「逢いぞめ笠」のストーリー

信州中津川の旧家戸田屋宗兵衛の一人娘おみよと恋に落ちた藤太郎。子まで宿したのをやくざの義理から心を鬼に旅に出る。そして五年ぶりに戻った信州追分の宿。土地の親分石山の常吉の喧嘩に手をかし草鞋をはくが後を追うのが常吉の女房おれん。茶屋女おきみをなびかせようとしていた常吉は慌てて二人を追うが藤太郎は唯一人。常吉はおれんを連れ戻し藤太郎との仲を責めるがおれんは反撥。一方、常吉の手からおきみを救う藤太郎。道連れにという彼女を振り切るが相川の治太郎親分の娘おことに逢い、おみよと瓜二つに驚く。むつまじげな二人を妬むのは治太郎の子分新二郎。やがて藤太郎を引渡せと常吉の念達。だが治太郎は使いを追い返し藤太郎は草鞋をはく。後にはおことの淋しげな顔。街道で女の子おふじに会った藤太郎は母に死なれて一人旅との話に我子を考え、目指す落合宿するが屋へ同行。常吉は腹いせに治太郎をだまし討ち、罪を藤太郎に被せ追手を向けるがおことは藤太郎に会い真疑をただす。そのおことの顔を見たおふじの「母ちゃん」という声に藤太郎は胸をつかれる。彼はおふじを伴い落合宿へ。するが屋太左街門は宗兵衛の義弟。彼が取出すおみよの手紙でおふじはその子と判り藤太郎は中津川へ早駈け。藤太郎と名乗らぬまま宗兵衛夫婦におふじを托し追手の前に立塞がる。治太郎を斬った常吉の用心棒菱川始め悪人共を倒した彼は、おことに再会を約し、堅気の修行に出た。