人生とんぼ返り(1955)

じんせいとんぼがえり
上映日
1955年11月1日

製作国
日本

制作年
1955
上映時間
117分

レーティング
ジャンル
伝記 アクション

check解説

新国劇の殺陣師市川段平の半生を描く。長谷川幸延の原作を「赤城の血祭」のマキノ雅弘が脚色監督し、「おしゅん捕物帖 謎の尼御殿」の高村倉太郎が撮影を担当した。主なる出演者は「夫婦善哉」の森繁久彌、「花ひらく(1955)」の山田五十鈴、「女中ッ子」の左幸子、「志津野一平 愛欲と銃弾」の河津清三郎、「自分の穴の中で」の広岡三栄子、「三つの顔」の水島道太郎など。
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この作品のレビュー

ユーザーレビュー

  • ミャーノフ大佐

     マキノ雅弘が日活で映画を撮っていたなんてびっくり。マキノは東映の監督だとばかり思っていた。ウィキおじさんによると、マキノは同じ題材で1950年にも東映で撮っているんだね。しかも1950年版は脚本が黒澤明だ。これも観てみたいねえ。本作は脚本もマキノが書いている。2度目の映画のせいか脚本もよくこなれていて、台詞回しも役者の演技も上手い。
     役者は、主人公殺陣師段平役に森繁久彌、妻で髪結いのお春役に山田五十鈴、そして預かり娘おきく役に左幸子。このとき、森繁は40歳を少し超えたくらい。山田が40歳前、左が20代半ばだ。森繁は脂ののっている頃だろう、最初誰か判らなかったくらい老け役をよくこなしている。
     映画の中で、新国劇、沢田正二郎、倉橋仙太郎の名前や固有名詞が出てくるので、事実からの脚色であろう。新国劇って言っても殆どの人が知らないだろうなあ。島田正吾や辰巳柳太郎、緒形拳がいた劇団と言っても判らないか。沢田正二郎、倉橋仙太郎の役をやった河津清三郎、水島道太郎は後の映画で悪役のイメージなんだけど、確かに画面で見ると悪役の顔かな、と思う。
     映画の最初、森繁と山田の掛け合いを観ていると「夫婦善哉」かと思ってしまった。この2人の掛け合いが実に上手い。森繁もこんな遊び人の役は得意の物で板についているし、それに対する山田の掛け合いも愛情を感じさせる上手い演技だ。山田演じるお春が実に愛しく見えてくる。前半のこの2人の掛け合いに時間があっという間に過ぎていく。そこにちょこちょこと左幸子が絡んで来て、それが浮いていないんだよな。前半はこの3人で引っ張っていく。山田が前半でいなくなるのが非常に惜しい。
     前半から十数年経って後半。中風で倒れ寝込んでいる段平に友人が訪ねてくる。友人と新国劇の舞台”国定忠治”を観劇して、自分だったらラストはあんな殺陣はしないと言って寝床で殺陣を演じる。段平に変わっておきくが新国劇の劇場に向かい、沢田正二郎に殺陣をつける。
     ラスト15分は左幸子の独壇場だ。もう彼女の演技で持っていっている。これだけの役者たちの中で、一歩も引けを取らずに引っ張っている。もう大女優になっている。
     ストーリーはお涙頂戴の昭和のメロドラマだって?それのどこが悪い。役者が良ければお涙頂戴映画だって立派に観客を唸らせてくれるのだ。
     高品格が出ていることで日活映画と判るくらいかな。

「人生とんぼ返り(1955)」のストーリー

大正末期、沢田正二郎が新国劇で売出した頃、大阪の殺陣師市川段平は、梳髪屋を開く女房お春、雇い娘おきくと共に貧しいが男の意気一本に生きる生活を送っていた。沢正は舞台の剣戟に新らしい写実的な様式を導入しようとし、段平も新らしい型の創造に苦心したが、ある日沢正が土地の不良を投げ飛ばしたことからヒントを得て、真に迫った殺陣をつけることが出来た。つづいて東京「明治座」へ沢正が出ることになり、段平も勇んで上京したが、その出しものは「桃中軒雲右エ門」、剣戟場面がないので段平は失望するのだった。五年後、沢正は南座に「国定忠治」をひっさげて公演することになった。しかし段平は中風で重態となり、晴れの舞台に殺陣をつけることが出来ない。開幕が迫り沢正が失望していた矢先、雇い娘のおきくが駈け込んで来た。段平の型を教わり、それを伝えるために来たのである。彼女は、段平そのままの殺陣を演じ、沢正を驚ろかせた。舞台を終え、病床に駈けつけた沢正の手を握り、自分を父と思うおきくに見とられながら殺陣師段平は大往生をとげた。

「人生とんぼ返り(1955)」のスタッフ・キャスト

スタッフ
キャスト役名

「人生とんぼ返り(1955)」のスペック

基本情報
ジャンル 伝記 アクション
製作国 日本
製作年 1955
公開年月日 1955年11月1日
上映時間 117分
製作会社 日活
配給 日活
レイティング
カラー/サイズ モノクロ