解説
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【DVD】白い花びら/愛しのタチアナ
この作品のレビュー
ユーザーレビュー
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ミャーノフ大佐
やー、こう来たか。俺はこんな撮り方も出来るんだよ、みたいに出してきたねえ。全編サイレントで音楽だけで映画を薦めていく。音声以外の音は入れているので、ひょっとしたら役者に口だけ動かして話すな、と指示していたとか、は無いか。
音楽と映像がぴったりと合っている。当たり前なのかもしれないが、それにしても各シーケンスやシーン、カットなど編集は監督自身がやっていて、当然フィルムの長さに拘っているだろう。それにどうやって途切れなく音楽をつけるのだろうか。結構大変な作業だと思う。音楽が常連のティモ・サルミネンかと思ったら、別なアンシ・ティカンマキと言う人が作っている。やっぱりティモ・サルミネン、特にこの映画では撮影と音楽をやるというのは大変なのだろう。
主人公の妻役マリアを常連のカティ・オウティネンがやっている。そしてその妻を誘惑する男が、なんと「レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う」のCIAのジョンソン(アンドレ・ウィルムス)じゃないですか。やっぱりCIAは悪い奴だったんだ。
話はフィンランドで有名な作家ユハニ・アホと言う人の作品らしいが、私が観ていて感じたのは、グリム童話やアンデルセン童話のような話だなあと思った。ヨーロッパの童話ってそんなハッピーエンドに終わらないからね。なんか童話の話から教訓を学ばせる様なそんな感じ。でも、この映画は誤ったマリアを救い、彼女を助けにいった旦那が犠牲になる。前作のハッピーエンドな「浮き雲」に比べて、なんと悲しい結末だろうか。男は悲しい生き物なのかな。
映画の中でCIAのジョンソン(正式な役名はシュメイッカ)が白い花を踏み潰すシーン、ここで彼の本性を描いているというのは、わかりきった描き方か。それより、夫のユハがヘルシンキで赤ちゃんと一緒にいる妻を見つけたシーン、赤ん坊を窓の外に出そうとするが、とどまって妻に返す、このシーン、ルキノ・ヴィスコンティの「イノセント」を思い出した。ヴィスコンティは赤ちゃんを真冬のバルコニーに置き去りにしたけど、俺は違うよ、そんな子どもを殺すなんて、子どもに罪はないもの、ってか。
そこからの男の覚悟か、妻と子どもを列車に乗せ、ユハはシュメイッカと対決しにいく。ここで男の心情は「ワイルドバンチ」や「明日に向かって撃て」のラストと同じだね。覚悟は出来たぜ。
「白い花びら」のストーリー
「白い花びら」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「白い花びら」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ |
製作国 | フィンランド |
製作年 | 1999 |
公開年月日 | 2000年6月24日 |
上映時間 | 78分 |
製作会社 | ヴィレアルファ・フィルム作品 |
配給 | ユーロスペース |
レイティング | 一般映画 |
アスペクト比 | スタンダード(1:1.37) |
カラー/サイズ | モノクロ/スタンダード |
音量 | ドルビー |
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