解説
1948年のユーゴを舞台に親ソ、スターリン派との軋礫のチトー体制下の人々の生活を描く。監督はストーレ・ポポフ、脚本はゴルダン・ミヒッチ、撮影はミショ・サモイロブスキー、音楽はヨルダン・ヤネヴスキー、編集はラッキー・チェムチェヴが担当。出演はスヴェトザル・ツヴェトコヴィッチ、メト・ヨヴァノヴスキー、ヴラディツァ・ミロサヴィリュヴィッチほか。
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「ハッピー’49」のストーリー
1948年、ソヴィエトからユーゴへと走る蒸気機関車。この年(48年)は、指導者チトーが打ち出した独自の政策により、これまでの盟友ソヴィエト・スターリンと訣別した。ソヴィエトの大学に留学していたボタ(スヴェトザル・ツヴェトコヴィッチ)は、そこで知り合い、結婚した妻ベラと友人を伴い祖国に向っていた。ユーゴに入る寸前、悩んだ末にソヴィエトに留まる決心をして汽車を降りてゆく人が何人もいた。最後まで、どちらの国を選ぶか迷っていたボタの友人はついに自殺してしまう。何年ぶりかで我が家に戻ってきた長兄ボタを迎えたのは、年老いた父とバレリーナ志望の妹、そして幼ない弟、目も耳も聞こえなくなった祖母の4人だった。誰よりも彼の帰りを待っていた母は重病で入院しており、次弟のコスタは、戦友で貧しい家族を支えるために闇取引きに手を染め、町でも札付きの男になっていた。散々になってしまった家族を、老いた父にかわってまとめようと考えたボタだったが、彼の前に秘密警察が現われ、車中で起きた軍人の自殺に関する重要参考人として連行される。親ソ分子であるという嫌疑をかけられ刑務所に留置されてしまうボタ。母のためにヤクザを相手に闇商売に手を出したコスタは、ユーゴを去る決意をし、初めて会った時から惹かれていたベラに、兄と3人で国外に脱出しようと申し入れるが、ベラは頑なにそれを拒むのだった。ボタの釈放の望みもなく何事にも心を閉ざすベラにコスタはドレスや高価なアパートを贈り、彼女の顔に笑顔を取り戻そうとする。ボタを待ち続けていたベラも、強引なコスタに心を許し彼の愛を受け入れる。しかし、そんな2人の甘い生活も長くは続かなかった。密告の取り消しで釈放され家に帰って来たボタ。やはり自分が愛しているのはボタだと知ったベラはコスタにそのことを告げる。ベラを苦悩から救うために、コスタはボタに会い、彼女のボタへの変わらぬ愛を伝えた。しかしボタはベラを許すことができず、かつて自分を密告した友人のように、秘密警察にベラを売り渡すのだった。彼女は、むりやりソヴィエトのスパイにされていたのだ。西側へ逃亡する決心をしたコスタは、ベラに別れを告げるために彼女のアパートに行くが、そこには全てを失い自らの生命を絶った冷たい体のベラが横たわっていた。ショックに立ちすくむコスタの耳に秘密警察がドアをノックする音がきこえてくる。雨の中新年を祝う機関士たちの声が響く。“ハッピーニューイヤー'49”
「ハッピー’49」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「ハッピー’49」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ |
製作国 | ユーゴスラビア |
製作年 | 1986 |
公開年月日 | 1987年11月21日 |
製作会社 | ヴァルダール・フィルム |
配給 | シネセゾン |
レイティング | |
アスペクト比 | アメリカンビスタ(1:1.85) |
カラー/サイズ | カラー/ビスタ |
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