「民族と自然 北極圏の人々」のストーリー

6月下旬、アメリカ沿岸警備隊の砕氷船ウェストウィンド号は、北極圏の気象観測所へ物資を補給するためのグリーンランド北西部、テューリ基地に向かった。氷山の海域を越えたウェストウィンド号は、やがてテューリ港に入り、港内の氷を割って補給船団の道を拓く。そしてこの水路を、姉妹船イーストウィンド号に導かれた船団が到着する。補給物資は、イーストウィンド号に積まれ、ここから更に北のアラート気象観測所に運ばれる。アラートは北極の極点から400マイルのエルスミア島にあるが、イーストウィンド号は飛行機で氷の状態を偵察しながら北上する。ところがアラート東南30マイルの地点で浮氷が凍りつき、舳の鋼板に2メートルの大穴があいてしまった。救助通信によってテューリに待機していたウェストウィンド号が現場に急航180トンの荷物を積みかえ代わってアラートへ向かう。厚い氷と闘いながらウェストウィンド号は進むが、アラート目前7マイルにして完全に氷に閉じこめられた。氷中に爆薬を仕かけるが厚い氷にはえくぼができた程度。船は最後の手段として両側にある20000ガロン入りのタンクに交互に水を入れ船体を揺するが、効き目がない。遂に越冬の決意を固める。日がたつにつれ不安が増す。しかしカナダ機が飛んできて空中から薬品を投下、ワシントンでは乗員のヘリコプターでの救出を計画する。ところが突然、氷が割れ青い水路が開ける。ウェストウィンド号は自由になった。しかし水路は南方に開けただけ。アラートへは来年夏まで空中補給を行うことにし、船は北極の戦いに敗れて南下する。