解説
一九五〇年、ポピュリスト賞を受けたルネ・ファレの『ラ・グランド・サンチュール』(パリ市の外郭の意)を原作に、「夜の騎士道」のルネ・クレールが脚色、潤色、台詞を担当、自ら監督した作品。脚色には「巴里野郎」のジャン・オーレルが協力している。撮影監督は「反乱」のロベール・ルフェーヴル、音楽はシャンソン界の異彩ジョルジュ・ブラッサンスが自作の歌を自らギターを手にして出演、歌っている。音楽指揮はマルク・ランジャン。主演は「ナポレオン(1955)」のピエール・ブラッスールに前記ブラッサンス、「夜の騎士道」のダニイ・カレル、「悪者は地獄へ行け」のアンリ・ヴィダル。ほかに「幸福への招待」のレイモン・ビュシェール、「居酒屋(1956)」のアメデなど。2019年6月22日より4Kデジタル・リマスター版が全国順次公開(配給:セテラ・インターナショナル)。
この作品のレビュー
ユーザーレビュー
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ミャーノフ大佐
ルネ・クレールって、ユーモアな映画を作っていた監督と認識しているが、この映画は違った。
登場人物マリアの心の変化、わかるけど、女性はどうしてそうなっていくの?主人公ジュジュの心理もわかるし。だけど、あそこまで献身的にはなれないな。
子供達がキーになるかな、と思っていたけど、そうはならなかった。
ラスト、ネタバレになるので書かないが、どっちに転んでも唸るかな。
パリの街、郊外だろうけどボロボロなのがいいね。それと拳銃がでかい。小さい機関銃みたい。
「リラの門」のストーリー
怠け者で大酒飲み、世にも碌でなしのジュジュ(ピエール・ブラッスール)は、その振舞はともかく、人のいいことでこのリラ(パリ)の街の人々から愛されていた。ジュジュには“芸術家”(ジョルジュ・ブラッサンス)と称する中老の友人があった。二人は隣同士で、ジュジュは老母と妹の三人暮し、芸術家は小屋に一人暮していた。ある朝、この小屋に見知らぬ男--バルビエ(アンリ・ヴィダル)というお尋ね者が逃込んできた。彼は偶然のことから警察に追われ何人かの追手を殺していた。彼の逃走中の行動は新聞に報道されていたが、何も知らないジュジュと芸術家はバルビエを歓待した。が間もなくジュジュと芸術家は自分のしたことが何であるかを知った。しかしバルビエは小屋に腰を落着け高飛びの計画を練り始めた。芸術家は平和な生活に戻りたいため高飛びの実現が早くなることを願った。が、そのうちジュジュは、友人の願いには無頓着、無邪気に尊敬しているバルビエに快適な生活をさせるために精一杯の努力を始めた。この新しい友人のため酒も飲まず、顔をそり、大変な変りようである。その原因を強盗の故とも知らぬジュジュの友人たちは彼の変化を喜んだ。だが変化の原因を知った者がたった一人あった。角のバーの主人アルフォンスの娘マリア(ダニイ・カレル)である。彼女の魅力にとりつかれたジュジュは遂に秘密をうちあけた。しかしマリアはスリラー雑誌の愛読者であるだけに、誰にも言わないというジュジュとの約束を破って、こっそり小屋の英雄に会いに行った。マリアに見つかったバルビエは、彼女が警察に行かないように彼女を篭絡、すっかりその心を掴んでしまった。そして一方で彼はまた、ジュジュを詰問、秘密をばらしたことを白状させて自分の忠実な番犬とした。やがて高飛びのための旅券が手に入り後は金だけ持てばバルビエは逃出すことができることになった。彼はマリアを唆かし彼女の父親の貯えを持出させ一緒に逃げようとした。これを知ったジュジュは驚いた。しかも金だけを目的にバルビエがマリアを誘惑したと知って愕然、必死に計画の変更を頼んだ。が、聞き入れぬバルビエ。彼は邪魔するジュジュにピストルを向けた。夜の闇に銃声三発、しかし死んだのはバルビエだった。
「リラの門」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「リラの門」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ |
製作国 | フランス |
製作年 | 1957 |
公開年月日 | 1957年10月6日 |
上映時間 | 94分 |
製作会社 | フィルムソノール |
配給 | 東和 |
カラー/サイズ | モノクロ |
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