解説
戦争をごく単純な図式に従いつつ、その表情をニュース・ドキュメントのように解説した、ゴダールのいわゆる“呪われた”作品。製作はジョルジュ・ド・ボールガール、監督は「彼女について私が知っている二三の事柄」のジャン・リュック・ゴダール、脚本はゴダールとロベルト・ロッセリーニ、ジャン・グリュオー、原作はベンジャミーノ・ジョッポロ、撮影は「彼女について私が知っている二三の事柄」のラウール・クタール、音楽はフィリップ・アルチュイス、美術はジャン・ジャック・ファブル、編集はアニエス・ギュモ。出演は「山猫」のマリノ・マーゼ、ほかアルベール・ジュロス、ジュヌヴィエーヴ・ガレア、カトリーヌ・リベイロ、ジェラール・ポロク、ジャン・ブラッサなど。
ユーザーレビュー
「カラビニエ」のストーリー
野原の一軒家に母のクレオパトル(C・リベイロ)、娘のベニュス(G・ガレア)、二人の息子ユリッス(M・マーゼ)、ミケランジュ(A・ジュロス)が住んでいた。或る日、二人のカービン銃兵1(G・ポワロ)、2(J・ブラッサ)がやって来て、王様の召集令状を出す。非識字者で、王様からのたっての願いという言葉をなかなか信じない兄弟だが、戦争で何をしてもよい、世界中の富が手に入ると聞かされたため勇躍参加することにして、出発し、その経過を絵葉書で母と妹に報告する。曰く、いくさが始まるまえ、兵隊は皆こわがること……。イタリアに上陸して死骸の山を築いたこと。ヒラの兵隊と大将さんもイイ男だろうが運命は同じさ! 皆、声も立てずに死ンじまうこと。銃殺刑の執行と絞首刑に立会ったこと。戦争とは自分の血も他人の血もゴボゴボ流れるものと思わなければならないと思ったこと。銃殺とは前に殺した奴の死骸の上に次の奴をうまく重ねて倒すのがコツだということ。ピラミッドを見て歴史を考えたこと。いくさに来てから昨日で三度目の春を迎えたが、いつ平和になるのかサッパリ解んねェこと。三十日間援軍なしで戦ったこと。女をヒンむいて裸にし並らべて射ったこと。エイガを初めて見たこと。戦いは勝利じゃなく、くずと死人の山だということ。絶望的だということ……ETC。そして二人は帰って来る。トランクに絵葉書いっぱい詰め込んで、戦利品の分配を楽しみにして……トランクの中には何があったノカ? オドロキが一杯つまっていた。全部絵葉書なのでアル。--建造物から運輸機関、デパート、芸術作品、自然の驚異、山岳、河川に砂漠と風景、動物に五大州……クレオパトルとベニュスは喜こんだ。しかし、ホンモノはいつになったら手に入るのか? そうだ、国王陛下にお願いしよう。国王陛下万歳!ところが、ナンテコッタ、王様軍は敗北し、戦犯は逮捕され、銃殺されることになったのだ。二人はあっと言う間に殺される。……二人の兄弟は永遠に眠る……。いま彼らは理解したろう。分別して踏みとどまるつもりでも、人間のオツムは《死》をとび越してしまうこと。ならびに、天国は実に《夢》で出来ていることを!
「カラビニエ」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「カラビニエ」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | 戦争 |
製作国 | フランス |
製作年 | 1963 |
公開年月日 | 1970年11月7日 |
上映時間 | 80分 |
製作会社 | マルソー=コシノール=ローマ・パリ・フィルム |
配給 | フランス映画社 |
レイティング | 一般映画 |
アスペクト比 | スタンダード(1:1.37) |
カラー/サイズ | モノクロ/スタンダード |
音量 | モノラル |
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