「アメリカン・スプレンダー」のストーリー

オハイオ州クリーブランドで病院事務員として働くハーヴィー・ピーカー(ポール・ジアマッティ)は、2度目の妻に逃げられてしまい、冴えない毎日を過ごしている。コンプレックスまみれの彼だが、音楽には詳しく、ジャズの評論を書いたりしている。そんなある日、近所のレコードのガレージ・セールで、内気なロバート・クラム(ジェームズ・アーバニアク)という男と知り合う。2人は意気投合するが、まもなくクラムはコミックの才能を発揮し、サンフランシスコへ移住して一躍有名作家になった。あせりを感じたハーヴィーは、自分の日常を題材に、絵とは呼べない棒線でコミックを描いてみる。それを面白がったクラムは、絵をつけて作品を完成させる。それが『アメリカン・スプレンダー』として刊行され、たちまち大人気となった。それでもハーヴィーは病院での勤務を続け、同僚のオタクの友人トビー(ジュダ・フリードランダー)との会話などが、コミックのネタになった。そんなある時、デラウェア州のコミック専門店を経営する女性、ジョイス・ブラブナー(ホープ・デイヴィス)が、ハーヴィーに手紙を出した。彼は彼女をクリーブランドまで呼び寄せ、まもなく2人は結婚する。ハーヴィーの名声は年々高まり、ついにはテレビの人気トーク番組への出演もこなすように。しかしやがて癌が発覚。つらい治療を経て1年後、ハーヴィーとジョイスは養子を迎える。そしてハーヴィーは、同僚たちに囲まれながら長く勤めた病院を定年退職するのだった。