解説
女子高校生が大金の入った財布を拾い、その持ち主を捜し当てたことから始まる青春ドラマ。長編デビュー作ながら、2011年東京国際映画祭「日本映画・ある視点」部門作品賞受賞、サンダンス、ロッテルダムなどの国際映画祭でも正式上映された力作。2012年3月9日より大阪で開催された第7回大阪アジアン映画祭にて上映。
この作品のレビュー
ユーザーレビュー
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ミャーノフ大佐
いや、面白かった。話の展開は鶴屋南北の”盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)”やオー・ヘンリーの”賢者の贈り物”の様な展開で回り回って、のストーリーではあるが、それよりも台詞回しが面白い。
よく出来た自主映画かと思っていたが、ちゃんとした映画でした。出演者達もこの映画の制作時には役者をやっていた様で、自主映画ではなかった。でも雰囲気は自主映画の雰囲気でした。画面はモノクロで(後年、カラー化した様だが)、ジム・ジャームッシュを少し意識しているのか、ジャームッシュの絵の雰囲気も感じさせる。登場人物の殆どが高校生の設定で、大人達が殆ど出てこないところも自主映画っぽさを感じさせる。
主人公は学校を始終サボっている女子高生いづみなのだが、最初の方の釣り堀での親しい親爺との会話、その後に続く友人達との会話。ここで、ぐっと映画に引っ張り込まれる。女子高生達の会話が「バーカ!」の連続で続けられるところが妙に面白いのだ。
ストーリーはひょんな事で拾った財布の中に30万円入っていた。ここから始まるバタバタ映画なのだが、女子高生3人組が仲いいのか悪いのか、そして登場するかっこいい男子高校生が実はゲイだったりして。設定も面白いし、なんせ台詞回しが面白い。
監督の小林啓一と言う人、映像の仕事をしているらしいが、映画はこの作品が初監督の様だ。初監督でこのくらいの映画を撮れれば合格でしょ。脚本も書いているし、おそらくは原案も彼が作っているんでしょう。よくこんな題材を撮ろうと思ったな。資金がなかったんで大きなテーマじゃなくこの程度の小品になったのかもしれないが、それかかえって身の丈に合った面白い映画になったんだと思う。
「ももいろそらを」のストーリー
高校1年生の川島いづみ(池田愛)は、ある日、財布を拾う。中には30万円の大金と学生証。新聞記事を採点するのが日課のいづみは新聞記事から、財布の持ち主は、天下り官僚の息子であることを発見。いづみは勢い余って、その新聞に「-10点」と書き込んでしまう。もやもやとした気持ちを抱えて学校をサボり、釣り堀で竿を垂らしていると、知り合いの印刷屋(桃月庵白酒)がやってきて、不景気で仕事がないとボヤく。いづみは、男に20万円を貸すことに。その後、友だちの蓮実(小篠恵奈)、続いて部活を終えた薫(藤原令子)が合流する。カフェでの支払いをきっかけに、いづみは財布を拾ったことを二人に知られてしまう。財布の持ち主がイケメン男子とわかった蓮実は財布を届けにいくと言い出して、いづみと言い争いになるが、結局、3人一緒に返しに行くことに。いづみ、そして友だちの蓮実と薫、財布の持ち主の佐藤光輝(高山翼)もからめて、財布の中に入っていたはずのお金を介して、いつもとかわんなかった毎日が、いつもとは違う日々になりはじめる。いづみ、そして、それぞれの胸のなかに新しい何かを芽生えさせながら…。
「ももいろそらを」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「ももいろそらを」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ |
製作国 | 日本 |
製作年 | 2011 |
公開年月日 | 2013年1月12日 |
上映時間 | 113分 |
製作会社 | マイケルギオン |
配給 | 太秦(配給協力 コピアポア・フィルム ) |
レイティング | 一般映画 |
アスペクト比 | 16:9 |
カラー/サイズ | カラー |
音量 | ステレオ |
コピーライト | (C)2012 michaelgion All Rights Reserved. |
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