解説
子母沢寛の原作から「酔いどれ博士」の新藤兼人が脚色、「雁(1966)」の池広一夫が監督したシリーズ第十四作目。撮影は「泥棒番付」の武田千吉郎。
この作品のレビュー
ユーザーレビュー
-
ミャーノフ大佐
レビュータイトルの通り、本当にアメリカへ行くのかと思った。だって「レッド・サン」という映画では、三船敏郎演じる侍がアメリがで活躍するし、「EAST MEETS WEST」でも真田広之の侍がアメリカで活躍するんだから。最近は侍が現代に来たりしているしな。
監督が池広一夫で、脚本が新藤兼人なんでどんな映画になるのかな。
やっぱり安定の座頭市映画でした。新藤らしさといえば、三島雅夫演じる村人長のずる賢いところとそれに同調する村人たちかな。それで、助太刀にきた若者はあっさり殺されるんだから。最後、この村人長も成敗されるかと思ったけど、そこまではしなかったんだ。
山形勲は、武士役が多くて、山賊役は初めて見た。武士役の山形勲が好き(かっこいい)なんだけど。それでも腹を出した山形勲も存在感はあるよね。
三島雅夫もどの映画に出ても、三島雅夫だよね。この映画のようないやな人間の役をよくやっているよね。
お吉役の安田道代は、「ツィゴイネルワイゼン」にでている大楠道代さんで、「ツィゴイネルワイゼン」では脱いでいます。
「座頭市海を渡る」のストーリー
これまで斬った人々の菩提をとむらうため、座頭市は四国の札所めぐりを続けていた。船の中で暴力スリをこらしめたりした市だが、ある日、馬に乗って追ってきた栄五郎という男に斬りつけられ、止むなく彼を斬った。止むを得ないとはいえ、また人を斬った市の心は沈んだ。だから、栄五郎の家を訪ね、妹のお吉に腕を斬られた時、お吉の短刀をよけようともしなかったのだ。お吉は、実は優しい娘で、兄が殺されたと悟って咄嗟に市を斬ったのだが、今度はその市をかいがいしく介抱するのだった。お吉の話では、栄五郎が三十両の借金のために、土地の馬喰藤八から命じられて市を襲ったのだった。そして市を弟の仇と狙う新造が藤八にそれを頼んだことが分った。また村の暴力一家の頭でもある藤八は、芹ケ沢の支配権を一手に握ろうと画策してもいた。だが、そこはお吉の土地だったから、藤八は邪魔なお吉に、女房になれと言ってきた。それを知った市はお吉の後見人となり真っ向うから藤八と対立したのだ。そんな二人を、名主の権兵衛は狡猾な計算で見守っていた。先ず市は栄五郎の香奠として、藤八に三十両を要求した。結局競技で藤八の弓に居合で勝った市は三十両をせしめた。しかし、その帰途を藤八の子分が襲ったのだが、所詮市の居合に敵うはずもなかった。市とお吉は栄五郎の墓を建てて、しばらくの間楽しい日々を過ごした。そんなお吉に、恋人の安造が土地を捨てようと誘った。しかし、お吉は市を信じていた。やがて藤八は市に最後通牒をつきつけてきた。そしてその日、市はたった一人で藤八一家と対峙した。孤立無援の市を、村の人は助けようともしなかった。市は闘った、斬った、市は村人がきっと助けにくると信じて危機を切り抜けていた。やがて、安造が刀を手に現われた。そして安造が藤八の用心捧常念の槍に斃れた時、ついに、村人も市に加勢してきた。勇躍した市は一刀の下に藤八を斬った。そして市は、馬上から見送るお吉に別れを告げ夕焼空の彼方へと去って行った。
「座頭市海を渡る」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
---|
キャスト | 役名 |
---|

「座頭市海を渡る」のスペック
関連するキネマ旬報の記事
関連記事一覧 | |
---|---|
1966年8月下旬号 |
特別グラビア 「座頭市海を渡る」の池広一夫組 日本映画紹介 座頭市海を渡る |
1966年9月上旬号 | 新作グラビア 座頭市海を渡る |
1966年9月下旬号 | 日本映画批評 座頭市海を渡る |