「チャドルと生きる」のストーリー
イランの首都テヘラン。ソルマズ・ゴラミが女児を出産すると、母親は慌てふためく。男の子でなければ離縁されてしまうからだ。母親に促され叔父を呼びに行った女性は、表通りで3人の女性とすれ違う。その3人は、刑務所から仮釈放さればかりだったが、そのまま故郷へ逃げるつもりだ。だが金鎖を売ろうとした1人が警察に捕まってしまう。残されたアズレーとナルゲスは、刑務所を脱走したバリに力を貸してもらおうとするが、バリの行方が分からない。アズレーは何とか金を工面してナルゲスを逃がそうとする。しかし同伴者も身分証も持たないナルゲスは、バスの切符を売ってもらえない。何とか頼み込んで切符を買うが、近くに警官がいたためバスに乗ることができなかった。ナルゲスは何とかバリの家を突き止めたが、玄関先で父親に追い払われてしまった。入れ違いにバリの兄たちが怒鳴り込んで来て、バリを家から追い出してしまう。死刑囚の子供を身ごもっているバリは堕胎を頼むために、刑務所で知り合い、今は看護師として働いている友人に助けを求めが、未婚のうえ同意書も持っていないとなると堕胎は無理だと断られてしまう。途方にくれて街を彷徨うバリは、生活苦で実の娘を捨てようとしているナイエレと出会うのだった。置き去りにされた娘は警察に保護されたが、自暴自棄になったナイエレは、声をかけてきた男の車に乗り込んでしまう。その男は実は私服警官で、ナイエレを娼婦と間違えて逮捕しようとする。すると本物の娼婦であるモジュガンを乗せたタクシードライバーが取り締まりを受けていた。刑務所に連行されたモジュガンに、看守が「お前はソルマズ・ゴラミか?」と声をかける。窓の外では、テヘランでは珍しい雨が降っていた。