白い花びら

しろいはなびら Juha
上映日
2000年6月24日

製作国
フィンランド

制作年
1999
上映時間
78分

レーティング
一般映画
ジャンル
ドラマ

check解説

幸せな夫婦に降りかかった悲劇を綴ったサイレント映画。監督・製作・脚本・編集は「浮き雲」のアキ・カウリスマキ。原作はフィンランドの国民的作家ユハニ・アホの同名作。撮影はカウリスマキとコンビを組むティモ・サルミネン。音楽はサイレント映画の音楽製作で知られるアンシ・ティカンマキ。出演は「浮き雲」のサカリ・クオウスマネンとカティ・オウティネンほか。
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この作品のレビュー

ユーザーレビュー

  • ミャーノフ大佐

     やー、こう来たか。俺はこんな撮り方も出来るんだよ、みたいに出してきたねえ。全編サイレントで音楽だけで映画を薦めていく。音声以外の音は入れているので、ひょっとしたら役者に口だけ動かして話すな、と指示していたとか、は無いか。
     音楽と映像がぴったりと合っている。当たり前なのかもしれないが、それにしても各シーケンスやシーン、カットなど編集は監督自身がやっていて、当然フィルムの長さに拘っているだろう。それにどうやって途切れなく音楽をつけるのだろうか。結構大変な作業だと思う。音楽が常連のティモ・サルミネンかと思ったら、別なアンシ・ティカンマキと言う人が作っている。やっぱりティモ・サルミネン、特にこの映画では撮影と音楽をやるというのは大変なのだろう。
     主人公の妻役マリアを常連のカティ・オウティネンがやっている。そしてその妻を誘惑する男が、なんと「レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う」のCIAのジョンソン(アンドレ・ウィルムス)じゃないですか。やっぱりCIAは悪い奴だったんだ。
     話はフィンランドで有名な作家ユハニ・アホと言う人の作品らしいが、私が観ていて感じたのは、グリム童話やアンデルセン童話のような話だなあと思った。ヨーロッパの童話ってそんなハッピーエンドに終わらないからね。なんか童話の話から教訓を学ばせる様なそんな感じ。でも、この映画は誤ったマリアを救い、彼女を助けにいった旦那が犠牲になる。前作のハッピーエンドな「浮き雲」に比べて、なんと悲しい結末だろうか。男は悲しい生き物なのかな。
     映画の中でCIAのジョンソン(正式な役名はシュメイッカ)が白い花を踏み潰すシーン、ここで彼の本性を描いているというのは、わかりきった描き方か。それより、夫のユハがヘルシンキで赤ちゃんと一緒にいる妻を見つけたシーン、赤ん坊を窓の外に出そうとするが、とどまって妻に返す、このシーン、ルキノ・ヴィスコンティの「イノセント」を思い出した。ヴィスコンティは赤ちゃんを真冬のバルコニーに置き去りにしたけど、俺は違うよ、そんな子どもを殺すなんて、子どもに罪はないもの、ってか。
     そこからの男の覚悟か、妻と子どもを列車に乗せ、ユハはシュメイッカと対決しにいく。ここで男の心情は「ワイルドバンチ」や「明日に向かって撃て」のラストと同じだね。覚悟は出来たぜ。

「白い花びら」のストーリー

田舎の村でキャベツを作ってつましく暮らすユハ(サカリ・クオウスマネン)とマルヤ(カティ・オウティネン)の夫婦。貧しいながらも幸せな彼らの前に突然、都会から来たキザな中年男シュメイッカ(エリナ・サロ)が現われる。シュメイッカは純粋無垢なマルヤを誘惑、彼女は口説かれるままに夫を置いて家出。ところがマルヤは彼に夜の女として売り飛ばされ、辛い毎日が始まる。いっぽう、ひとり残されたユハは怒りと悲しみに沈んでいた。1年後、ついにユハは妻を探しに都会へ旅立つ。探し当てた妻はシュメイッカとの間に子供をもうけていた。ユハはシュメイッカを殺して復讐を遂げると、自らも果てるのだった。

「白い花びら」のスタッフ・キャスト

スタッフ
キャスト役名

「白い花びら」のスペック

基本情報
ジャンル ドラマ
製作国 フィンランド
製作年 1999
公開年月日 2000年6月24日
上映時間 78分
製作会社 ヴィレアルファ・フィルム作品
配給 ユーロスペース
レイティング 一般映画
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
カラー/サイズ モノクロ/スタンダード
音量 ドルビー

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