過去のない男

かこのないおとこ The Man Without a Past
上映日
2003年3月15日

製作国
フィンランド

制作年
2002
上映時間
97分

レーティング
一般映画
ジャンル
ドラマ ファミリー

check解説

過去の記憶を失った男が新しい人生を歩いてゆく様を描いたユーモラスな感動作。監督・製作・脚本は「白い花びら」のアキ・カウリスマキ。出演は「白い花びら」のマルッキィ・ペルトラ、カティ・オウティネンらカウリスマキ作品の常連俳優に加え、ベテラン歌手のアンニッキ・タハティほか。2002年カンヌ国際映画祭グランプリ、主演女優賞、サン・セバスチャン映画祭国際批評家連盟賞、ハンブルグ映画祭ダグラス・サーク賞受賞。
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この作品のレビュー

ユーザーレビュー

  • ミャーノフ大佐

     なんか映画タイトルからサスペンス物かなと思ってしまった。普通の映画だったらスパイ物とかになるんだろうけど、アキ・カウリスマキの映画だからスパイ物はないだろう、でもサスペンスなら、なんてね。映画の出だしだって、いきなり列車の中のシーンだよ。サスペンスの舞台としては最適だよね。でも、違った。
     主人公が夜に列車でヘルシンキについて、ベンチで腰掛けていると暴漢に襲われて、パイプか何かで殴られ、身ぐるみ剥がされて、気がついたら病院。でも記憶をなくしている。記憶をなくした男が主人公と言えばリーアム・ニーソンの「アンノウン」やマット・デイモンの「ジェイソン・ボーン」シリーズを思い出すけど、さすがにアクションは無いよな。
     病院で一度死亡宣告をされながら、復活して病院を抜け出し、波止場で倒れているところをその近くに住む貧しい住人に助けられて、コンテナハウスで暮らし始める。仕事は真面目なので徐々に働くことが出来る。自分を助けてくれた隣人と一緒に救世軍の食事提供のところに行って、イルマと出会う。このイルマが常連のカティ・オウティネン。そして自分が溶接が出来ることを知り、溶接の会社に雇われるが、銀行口座を作れと言われ、銀行へ行くと偶然銀行強盗に出くわしてしまう。この銀行強盗事件で新聞に顔が載り、自分が誰か判る。
     話の内容はハッピーエンドの内容で、みんな楽しく観られる。もちろん、アキ・カウリスマキ節は満載だ。それにカウリスマキ大好きなジュークボックスも出てくる。ジュークボックスなんて今の人は知らないだろうなあ。ラジオにバンドに酒にタバコ。そうそう、カウリスマキの映画ってなんで皆あんなにタバコを吸っているんだろう。さすがに2000年くらいには世界的にタバコに対する風当たりは強くなっているだろうに。かくいう私だって、2000年に入院して、退院したら職場の机から灰皿が撤去されていた。それと、お酒飲む時に肴はないんだね。
     この頃の映画になるとヘルシンキの町は近代的に映っている。ただし主人公たちが登場する舞台は貧しい人達が生活する貧相な場所だ。だけど、主人公が自分が誰か判って、帰る田舎の自宅が立派なんだよな。
     映画の後半で、銀行強盗のおじさんとバーで出会うシーンがあるんだけど、後ろの壁にマッティ・ペロンパーの写真が掛かっていたの、気がつきました?
     あと、田舎からヘルシンキへ戻ってくる列車の中で主人公が寿司を食べる。で、バックに流れているのが小野瀬雅生の”Motto Wasabi”だ。これは寿司のシーンが先か、音楽を入れるために寿司を食べさすシーンにしたのか。だって箸の使い方が下手くそなんだもん。エンドクレジットでクレイジーケンバンドの曲も使っていたらしいのだけど、どこに入っていたか判りませんでした。
     駄犬ハンニバルがいい。

「過去のない男」のストーリー

ヘルシンキに流れ着いた一人の男(マルッキィ・ペルトラ)。彼は暴漢に襲われ、一命は取り止めるものの過去の記憶をすべて失ってしまう。やがて男は絶望の淵の中、救世軍の女性イルマ(カティ・オウティネン)と運命的な出会いをする。まもなく恋心が芽生え、互いに惹かれていく男とイルマ。それで活気づいた男は、救世軍主催のロック・コンサートを企画したりなど、だんだん行動的になっていく。しかしひょんなことから、銀行強盗に関与してしまった男は、新聞記事に載ってしまう。すると警察のもとに、男の妻(アイノ・セッポ)から連絡があった。過去が判明した男は、イルマとの別れを惜しみつつも、地元に帰るため列車に乗り込む。だが、たどりついた街に、男は何の感慨もわかない。しかも妻とは数か月前に離婚が成立していた。そこで男は、妻を新しい恋人であるオヴァスカイネン(ヤンネ・ヒューティライネン)に託すと、再びヘルシンキに戻り、イルマのもとへと足を運ぶのだった。

「過去のない男」のスタッフ・キャスト

スタッフ
キャスト役名

「過去のない男」のスペック

基本情報
ジャンル ドラマ ファミリー
製作国 フィンランド
製作年 2002
公開年月日 2003年3月15日
上映時間 97分
製作会社 スプートニク
配給 ユーロスペース(TBS=トライエム=博報堂=ユーロスペース 提供)
レイティング 一般映画
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
カラー/サイズ カラー/ビスタ
音量 ドルビーSRD

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