解説
週刊文春連載・山崎豊子原作を「第三の悪名」の依田義賢が脚色、「新選組始末記」の三隅研次が監督した文芸作品。撮影は「第三の悪名」の宮川一夫。
ユーザーレビュー
「女系家族」のストーリー
昭和三十三年、大阪船場に暖簾を誇る矢島商店は三代にわたる女系の家筋であった。数年前に妻を亡くした当主の嘉蔵が美しい三人の娘を残して急死した。ほどなく開かれた親族会議で大番頭宇市によって遺言状が開かれ、総額数億円といわれる遺産分配が発表された。が、出戻りながら総領娘の座を主張する藤代、暖簾をつぐ気で養子を迎えた次女の千寿、花嫁修業に余念のない末娘の雛子、の姉妹はそれぞれ不満だった。その上意外にも嘉蔵には七年前から文乃という陰の女がいることが判り、話はまとまらなかった。その日から姉妹の間にとげとげしい空気が流れ始めた。藤代は踊りの師匠梅村芳三郎に相談をもちかけ、千寿は夫と株式組織に切り換える策を練り、雛子には叔母の芳子が後楯になり、秘かに手段を講じていた。そんな最中に宇市の案内で文乃が紹介され、彼女に軽蔑の目を注いだ三人はその胎内に嘉蔵の子が宿っていると知るや、堕胎を強要して口汚くなじった。妾の子でも認知さえあれば半分の相続権があることを芳三郎から教えられた藤代は、さらに共同相続分の山林に目をつけ吉野へ調査に出かけたが、そこで宇市の暗躍を知った。宇市は文乃が胎児の認知書を持っているかどうかを探っていたが、文乃は容易に尻尾を出さなかった。やがて、宇市の巧みな策動が奏効し文乃の出産前に遺産相続を決めてしまうことに三人の意見が一致、最後の親族会議も円満解決しようという矢先、文乃が男の赤ん坊を抱いて現れた。七カ月児を無事早産したと聞いて、矢島家の人たちの驚きは正に青天の霹靂であった。しがも文乃は嘉蔵の胎児認知書のほかに、宇市がごまかしたつもりの汚職の数々を発いた遺言状まで持っていた。得意満面の文乃が去った後、三人の姉妹は生前無力に見えた父の強い意志をひしひしと感じていた。
「女系家族」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「女系家族」のスペック
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