「ジェシー・ジェームズの暗殺」のストーリー
南北戦争直後のアメリカ。ジェシー・ジェームズ(ブラッド・ピット)は、犯罪と逃亡を繰り返しながら生きてきた。1881年9月7日。その日、ジェシーと兄フランク(サム・シェパード)が率いるジェームズ一味は、ミズーリ州ブルーカットでの列車強盗を企てていた。その夜の決行のために集まった一団の中に、若者がひとり懸命に自分を売り込もうとする姿があった。自分も仲間に加わり、ジェームズ兄弟の“右腕”になりたいと訴えるロバート・フォード(ケイシー・アフレック)。おどおどしているくせに自惚れだけは人一倍強いその若者の申し出をジェシーはためらいもなく受け入れた。南北戦争で南軍ゲリラとして戦ったジェームズ兄弟は、戦争に敗れた後、銀行強盗や列車強盗を繰り返していたが、新聞は彼らのことをあたかも義賊のように書きたて、その“活躍”を英雄的に描いた「ジェームズ兄弟物語」なる三文小説まで出版されていた。幼いころから、そのことごとくを読みあさり、ジェシーに強い憧れを抱いていたのがロバートだった。ブルーカットでの列車強盗を最後の仕事にしようと考えていたフランクは、その後、ジェシーと距離を置くようになり、仲間のもとを離れていく。残された者たちも、それぞれ分散して身を潜めることになったが、ジェシーはロバートだけは側に残るようにと命じる。他のメンバーを差し置いて自分が指名されたことにロバートは有頂天になる。しかし、一緒に暮らし、伝説の人物の現実の姿をまのあたりにするうちに、彼の中に憧れとは別の感情が生まれ始める。さらに、仲間の中には、ジェシーの首にかかった破格の懸賞金を目当てに、裏切りを画策する動きも出てきていた。疑念と焦燥の中で、時に凄まじい怒りを爆発させ、殺気さえ漲らせるジェシー。憧れと恐怖、失望と野心…その内側に恐ろしいまでの葛藤を抱えるロバート・フォードの視線の先には、つねに偉大なる男ジェシー・ジェームズがいた……。