「人間の境界」アグニエシュカ・ホランド監督のメッセージ動画と著名人コメント公開

 

ベラルーシ政府がEUを混乱させる狙いで大量の難民をポーランド国境へ移送した非情な戦略を題材に、シリア人難民家族、支援活動家、国境警備隊員など翻弄される人々の運命を描き、2023年ヴェネチア国際映画祭で審査員特別賞を受賞した「人間の境界」が、5月3日(金・祝)よりTOHOシネマズ シャンテほかで全国順次公開。アグニエシュカ・ホランド監督のメッセージ動画、著名人のコメントが到着した。

 

 

〈コメント一覧〉

難民という人間存在の究極の不条理。これが描けなければ映画芸術に意味はない、と考える監督の不退転の勇気が突き刺さる。
──沼野充義(東京大学名誉教授・ロシア東欧文学者)

故郷を追われ、生きるために亡命するしかない難民たち。“国境越え”をはかる者、国境を守る者、難民たちを支援する者。本作は、この3つの視点から描かれる。移民にもなれず、ボーダーに潜伏、消耗しては命を落としていく漂流者たち。空爆や虐殺ではない、戦争が産むもうひとつの地獄絵図。それをアンジェ・ワイダを思わせるドキュメンタリーとフィクションの境界を越える手法で、ギリギリの“人間の境界線”を炙り出す。同時に、ウクライナやパレスチナの様に、国を追われた結果、新たな境界線が紛争の次なる火種ともなる事をも示唆する。難民問題は、もはやヨーロッパだけの出来事ではない。“緑の国境(Green Border:原題)”は、何処に引かれてもおかしくはない。
──小島秀夫(ゲームクリエイター)

「私たちは二つの国の間で、ボールのように蹴りあわれた」──ベラルーシ・ポーランド国境をさまよった難民から、私が聞いた言葉が、そのままこの映画で再現されていた。
──安田菜津紀(メディアNPO Dialogue for People 副代表/フォトジャーナリスト)

これほど言葉にならない叫びと涙を堪えながら映画を観たことがなかった…
あなたは壊れた世界のルールに従う側の人間ですか?
それとも抗える人間ですか?
──キニマンス塚本ニキ(翻訳者・ラジオパーソナリティ)

国家に翻弄される難民たち=私たちと同じ生身の人間。ポーランド政府が隠したかった非道は日本でも小さなレベルだが起きている。そこにある現実は人間破壊だ。私たちの感性を鋭く問う問題作。スクリーンのこちら側には不条理な世界が広がっている。
──有田芳生(ジャーナリスト)

生きようとして死んだ少年がいた。私のせいだと母親は叫んだ。だが、責任は、本当はどこにあるのか。この問いが何度も突き刺さってきた。
──望月優大(ライター)

国民国家とそれを隔てる国境という虚構を巡って多くの悲劇が生まれ、人が死ぬ。それでもビートボックスとラップの輪とそれを飛び越える渡り鳥の向かう先に僅かな希望はある。
──ダースレイダー(ラッパー)

 

 

Story
「ベラルーシを経由してポーランド国境を渡れば、安全にヨーロッパに入れる」という情報を信じ、幼い子どもを連れて祖国シリアを脱出した一家。しかし辿り着いた国境の森で待っていたのは、警備隊の非情な対応だった……。

 

©2023 Metro Lato Sp. z o.o., Blick Productions SAS, Marlene Film Production s.r.o., Beluga Tree SA, Canal+ Polska S.A., dFlights Sp. z o.o., Česká televize, Mazovia Institute of Culture
配給:トランスフォーマー

▶︎ 人間が“兵器”となる国境の真実。アグニエシュカ・ホランド監督「人間の境界」