「季節風」のストーリー
高村慎次は今年もまた大学受験に失敗。ガックリして故郷に帰って来た。慎次が初めてトップ・モデルの圭子に会ったのは故郷の海辺だった。彼の父はすでに他界しており、母と腹違いの兄夫婦と暮していた。大学受験をすすめる兄と喧嘩し、バイクで飛び出た慎次は、東京へ帰る途中の圭子の車とぶつかりそうになる。そして、自分も東京へいっしょに連れて行ってくれとたのみ、東京へ向った。慎次は東京で、少年時代から親しかった先輩の山本健、美紀兄妹のアパートにころがり込む。しかし二人の生活はかなり苦しく健は失業中、美紀は昼夜働きどおしであった。慎次は自分も働くことを決意し、健と二人で職を探し、運よく健も慎次も仕事がみつかり、彼はスナックのボーイ。数日がすぎ、座興でギターを片手に歌っている慎次の前に圭子が現われ、彼に別れの歌を作ってくれとたのむのであった。歌ができた日に、健が倒れ、以前から骨肉腫で一刻も早く入院しなければならなかった。慎次は金を借りようと圭子のところへ行く。しかし、そこで彼は圭子のパトロン・松本を目撃、いそいでその場を立ち去った。病気の健は故郷の海が見たいと言い、美紀と三人で故郷へ向う慎次。故郷で彼は意外な人と出会った。圭子であった。別れの歌はあのパトロンに送るものだったのだと彼女は言った。慎次は母と二人で東京でやりなおす決心をする。その夜、急に病状が悪化した健は、息をひきとった。声も出ない程悲しむ美紀を前になにもできない慎次。いつしか美紀にほのかな想いをいだくようになった慎次。しばらくして東京では三人のそれぞれの生活が始まった。工場で働く美紀。フラッシュを浴びながらポーズをとる圭子。そして参考書を片手に歩く慎次。