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「ホテル ビーナス」のストーリー
最果ての街。うらぶれた喫茶店“カフェ ビーナス”の奥にある“ホテル ビーナス”には、心に傷を負った流れ者たちが住んでいる。1号室には酒浸りの元闇医者“ドクター”と、ホステスとして働きながら生活を支える元看護婦の“ワイフ”が、3号室には花屋を開くことを夢見る娘“ソーダ”が、4号室には殺し屋を自称する少年“ボウイ”が暮らし、屋根裏部屋である0号室の住人“チョナン”は、恋人を亡くし生きる気力を失って3年前にホテルに来て以来、カフェのウエイター兼ホテルの世話係をしていた。そして、そんな彼らを温かく見つめるのが、片足の不自由な謎の女主人“ビーナス”だ。ある日、新しい住人がやって来た。無口な男“ガイ”と彼の義理の娘“サイ”である。ガイは、不治の病に倒れたサイの母親を愛しているが故に殺め、警察に追われる身の上。しかし、彼の気持ちを理解仕切れないサイは、母親を失ったショックから心を閉ざしていた。そんな彼女を温かく囲んでやるうちに、自身の人生を見つめ直すようになっていくホテルの住人たち。「生きているから色んなことがあるのではなく、色んなことがあるから生きるのだ」 それから半年後、それぞれに再起し新しい人生を歩み始めたチョナンたちのもとに、新しい客が訪れる。だがその時、ビーナスが静かに息を引き取るのだった……。