解説
19歳で娼婦の世界に入った少女が様々な体験を通してその世界と訣別するまでを描く。女流作家ジャンヌ・コルドリエの自らの体験を基にした小説(読売新聞社刊)の映画化。製作はべンジャマン・シモン、監督はドキャメンタリー出身のダニエル・デュバル、脚色はジャンヌ・コルドリエ、クリストファー・フランクとダニエル・デュバル、撮影はミシェル・セネ、音楽はウラジミール・コスマ、編集はジャン・べルナール・ボニ、衣裳はコリンヌ・ジョリーが各々担当。出演はミュウ・ミュウ、マリア・シュナイダー、ダニエル・デュバル、ニエル・アレストラップ、ブリジット・アリエル、ジャン・バンギギ、マルティーヌ・フェリエール、マリー・ピレ、レジ・ポルトなど。
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この作品のレビュー
ユーザーレビュー
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ミャーノフ大佐
この映画、公開時に映画紹介などで取り上げられた記憶がある。ミュウ=ミュウは「バルスーズ」で話題になったが、実際に映画で観たのは今回が初めて。可愛くきれいな女優でした。マリア・シュナイダーは言わずと知れた「ラストタンゴ・イン・パリ」の女優。ちなみに「ラストタンゴ・イン・パリ」では、本当にセクハラを受けまくっていたようだ。
映画の出だしでかかる音楽が、時代を感じさせるねえ。あの頃のフランス映画も日本映画もよくこんな音楽をつけていた。
映画は、男から娼婦にされ、そこからどう這い出していけるのか、がストーリー。ストーリーは最初に書いたとおり公開時の紹介で知っていた。
フランスの娼婦って、制度がどうなっているのかわからないけど、娼婦のヒモって、例えば「男と女」でも出てくる。当時のフランスでは割とよく知られていたことなのかしら?それと警察も娼婦を把握しているのかしら?日本のヒモは、女の周りの世話をして食わせてもらっている、優男というイメージなんだけど、お国柄の違いかな。
途中、彼女らが客の男たちに乱暴されて、その仕返しに男たちが捕まって地下室で暴力を受けるんだけど、私のアイデアだったら、さらにその兄弟で○○○させるんだけどな。彼女が何故ヒモから逃げ出せないのかが良くわからない。自由意志で娼婦になったように、自分の意思で、自由になれないのか。ラストで男の言葉を信じてついて行くが、そこは一人で行っちゃダメでしょ。絶対複数人で行くべきなのに。
テーマは重い映画なんだけど、ミュウ=ミュウが頑張っていた、という以外は、取り立てて良かったというほどではない。
「夜よ、さようなら」のストーリー
マリー(ミュウ・ミュウ)は19歳のパリジェンヌ。ボーイフレンドと時間を過ごす平凡な女の子だ。彼女の父親はろくに職にもつかず昼間からカフェでカードをやっている。そのカフェにやって来たマリーは、そこで父親の知り合いらしき男の熱い視線を感じた。エレガントでハンサムなその男ジェラール(ダニエル・デュバル)とマリーの、それが運命ともいえる出会いだった。ジェラールは、派手な指輪や服などが示すように、娼婦のヒモで生活している男だった。しかし、一目で彼に魅せられてしまったマリーは、何の抵抗もなくジェラールの言うままに娼婦として淫売屋で働くことになった。そして、そのことは、父親も承知の上だった。ソフィという源氏名を与えられたマリーは、そこでマルー(マリア・シュナイダー)という、どこかなげやりでいながら魅力的な女の子と友だちになった。客の中には、様々なタイプの男たちがいた。そして、それらの男たちの相手をしながら、マリーは知らず知らずの間に一人前の娼婦になっていった。一方、ジェラールは次第に本性を見せはじめ、マリーをこきつかった。ジェラールの手をのがれてマルーとの生活をはじめたマリーは、しかし、ジェラールの差し向けた狂暴な男に乱暴され、ジェラールから離れられないことを実感した。次第に深く娼婦という地獄のような世界に落ちてゆくマリーは、時には、純朴そうな青年(レジ・ポルト)を知るようなこともあったが、実は彼も残酷な男でしかないことを知りさらに絶望するのだった。そして、心までは売ってはならないと自分に誓ったマリーは、遂に脆くジェラールをつき放し、足を洗う決意をした。そして、売春登録を抹消するために出頭したマリーは、係官にきつばり言つた。私にはヒモなどいなかった--と。これからマリーは新しい人生を迎えようとしていた。
「夜よ、さようなら」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「夜よ、さようなら」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ |
製作国 | フランス |
製作年 | 1979 |
公開年月日 | 1980年8月9日 |
上映時間 | 113分 |
製作会社 | ベンジャミン・シモン・プロ |
配給 | コロムビア |
アスペクト比 | スタンダード(1:1.37) |
カラー/サイズ | カラー/スタンダード |
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