【12月のBS松竹東急】映画好きなら見逃せない! 今見てほしいこの3本!! ―― 時を超え、国境を越えて輝くスターたち
12月は時を超え、国境を越えて輝くスターが出演した3作品を放送。今年8年ぶりの新作「帰ってきた あぶない刑事」(24)も大ヒットした、主演の舘ひろしと柴田恭兵。最初のテレビシリーズ開始から38年。〝ダンディー鷹山〞と〝セクシー大下〞のあぶない刑事コンビを演じる二人は、70代を迎えた今もイメージがまったく変わらない。左手を胸に添えて、右手で拳銃を構える鷹山独自のガンアクションは、舘ひろしが自ら考案したもの。そのスタイリッシュかつ色気のある鷹山のキャラクターを、時を超えて保ち続ける俳優としての凄み。柴田恭兵も、大下が持つフットワークの〝軽さ〞を維持しているのは驚異的で、まさにレジェンドと呼ぶにふさわしい。今回は製薬会社を巡る陰謀に鷹山と大下が立ち向かう第1作「あぶない刑事」(87)をはじめ、「さらばあぶない刑事」(16)まで、映画版7作品を一挙放送。さらに第5作「あぶない刑事フォーエヴァー」(98)の前日談を描くテレビスペシャルも登場する。
1960年代後半、日本映画界は斜陽の時を迎え、各映画会社のスターたちは自ら映画を製作しようと、勝新太郎、萬屋錦之介、三船敏郎などがスター・プロを立ち上げた。もう一人が後に舘ひろしもメンバーに加わる、石原プロモーションを主宰した石原裕次郎。今回はその石原プロが製作した大作映画5作品が放送される。大々的に海外ロケして、サファリ・ラリーに挑む日本人レーサーを描いた「栄光への5000キロ」(69)、勝新太郎が客演して、富士山頂へレーダーを取り付ける難工事に挑む人々を描いた「富士山頂」(70)など力作ぞろいだが、何と言っても石原プロ最大のヒット作は、「黒部の太陽」(68)である。黒部川上流に黒四ダムを建設した、設計技師と現場の人々の苦闘を描いたこの作品は、配給収入7億9616万円という当時としては驚異的な数字を叩きだした。石原裕次郎は三船敏郎に製作協力を求め、二大スターのプロダクションが手を握った。大手映画会社以外の独立プロが、これだけの成功を収めた例はかつてなかった。そういう意味でも裕次郎と三船の情熱が結実した日本映画史に残る一本である。ほかにも石原プロ製作の「ある兵士の賭け」(70)、「甦える大地」(71)が登場する。
今年のエミー賞では、真田広之が主演した「SHOGUN 将軍」(24)が18部門で受賞という快挙を成し遂げた。彼のようなアジア系の俳優が世界的に注目されるきっかけとなったのが、ブルース・リーである。サンフランシスコに生まれ、一家で香港に渡って子役から映画に出演した彼は、18歳の時に渡米。テレビ「グリーン・ホーネット」(66〜67)では準主役を務めたが、当時のアジア系俳優は主演スターになれず、香港へ戻って、3本の映画に主演した。その彼がハリウッドのアクション映画に初主演したのが、今回放送される「燃えよドラゴン」(73)。彼にとっては世界に向けての第一作だったが、映画公開前の73年7月に32歳の若さで世を去った。しかし彼が映画で見せたカンフーアクションは、その後アクションのスタンダードになった。ブルース・リーこそ時も国も越えて愛される、アジア系のレジェンドスターである。
文=金澤誠 制作=キネマ旬報社(「キネマ旬報」2024年12月号より転載)
BS松竹東急
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※よる8銀座シネマは『一番身近な映画館』、土曜ゴールデンシアターは『魂をゆさぶる映画』をコンセプトにノーカット、完全無料で年間300本以上の映画を放送。
■12/4[水] 夜8時
「あぶない刑事」
監督:長谷部安春
出演:舘ひろし、柴田恭兵、浅野温子、仲村トオル ほか
© 東映・日本テレビ
■12/16[月] 夜8時
「燃えよドラゴン」
監督:ロバート・クローズ
出演:ブルース・リー、ジョン・サクソン、ジム・ケリー ほか
© Warner Bros. Entertainment Inc.
■12/21[土] 夜9時
「黒部の太陽」
監督:熊井啓
出演:石原裕次郎、三船敏郎、滝沢修、志村喬 ほか
© 三船プロダクション/石原音楽出版社
詳細はこちら:https://www.shochiku-tokyu.co.jp/special/eiga/