名もなき歌

なもなきうた SONG WITHOUT A NAME
上映日
2021年7月31日

製作国
ペルー スペイン アメリカ

制作年
2019
上映時間
97分

ジャンル
社会派 サスペンス・ミステリー ドラマ

check解説

アカデミー賞2020で国際映画賞・ペルー代表に選出された、実在の事件を基にした衝撃作。1988年、ペルー。貧しい生活を送る先住民の女性、20歳のオルヒナは、首都リマの小さなクリニックで無事女児を出産するが、院外へ閉め出され、赤子を何者かに奪われてしまう。オルヒナを演じるのは、本作が映画デビューとなるパメラ・メンドーサ。ペルー出身の女性監督、メリーナ・レオンによる初長編。
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この作品のレビュー

映画専門家レビュー

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  • フリーライター
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  • 映画評論家
    真魚八重子
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ユーザーレビュー

  • ミャーノフ大佐

     映像が全面モノクロ画面で撮っていて、絵が幻想的になっている。これはわざと作った映像(そういう地域で撮影した)と思っていたら、チリというのは海岸近くまで崖になっていて、海岸付近は頻繁に霧が出る様だ。不思議な絵になっている。
     話は、臨月間近の女性が「出産の手助けをする、しかも無料で」と言う放送を聞いて、そこの病院で出産すると、子どもをそのまま奪われてしまう。役所に行っても警察に行っても取り上げてくれなくて、新聞記者に頼む。新聞記者が調べていくうちに子どもを売買する組織があって、その組織が政府の中枢の人物まで巻き込んでいた、と言う話。はしょりすぎだけど、まあ大体こんな話だ。ラスト、人身売買の組織や政府要人が捕まったという報道があって、新聞記者が国会議員にインタビューする。国会議員はそれ以上首を突っ込むなといい、むしろペルーで育つより海外で育った方が幸せだ、と話す。
     人身売買に絡む映画としては「ブルー・バイユー」や「あなたを抱きしめる日まで」がある。「ブルー・バイユー」は韓国からアメリカの家庭に養子に出されたが、アメリカの一家は労働力としてしか考えていなかった。必ずしも養子になったからといって幸福になるとは限らないのだ。
     ペルーという国は御存じフジモリ大統領がいた国で、日本大使館襲撃事件でも有名だ。ウェキ先生に教えを請うと、今でもインフレが激しくて、大統領もコロコロ変わっている。また、反政府ゲリラも今でも活発にテロを行っている様だ。フジモリ大統領の時には安定していたのに。だからこの映画の話もまんざら昔の話ではないかもしれない。
     映画は特にドラマチックに描いているわけではなく、話の展開もめでたしめでたし、でも無い。むしろペルーの田舎の幻想的なシーンと都会の現実的な世界を描いていて、映像を見せる映画だ。
     ただ、この映画はこの映画として、人身売買についてドキュメンタリーで掘り下げてほしい。どのような組織が行っているのか、政府の要人達がどのように関わっているのかを調査して描いてほしい。

「名もなき歌」のストーリー

1988年、政情不安に揺れる南米ペルー。貧しい生活を送る先住民の女性、20才のヘオルヒナ(パメラ・メンドーサ)は、妊婦に無償医療を提供する財団の存在を知り、首都リマの小さなクリニックを訪れる。数日後、陣痛が始まり、再度クリニックを訪れたヘオルヒナは、無事女児を出産。ところが、その手に一度も我が子を抱くことなく院外へ閉め出され、赤子は何者かに奪い去られてしまう。ヘオルヒナは夫のレオ(ルシオ・ロハス)と共にクリニックを訪れ、激しくドアを叩いて呼び出すが、中はもぬけの殻。その足で警察や裁判所に訴え出るが、有権者番号を持たない夫婦は取り合ってもらえない。そんななか、新聞社に押しかけ泣きながら窮状を訴えるヘオルヒナから事情を聞いた記者ペドロ(トミー・パラッガ)は、その事件を追い始める。やがて、権力の背後に見え隠れする国際的な乳児売買組織の闇へと足を踏み入れるが……。

「名もなき歌」のスタッフ・キャスト

スタッフ
キャスト役名

「名もなき歌」のスペック

基本情報
ジャンル 社会派 サスペンス・ミステリー ドラマ
製作国 ペルー スペイン アメリカ
製作年 2019
公開年月日 2021年7月31日
上映時間 97分
製作会社 La Vida Misma Films=La Mula Producciones=MGC=Bord Cadre Films
配給 シマフィルム=アーク・フィルムズ=インターフィルム
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
カラー/サイズ モノクロ/スタンダ-ド
音量 5.1ch
公式サイト http://namonaki.arc-films.co.jp/
コピーライト (C)Luxbox-Cancion Sin Nombre

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