「ラリー・フリント」のストーリー
72年、オハイオ州シンシナティ。ストリップ・クラブのオーナー、ラリー(ウディ・ハレルソン)は、弟ジミー(ブレット・ハレルソン)と経営する店の客寄せのためのヌード写真入り会報を発行。この成功を機に出版社を設立した彼は、男性誌『ハスラー』を創刊する。また、この頃、ラリーはクラブのダンサー、アルシア(コートニー・ラヴ)のエキセントリックな魅力にひかれ、同居を始めた。創刊号は返品の山だったが、ケネディ大統領夫人のジャクリーン・K・オナシスの全裸写真をスクープした号は200万部を売り上げ、ラリーはたちまち大金持ちに。76年、アメリカ建国200年の記念日の夜、ラリーはアルシアとの結婚を決意した。性器を露出した過激なグラビアとスキャンダラスなスクープ写真は、大物投資家キーティング(ジェームズ・クロムウェル)やリーズ検事(ジェームズ・カーヴィル)ら世の良識者たちの反感を買っていた。77年、ラリーは猥褻罪、及び組織犯罪容疑で逮捕される。弁護士のアイザックマン(エドワード・ノートン)の法廷での健闘も虚しく、ラリーは翌年、多額の罰金と懲役25年の判決を言い渡された。間もなく釈放されたラリーは「自由な出版を守る会」に招かれ、戦争とヌードの写真が交互に映し出される巨大なスクリーンを前に、「忌まわしいのはどっちだ!」と演説した。やがて彼は、カーター大統領の妹で敬虔なクリスチャンであり、彼を「性の抑圧からの解放者」と考えていたルース(ドナ・ハノーヴァー)の支持を受ける。彼女の影響でラリーがクリスチャンに回心すると、『ハスラー』もポルノと宗教が奇妙に混在したものへと変わったが、彼は周囲の誰の意見にも耳を貸さない。78年、ジョージア州の裁判所前でラリーは何者かに狙撃され、下半身不随になってしまう。信仰を捨てルースと訣別した彼は、ハリウッドへ移る。今や心だけで結ばれていたアルシアとラリーは豪華な寝室に閉じこもり、ドラッグに溺れる日々が続いた。83年、手術によって痛みから解放されたラリーはドラッグをやめ、仕事に復帰し新たな闘いを始めた。デロリアン・モーター・カンパニーの社長ジョン・デロリアンとFBIのコカイン取り引き現場を映したビデオ、つまりFBIの囮捜査の模様が収めたものを入手した彼は、CBSに売り込んだ。ビデオの出所を明らかにするよう求められたラリーはこれを拒否し、法廷で暴言をブチまけた挙げ句、精神科刑務所に収容を命じられる。そんな時、著名な伝導士フォルウェル(リチャード・ポール)が、彼と母親が近親相姦していたという『ハスラー』のパロディ広告に怒り、ラリーを告訴した。アルシアの懇願で一度はラリーに解雇されたアイザックマンが弁護をするが、裁判が始まるとまたしてもラリーは法廷で悪態の限りを尽くし、再び有罪判決を受ける。そんな折り、エイズに冒されたアルシアがバスタブで溺死する。最愛の妻を失ったショックの中で、ラリーはアメリカが自由の国であることを証明するため、そして共に闘ってきたアルシアの死に報いるため、最高裁で表現の自由の意味を争うべく上告する。やがて、在りし日のアルシアの姿を収めたビデオを見ていたラリーは、アイザックマンから勝訴の報せを受け取るのだった。