「ふり袖侠艶録」のストーリー
正徳五年。鏡山藩では側室の病没、名家老梅垣庄左衛門の切腹、当主松ケ枝主水守の原因不明の病等事件が重った。家老宍戸丹左衛門、老女岩藤等一派は一子鶴丸君の後見人、当主の義弟大輔を斬り替玉を立てることを企んでいた。江戸屋敷では鶴丸、老女尾上等が当主隠退の報に接し、国元へ向った。途中、歌の上手な少女お初を救い一行の中に加えた。その夜、一行は刺客に襲われたが尾上やお初の働きで事なきを得、尾上は岩藤に城を追われた腰元関野の子善太が鶴丸に瓜二つなので身代りに仕立てた。或る日鶴丸とお初はいんちき薬売り玄妙斎に拉致されかけたが大輔に救われた。岩藤一派は善太が替玉と知り、遊び相手の名目で鶴丸をお初と共に城中へ召した。お初は大輔に味方に入る様に頼んだが相手にされなかった。岩藤は善太の投げた手毬を云いがかりに、偽若君と主水守との対決を迫り、かくし切れずに善太が告白すると草履で尾上の顔を打ちすえた。一味は騒ぎにまぎれて鶴丸を連れ去り、敗れた尾上は関野への遺書をお初に託した。途中お初は岩藤の部下に襲われたが黒衣の快剣士に救われた。その時お初は遺書を発見し引き返したが既に遅かった。お初は岩藤の部屋へ駈けつけ草履で打ちすえて尾上の仇を取り、腰元等と丹左衛門の邸を襲った時大輔が現われ、お初等をかばって一味を亡した。この大輔の替玉は先代家老梅垣の甥伊織だったのである。