「夜霧の都」のストーリー

一九三八年の暮、南ロンドンにあるヴィザード夫人所有のアパートに母親と住むパーシーは、階下の娘ドリスを恋していた。三階には一文なしのくせに見栄を張るコニイ婆さんが居り、心霊術の霊媒をつとめるスクェールズという変った男が新しく越して来た。自動車修理工のパーシーは、お礼の金に目がくらみ、ルウファヌの盗んだ車を別物の様に塗り変えてやった。これに味をしめた彼は、その後劇場前の車を盗んで乗逃げしようとした時、友達のマーサが何も知らずに乗込んだので、あわてて全速力で逃げるうち、誤って車から落ちたマーサは即死した。この犯人は誰か分らなかったが、ドリスに恋する若い刑事ビルは、パーシーが彼女に贈ったプレゼントに目をつけ、ついに彼を殺人犯人として逮捕した。ビルはこのためドリスの機嫌を損じてしまう。パーシーは故意の殺人と見られ、死刑の宣告を受けた。ドリスの伯父に当る八百屋のヘンリーを初め、附近の住民は一斉に立上りト肋命歎願のため行進をした。彼等の熱意は当局を動かし、パーシーは無期徒刑に減刑されたが、ちょうどそのとき、英園は第二次大戦にまきとまれ、住民たちも祖国を守る決意に燃えたった。出征するビルがドリスのもとへ別れに来たので、彼女の心も解けて将来を誓い、そしてパーシーも国防の第一線に立つため保釈となった。