解説
パリからイスタンブールを経てインドまで、およそ一万五千キロの道のりに、旅の途中で知り合った三人の若者が、それぞれの重い過去を背負いながら、烈しく青春を燃焼させ、愛と冒険の軌跡を描く。原作・脚本は「栄光への5000キロ」の山田信夫と蔵原惟繕のコンビ、監督も蔵原惟繕が担当、撮影は山崎善弘、前田米造、田中正博、鈴木耕一の四人。
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「陽は沈み陽は昇る」のストーリー
フランス、ル・マンの耐久レース。疾駆する車輪の上で、西の朦朧とした意識は、惨敗したことを痛いほど感知していた。パリのホテル。白いシーツの中で、西と恋人・裕子はすべてを忘れようと激しく求めあった。裕子は数日後、日本へ発つのだ。しかし、西は暗くつぶやいた。「俺は帰らない……」と。オルリー空港で裕子と別れた西は、中近東への旅に出ることを決心した。今の彼には愛車の500だけが友だった。パリのストリップ劇場では、イタリア娘のストリッパー・ティーナが最後の舞台を務めていた。ティーナは、自分の大家族の犠牲となって、回教徒との結婚に踏みきったのだ。中古のシトロエンに乗ったティーナは、アフガニスタンへと出発した。パリのあるアパルトマン。母国アメリカから逃避しているポールが、カトマンズまでの旅を計画していた。彼はカトマンズに平和の幻想を夢みていた。やがてポールはモーター・サイクル750のアクセルを踏んで、カトマンズへとスタートした。イスタンブール。西は、ヒッピー達で満員のレストランでポールと知り合った。500と750のライダー同志、すぐに意気投合し、二人で旅をすることにした。二人はフェリーのデッキで、眼に涙を溜めているティーナと会った。そして、フェリーを降りて、一度は彼女と別れたものの、アンカラの街で偶然に再会する。一緒に旅をつづける三人だったが、西とポールはティーナを次第に意識し始めている。一人余計なんだ! 二人はオートバイ・レースでティーナを賭けようとした。だが、二人の死闘は引き分けに終った。彼らのレースのことを知って一度は怒ったティーナだったが、別れ道が近づいたため、二人が開いたさよならパーティを、快く受けた。右へラート、左マイアナ。シトロエンは左へ、二人のオートバイは右へと走っていった。疲れたティーナがオアシスで水を飲んでいると、五、六人の回教徒が突然襲って来た。ティーナは砂に埋って動かなくなった車を棄て、砂漠の中へ逃げ出した。男たちの徹底した凌辱がはじまる……。流れる血がティーナの白い肉体を染めた。彼女は、車に火をつけた。ドス黒い煙が舞い上がる……。西とポールが遊牧民の羊の群れとたわむれている時、遊牧民が二人をテントの中に招いた。垂幕を上げると、そこには、疲れ果てて横になっているティーナがいた。翌日から、三人は復讐に備えて、ライフル銃の練習を始めた。しかし、幾日たっても仇はやって来ない。三人は銃を砂に埋め、出発した。その時、らくだに乗った男たちが、黒い塊りとなって襲って来た。砂漠の中を逃げ回る三人。だが、血まみれになりながらも三人は生きていた。ニュー・デリーを通ってべナレスの町へ。突然、リア・シートからティーナが転がり落ちた。凄い熱だった。遠のいていく意識の中でティーナは西とポールに言った「幸せだったわ……二人はいろんなことを教えてくれたわ……」。もう何も語らぬ遺体の前で西とポールは呆然と立ちつくしていた。砂地に積んだ薪の上にティーナを乗せ、火を付ける。炎の中から想い出が浮かび、ティーナの声が聞こえてくる。西とポールは泣いた……。傾く陽がガンジス川を染めていた。西はカルカッタへ、ポールはカトマンズへ、道は別れて行く。二人の瞳の中に心が通いあった。言葉はなかった。陽に縁どられた二つのシルエットが、それぞれの道を走って行った……。
「陽は沈み陽は昇る」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「陽は沈み陽は昇る」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ |
製作国 | 日本 |
製作年 | 1973 |
公開年月日 | 1973年4月28日 |
上映時間 | 139分 |
製作会社 | 日活 |
配給 | 日活 |
レイティング | 一般映画 |
アスペクト比 | シネマ・スコープ(1:2.35) |
カラー/サイズ | カラー/シネスコ |
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