、最も奇妙な作品「ノベンバー」は、厳かでありながら驚くほど美しいモノクロの撮影と、不気味な宗教的民間伝承に彩られた催眠術のような悪夢である。言い換えれば、「完全にイカれてる」のである。
──Cinemablograph
「ストーカー」「神々のたそがれ」「ヴェルクマイスター・ハーモニー」「フリークスも人間も」「マルケータ・ラザロヴァー」など、東欧アートフィルムの傑作に匹敵する「ノベンバー」。初見では筋書きをあまり気にせず、ただただその独創性と美しさを堪能するが良い。
──Dallas Film No
ゴージャスで神秘的な「ノベンバー」は途方もなく美しく幻覚的な傑作だ。
──The Village Voice
心にしみるほど美しい幻想的なイメージの対比を、荒々しい質感で表現する「ノベンバー」は、1コマ1コマが芸術作品であり、優美で優麗だ。
──Blueprint
灰色のエストニアの風景の中の飢えと、疫病と貧困に満ちたこの寂しい世界にも、まだ美しさの余地はある。この素晴らしい映画には、そのすべてが詰まっているのだ。
──Cine-George Vermi
奇想天外でありながら、美しく、人を惹きつける。観客が興味を失う心配がない。一回見ただけでは、この映画の不可思議さを本当に理解することはできないだろう。
──Cryptic Rock
この世のものとは思えない映画。驚くほど美しく、深く独創的で、笑いと深みがある。次に何が起こるかわからず、ハラハラドキドキしながら、登場人物や素晴らしいコミュニティに思いを馳せることができる。
──100 Years of Terror
ミヒャエル・ハネケとデヴィッド・リンチの出会いのような、この厳しくも見応えのあるホラーファンタジーSHOWと美味しく暮らすことができるだろうし、奇妙で珍しいものを求める映画ファンは、奇妙な感謝の気持ちで唇をなめるはずだ。
──Cine Scope
テリー・ギリアムを思わせるゴシックなグロテスク描写と、ブラザーズ・クエイのような仕掛け、サミュエル・ベケットのような不条理なユーモアが混在する異端の匂い漂う極上の映画体験。
──Eye For Film
ヤン・シュヴァンクマイエルの作品を彷彿とさせる粗いながらも効果的な方法でのアニメーション化が、この作品に奇妙なアクセントを加えている。序盤のシーンではおぞましく、他のシーンでは詩的に、そして多くの場合、非常に滑稽に活用されているのだ。
──Cinema Slasher
「ノベンバー」の奇妙な宇宙観では、疫病は美しい女性の姿になり、錆びた道具は悪魔と契約して命を吹き込まれる。オランダの画家ピーテル・ブリューゲルの絵画を思わせるような綿密にして大胆な異色作。
──Big Horror Guide
「ノベンバー」
脚本・監督:ライナー・サルネ 撮影監督:マート・タニエル セット・デザイナー:ヤーグ・ルーメット、マティス・マエストゥ 編集:ヤロスラフ・カミンスキー サウンド・デザイナー:マルコ・フェルマース 作曲家:ジャカシェク プロデューサー:カトリン・キッサ
出演:レア・レスト、ヨルゲン・リイイク、ジェッテ・ローナ・ヘルマーニス、アルヴォ・ククマギ、ディーター・ラーザー
2017年/ポーランド・オランダ・エストニア/B&W/115分/5.1ch/DCP/原題:NOVEMBER 日本語字幕:植田歩
提供:クレプスキュール フィルム、シネマ・サクセション 配給:クレプスキュール フィルム
©Homeless Bob Production,PRPL,Opus Film 2017
公式HP:http://november.crepuscule-films.com