「ぼくのおばあちゃん」のストーリー
智宏(岡本健一)は住宅展示場に勤務するトップ・セールスマン。いつも仕事に追われている智宏の姿に、妻の絵美(加藤貴子)は心配を募らせている。仕事を手がけている一家の祖父と孫の仲のいい様子を見た智宏の胸に、少年時代の記憶が甦ってくる。父の征二(柳葉敏郎)は入退院を繰り返していており、母の千恵子(原日出子)は父の看病のためよく家を空けており、家は智宏(吉原智宏)とおばあちゃん(菅井きん)ふたりきりのことが多かった。いつだって優しいおばあちゃんを、智宏はずっと守ると誓う。そんな中、征二が死んだ。葬式の晩、奥の部屋でひとりからだを丸めて泣くおばあちゃんは、智宏が近づくと力強く抱きしめた。おばあちゃんががんに冒されていると分かったのは智宏が中学生だった頃。医師から手の施しようがないことを知らされ、おばあちゃんを自宅に連れ帰ることを決める。智宏はおばあちゃんが淋しくならないよう夜を徹して作業し、天井を写真で飾りつける。決してひとりじゃない。そんな智宏の思いやりにおばあちゃんは胸を熱くする。突然庭に出たいと言い出すおばあちゃんを背負って庭に出た智宏。翌朝、おばあちゃんは息を引き取ったのだった……。仕事の依頼主である茂田家に赴いた智宏。家の模型を見せながら最終説明をする。以前、茂田家の妻・美佐子(清水美沙)は年老いた義父の源次郎(石橋蓮司)を老人ホームに入れて家を建て替えたいと主張し、夫の洋一(阿部サダヲ)とケンカしていた。その日、美佐子が突然、源次郎と同居型の家にしてほしいと提案する。嬉しそうにすかさず別の模型を取り出す智宏。それこそが、家族みんなが幸せになる家づくりを実現させるために夜な夜な誠意を込めてつくっていた2世帯型住宅の模型だった。清々しい気持ちで久々に家族3人で故郷の実家へ帰る智宏たち。そこで智宏は、時間を越えておばあちゃんから贈られた、最高のプレゼントを見つける……。