出版社の陰謀!?原作者が語る『翔んで埼玉』の誕生秘話!

出版社の陰謀!?原作者が語る『翔んで埼玉』の誕生秘話!

「埼玉県民にはそこらへんの草でも食わせておけ!」「埼玉なんて言ってるだけで口が埼玉になるわ!」……過激なセリフが飛び交う、埼玉dis(叩き)が魅力のギャグマンガ『翔んで埼玉』が、発表から30余年を経てついに実写映画化。都会と地方の間で引き裂かれる埼玉版『ロミオとジュリエット』に、映画オリジナルで愛と革命のエピソードがたっぷりと加わったギャグ・アクション大作となった。麗しき高校生二人に、二階堂ふみとGACKTが初共演。伝説の埼玉県人に京本政樹、謎めいた執事役に伊勢谷友介と、豪華なメインキャストも話題になっている。原作者・魔夜峰央はどのように『翔んで埼玉』を楽しんだのか。美的感覚を育てた映画についても、じっくりと伺った。

あらすじ

埼玉県は現代でもたいへんな「田舎」で、県知事は県民から年貢を取り立て、東京へ行くには通行手形が必要。運よく手形が手に入っても都内で勝手な行動は許されず、高級百貨店に行こうものなら「埼玉狩り」に遭う、という破天荒な設定だ。東京都知事の息子・壇ノ浦百美(二階堂ふみ)が生徒会長として仕切る名門校・白鵬堂学院に、容姿端麗な麻実麗(GACKT)が転入してくるところから物語は始まり、やがて麗が埼玉出身と判明して一大騒動が巻き起こる……。

原作はこうして生まれた

魔夜峰央:「武内英樹監督の『のだめカンタービレ 最終楽章』(2009年)と『テルマエ・ロマエ』(2012年)は拝見していて、上手いな、という印象でした。『テルマエ・ロマエ』はローマ人が日本にタイムスリップしてお風呂にびっくりする話ですけど、古代ローマと現代日本を往き来させてあれだけうまく展開するなら、未完の短篇『翔んで埼玉』も巧みに広げてくれる予感がありました。キャスティングが一番の問題ですが、『主人公を誰にします?』と聞いたら『GACKTさんです』って、いきなり出てきた。二階堂ふみさんも、面白いキャラクターの人だなあ、って感じていて。お二人の魅力と監督の力量を考えれば成功は間違いない、と思っていましたが、さらに予想を上回る面白い作品を作っていただけた」

原作は所沢在住時代の198283年発表です。執筆の経緯は?

魔夜峰央:「白泉社(連載誌の出版元)の陰謀ですよ。『パタリロ!』の連載ほか、一人で描くには忙しくなってきて、アシスタントを使うために東京に住もうと思って編集長に聞いたら『じゃあ所沢にしなさい』って。所沢は埼玉県ですが、西武線沿線にはマンガ家が多く住んでいたんですね。実は、その編集長と、もっと恐い編集部長もすぐそばに住んでいた。原稿回収が楽ですからね、『ワナだ!』と思いました(笑)。何もないネギ畑の真ん中、所沢市大字牛沼字牛沼ってところに4年いた。見張られている感じで、早く逃げ出したかった。そんな鬱憤がもとになって、地元・埼玉をおちょくるギャグマンガになったんでしょう」

インタビューの続きは『キネマ旬報』3月上旬特別号に掲載。今号では「今年の面白い映画って何?」に答えます!と題して、『キネマ旬報』が紹介する2019年ラインアップの巻頭特集をおこなった。その他に戸田恵梨香のインタビューや毎年恒例となったアカデミー賞大予想!?などを掲載している。(敬称略)

取材・文=斎藤宣彦/制作:キネマ旬報社

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