朝ドラ『ブギウギ』放送直後、脚本の足立紳から独占コメント到着!「初めてオンタイムで見た」 最新小説『春よ来い、マジで来い』発売中
- 足立紳 , ブギウギ , 百円の恋 , 春よ来い、マジで来い , 雑魚どもよ、大志を抱け!
- 2023年10月02日
本日から放送が始まったNHK連続テレビ小説『ブギウギ』。脚本を執筆した足立紳から、第一話の放送を見た直後にコメントが届いた。
「生まれて初めて、オンタイムで見た」という正直すぎてむしろ微笑ましい衝撃発言をしてくれた、『ブギウギ』の脚本を執筆した、映画監督で小説家でもある足立紳が、最新小説『春よ来い、マジで来い』を上梓した。
2023年は3本目の監督作「雑魚どもよ、大志を抱け!」も公開され、本日朝ドラもスタート。今でこそ、“春が来た、マジで来た”、『ブギウギ』のヒロイン福来スズ子になぞらえれば“福も来た”状態だが、映画「百円の恋」(14)で日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞するまで苦節十数年。脚本を手掛けた映画は多数あったが、脚本家の名前までが話題となるような興行的成功には恵まれなかった。「百円の恋」に登場するしがないコンビニ店員は、そんな時代の自身の経験も交えたキャラクター。足立のオリジナル脚本の作品は少なからずパーソナルな面が描かれている。
小説『春よ来い、マジで来い』は6作目の小説。近著の『したいとか、したくないとかの話じゃない』(文庫版発売中)『それでも俺は、妻としたい』は、脚本家の主人公が妻にセックスを拒まれつづける、虚実ないまぜの生々しいエピソードで共感を呼び、私小説的フィクションの名手として、小説家としての知名度も急上昇中である。
そんな足立紳が今回書いたのは、書名が示すとおり、まさに冬の時代の話。脚本家を目指す30代を目前にした主人公タカシは本格的に脚本を書くために退路を断つ、というほどの決心もないが定職にもつかず、かといってがむしゃらに努力しているというわけでもない。阿佐ヶ谷のアパートで男4人が同居生活を送る(ルームシェアという雰囲気とは程遠い)モラトリアムな日常が描かれる。長く付き合った恋人には距離を置かれ、プロットや脚本を書いても企画は通らず、暇な先輩監督と公園で日がなキャッチボール……何者でもない、そして何者にもなれない可能性が日に日に高まっていく自分の未来に不安を感じながらタカシは思う「春よ来い」と。心の底から「マジで来い」と。ちなみに、足立紳の冬は、その後も長く続いた。
とはいえ、その冬の時代に、金がまったくないわけでも、食えないわけでもなく(ありえないほど高い肉をしょっちゅう食べている)、苦しくはあっても楽観的、でもビビりな主人公に共感を覚える人は少なくないだろう。
これまでで最長の小説となった『春よ来い、マジで来い』は、その長く感じられた冬の時代について書くことが、いかに楽しかったかも物語っている。
『キネマ旬報』の連載を終え、こうして書籍で発売したいま、“春まっさかり”の足立紳にあやかり、版元こそ節に願っている。
「春よ来い、マジで来い」!!
制作=キネマ旬報社
『春よ来い、マジで来い』
足立紳・著 キネマ旬報社・刊
書籍2100円+税 電子書籍2000円+税
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