「フィオナの海」のストーリー

フィオナ(ジェニ・コートニー)は都会で出稼ぎする父の所から、アイルランド北西の海岸で暮らす祖父母(ミック・ラリー、アイリーン・コルガン)の所に帰ってきた。彼女の一族は代々沖に浮かぶローン・イニッシュ島で暮らしてきたが、今では島は無人島になっている。また一家は弟のジェミーを揺籠のまま波にさらわれて失っていた。フィオナは祖父に島にまつわる昔話を聞いて想像を膨らませ、いつかみんなで島に戻るべきだと思う。祖母はそんな迷信めいた話にいい顔をしない。フィオナは祖父と従兄弟のイーモン(リチャード・シェリダン)と一緒にローン・イニッシュ島を訪ねるが、一家の昔の家にはなぜか人の気配が。そして彼女は野原を裸で駆け回るジェミー(シリアン・バーン)の姿を見た。彼は海に浮かべた揺籠に乗ってアザラシと共に逃げ去る。フィオナは父の従兄弟で、村の人から気違い扱いされているタッドから、一族にまつわる伝説を聞く。彼らは海の妖精セルキー(スーザン・リンチ)の血を引く、海に生きる一族なのだ。霧の深いある日、フィオナがアザラシに導かれるようにボートで漂流して島にたどりつき、家のなかでジェミーとアザラシが一緒に食事しているのを見る。弟は彼女に気がつくとまた海に逃げていった。フィオナはこのことを祖父とイーモンに話すが、二人は信じず、また決して祖母には言わないようにと口止めされる。祖父母の借りている家に別の借り手がつき、引っ越さなくてはならなくなった。今まで海と共に生きてきた祖父にとって、海岸から離れることのショックは大きい。フィオナはそれなら島に帰るべきだと考え、イーモンを説得して密かに島に通い、二人で昔の家を修理する。嵐の気配がするある午後、フィオナはついに祖母にジェミーが生きていると言ってしまう。すると祖母は人が変わったようになり、手早く荷物をまとめ、すぐに島に連れていけという。島について、祖父母は二人の孫が家を綺麗に修理したことを知り、再びここに住もうと思う。そして夜、アザラシに導かれてジェミーが家族のもとに戻ってきた。