宍戸錠がエースのジョーとして、主人公として活躍する映画。悪役にしろ、主役にしろエースのジョーがきちんと出てきた映画を観たのはおそらくは初めてじゃないかな。いわゆる日活の大看板男優との共演ではバイプレイヤーとして、2.5枚目、悪役として出ていたが、そういう脇の人達も主役で出ている映画もたくさんある様だ。なんせ最盛期は、2本立てで毎週の様に映画を入れ替えていたからなあ。
相手役の野川由美子は映画会社に入っていたわけでは無く、ナベプロだったようで、どこの映画会社にも出演できた様だ。
主人公の設定は、一見悪人に見せながら、実はと言う設定。赤木圭一郎でも、渡り鳥シリーズでも似たような設定だったな。だから見始めたらこのエースのジョーは多分、と思ったらその通りだった。でも、それは許しましょう。要はストーリーがどうかだ。なかなか面白かったよ。アメリカのマフィア団の日本支部という設定。この頃は日本にはマフィアという物が知られていなかったんだな。それでざっくりと説明しながら、アメリカにマフィアというギャング組織があることを紹介している。まあ、今となれば実態とは全然違うと判るけどね。それでも、お互いだまし合いながら話が進んでいく。真のボスが誰か判らないまま話が進んでいくので、どこにトラップがあるのか期待しながら観ていた。最後に出てくる大ボスのミスターXがこれまでの登場人物とは別に登場するのは期待外れだった。サスペンスにするなら、これまで登場した人物の中に大ボスを入れておけば良かったのに。
司法省特別犯罪調査局と言うのが出てきて、その人間を番号で呼んでいるんだけど、何も番号で無くて良くない?「陸軍中野学校」では、名前を変えていたよ。日本国内で番号は変だよ。これは「アジア秘密警察」でもそうだったけど。
ラストで決闘があり、初めてエースのジョーの拳銃捌きが出てくる。もっとたくさん見せてよ。このラストから映画のタイトル「早射ちジョー 砂丘の決斗」としたんだけど、安易なタイトルだなあ。映画全体から見たらもっと違うタイトルをつけられたと思うんだけど。
今回は宍戸錠が主役のため、ジョーと対決する悪役が川地民夫となっている。もし、主役が裕次郎や小林旭だったら、宍戸錠が川地の役をやっていたろうな。
藤岡重慶がせっかく出ているのに、映画の最初であっさり殺されてしまった。もう少し出番を多くしてほしかったな。