「総理大臣の恋文」のストーリー

議会抜打ち解散、とあつて首相烏山を党首とする太平党、野党の民野党の選挙戦が火ぶたを切る。ここ伊豆半島の小都市でも民野党外団のボス遠山、公認候補春日井らと、与党の候補浦田、市長幸田、金づるの大東レーヨン社長大東らがにらみあっている。与党一派は温泉旅館水明館に陣どり、芸者総あげのドンチャン騒ぎをはじめる。かねてより水明館の娘光江に目をつけていた大東は、金の力で誘惑する。肺疾の夫の療養費にも事欠く彼女は、思いあぐんで女中のおその婆さんに相談した。律気一方のおそのが懇々光江の迷いをいましめている折しも、風呂場で盗難事件が起る。大東の妻清子のダイヤの指輪が紛失したのである。詮議の末、疑いはかたくなに所持品検査を拒むおそのの上にかかった。が、無理矢理あけさせた行李から現れたのは、ダイヤならぬ一束の恋文-しかも若い日の首相烏山が、下宿の娘おそのへ宛てた古い恋文だった。ダイヤはシャボンの裏にみつかったが、問題の恋文をめぐって、選挙に利用しようとする野党、させまいとする与党の間で激しい値ぶみ戦がまき起る。息子の学資ほしさに大東派の百万円で手をうつたおそのも、遠山派の腹いせから事が新聞沙汰に及ぼうとするや、秘められた一生の思い出をまもるため、恋文も札束も火に投じた。

今日は映画何の日?

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