「イベント・ホライゾン」のストーリー

2015年に月に移住地を完成させた人類は、2040年に銀河系のはてまで探索できる全長2.5Kmの巨大な宇宙船<イベント・ホライゾン>を完成させた。だが、宇宙に旅立ったホライゾン号は、太陽系8番目の惑星こと海王星の付近で消息を絶った。7年後、行方不明となっていたこの宇宙船から突然のSOS信号が発せられ、宇宙ステーションに届いた。その場所は同じ海王星付近で、安否が気づかわれていた18名のクルーを救出する計画が立てられた。やがて、ミラー艦長(ローレンス・フィッシュバーン)以下、ナヴィゲーターのスターク(ジョエリー・リチャードソン)、緊急対策技術者のピータース(キャスリーン・クインラン)とクーパー(リチャード・T・ジョーンズ)、獣医のDJ(ジェイソン・アイザックス)、パイロットのスミス(ショーン・パートウィー)、それに自ら同行を願い出たホライゾン号の設計者ウェアー博士(サム・ニール)の計8名の乗組員を乗せた探索救助船USACルイス&クラーク号が救助に向かう。彼らが深宇宙に達した時、ウェアーは初めてホライゾン号の秘密を明らかにする。彼は、この船の運命について語られてきたことは全て嘘であり、実際には何が起きたのか全く分からないと言う。ホライゾン号は、これまでにも物理的にも技術的にも不可能と信じられていた超高速飛行用に設計された最初の宇宙船であった。ワームホール(時空のねじれによって全くかけ離れた宇宙空間を結ぶ臨界超次元)を通過して瞬時に移動する革命的技術の重力ドライブを開始した瞬間に、跡形もなく消滅したのだとも言う。船の運命を示す唯一の証拠である、最後の交信を記録した音声テープには、人間のものとは思えない凄まじい悲鳴と泣き叫ぶ声が残されていた。遂に発見したホライゾン号は、元のままの外観を残しながらも何かが異なっていた。ルイス&クラーク号から乗り移ったクルーたちは、まるで見捨てられた大聖堂のような沈黙に包まれた広大な船内を探索するうち、次々と奇怪な現象に見舞われる。船内は無人だったが、まるで船全体が生きているかのようだった。その後、ルイス&クラーク号は突如謎の爆破事故を起こし、ジャスティン(ジャック・ノーズワーシー)は錯乱して自殺未遂をするなど、次々と犠牲者が増える。自殺した妻クレア(ホリー・チャント)の幻影に悩まされていたウェアーは何者かに取りつかれ、ホライゾン号を脱出しようとするクルーを苦しめる。ウェアーはミラーに、船は宇宙の果てで生命体と接触し、そこで生命を得たと告げる。そこは恐怖と悪が支配する暗黒の世界で、帰還した船は人間の頭の中の恐怖や罪、悲しみを探り当て、それを具象化して再現していると語る。ホライゾン号は再び暗黒宇宙に出発しようと動きだしたが、ミラーたちは決死の力を振り絞って抗い、脱出に成功するのだった。