解説
この作品のレビュー
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ミャーノフ大佐
前作でも書いたけど、東宝オープニングロゴの大映映画だ。三隅研次の子連れ狼、4作目だ。三隅研次らしさが出てきたねえ。特に黒田の城内での殺陣のシーンはカメラの使い方と言い、三隅美学が出ていた。
ストーリーも脚本に中村努を加えたせいだろうか、上手い展開をしている。黒田藩と裏柳生を上手く絡めて展開していくのできちんと筋が通っている。
3作目まで製作に勝新太郎の名前があったが、前作から若山富三郎に変わっている。東映から勝プロに移籍したのかと思ったが、ウェキ先生に聞くと独立して個人事務所を開いているとのこと。製作に関わったのは彼の意図を盛り込みたかったのだろう。
前半で村祭りの中、大五郎がスリの女と関わって役人に捕まるシークエンスがあるんだけど、これは大五郎の見せ場を作るためだろうか。これまで大五郎は殆ど台詞がなかったのに今回はかなり台詞があった。大五郎君もやっと人前でおはなしできる様になったか。そうそう、おちんちんが見えていたよ。
この後、一刀と大五郎が手を繋いで歩くカットがあるんだけど、若山と小さい子どもが手を繋ぐなんて、気持ち悪い、もとい違和感がある。
脇の俳優は安田道代、佐藤友美、大滝秀治、加藤嘉、岡田英次であろうか。そのほかに山城新伍、戸浦六宏が出ているが、早々に殺されるのでもったいない。安田道代は黒田藩の忍者・不知火を演じている。結構重要な役だが、ウェキ先生によるとこの頃、彼女は若山の愛人であった、とのことなので自分の映画に自分の愛人を出していたんだ。最も安田道代(後の大楠道代)さんは演技が上手ので良いけど。それとスリの女を佐藤友美さんが演じている。佐藤さん、美人かと言われるとそうじゃないという人もいるでしょうが、でも、個人的にはあの顔好きだなあ。大滝秀治は高僧の役か。イメージの大滝秀治じゃないよな。それは加藤嘉も同じで隠居した黒田の殿様の役だけど、これは加藤の役じゃないよな。他の役者で良かったのでは。そして岡田英次。もったいない。確かに座頭市でもずる賢い悪役をやっていて、この年は勝プロの座頭市と子連れ狼の2本を続けて出ているんで、なんか約束があったのかもしれないけど、どうもあわないなあ。
それと柳生烈堂は伊藤雄之助じゃないの?ちょっと期待していたんだけど。
「子連れ狼 冥府魔道」のストーリー
「子連れ狼 冥府魔道」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「子連れ狼 冥府魔道」のスペック
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