解説
面白倶楽部所載の陣出達朗の小説『だんまり又平』より「弥太郎笠(1955)」の浪江浩と新人深田金之助が脚色、「旗本退屈男 謎の伏魔殿」の佐々木康が監督「御存知快傑黒頭巾 新選組追撃」の三木滋人が撮影を担当した。主なる出演者は「復讐の七仮面」の片岡千恵蔵と三浦光子、「忍術三四郎」の薄田研二「旗本退屈男 謎の伏魔殿」の若山セツ子、喜多川千鶴など。
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この作品のレビュー
ユーザーレビュー
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ミャーノフ大佐
タイトルの「飛龍無双」、二つとない飛んでる龍ということか、タイトルから剣豪の話かと思いきや、時代劇ではあるが、いわゆるチャンバラ映画ではなくて、土佐派といわれる日本画の一門の中の異端児又平(片岡千恵蔵)を主人公にした映画。片岡千恵蔵がちょっと頭の弱い吃音の画家をやっていておもしろい。
話は100分の映画の中にいろいろな話を盛り込んで進んでいくので飽きさせない。又平が画家として大仕事をするまでと、妻徳江(三浦光子)との愛情物語が主軸だ。画家として認められるまでの展開と、夫婦の愛情物語が上手く絡めながら、途中、いろいろな山や谷を入れている。徳江と結婚式の後、床入りのシーンがなんともほのぼのして少しエロいのが良い。そして、かいがいしい妻と、その妻を心底愛する又平の描き方が心温まる。画家としての成功までの描写よりもこの夫婦愛の描写の方が好きだ。思い出してもうるうるくる。
最後のエピソードになってきて、滝の行はないなあ。ここでちょっとしらけるのだけど。滝の行で画筆が数段上がるわけがないでしょ。でも、あの時代はそうだ、ということかな。それとお芝居観劇のシーンが少し長いかな。
そして最後の、狩野派と龍の絵を描く対決。これがタイトルの「飛龍無双」になるんだな。
この頃の日本映画って力があるなあ。佐々木康なんて監督知らないし、どうせB級プログラムピクチャの監督かと思っていたが、ちゃんとした映画を撮っている。この頃って映画産業が盛んで、どの監督も年間何本も撮っているから力をつけていったんだろうな。
殿山泰司が人のいい妹の旦那役で出ている。何でも出てくる殿山泰司。
「飛龍無双」のストーリー
その頃、京都には土佐、狩野両派の画風がしのぎをけずっていた。土佐派の当主将監の高弟又平は、生来のドモリだが、根からの善人で画以外の世事にうとかった。将監の娘小夜路が狩野派の当主清源と息子清四郎らと遊んでいるのを見ると又平はその席へ鯰を放り出して一座の度胆を抜いた。目明しが又平を引立てようとしたのを、祇園芸者卯の喜代が救った。又平はそのお礼に卯の花の肌に刺青の下絵を描く約束をした。清源から小夜路を息子の嫁にと申込みがあったとき、それを斥け、三井財閥の世嗣庄之助との婚約をまとめたのは又平だった。弟弟子修理之介の中傷で、又平が旅に出ると、日ごろ彼を慕っている女中徳江もあとを追い、大津で旅宿を経営する妹おつる夫婦の媒酌で、二人は婚礼の式をあげた。だが、風変りな又平の画が売れる筈はなく、貧乏にあえぐうち、上方興行の途中、大津へ寄った江戸役者市川滝十郎の目にとまったのが開運の初まりで、南座での「大津絵」の舞台は大好評を博し、又平の名も知られるようになった。正法寺の天井に竜の画を揮亳する勅令が下って、土佐派と狩野派が火花を散らした。土佐派の代表に推された又平は、徳江と滝壺にこもって、心眼にうかぶ竜の昇天する姿を追い求めた。そして千余の群衆が固唾をのむ前で、見事な蛟竜昇天図を描き上げ、狩野派を破ったのである。
「飛龍無双」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「飛龍無双」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | 時代劇 |
製作国 | 日本 |
製作年 | 1955 |
公開年月日 | 1955年9月13日 |
上映時間 | 102分 |
製作会社 | 東映京都 |
配給 | 東映 |
レイティング | 一般映画 |
アスペクト比 | スタンダード(1:1.37) |
カラー/サイズ | モノクロ/スタンダ-ド |
音量 | モノラル |